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久留米大学医学部 10の医師像に基づく教育環境と理念分析

久留米大学は、建学の精神「国手の矜持は常に仁なり」を核とし、地域医療への深いコミットメントと、がんワクチン療法に代表される世界最先端の研究開発を両立させる独自の教育環境を有している。

本分析では、現代医療が求める多様な人材ニーズに基づき「10通りの理想の医師像」を策定した。それぞれの医師像に対し、久留米大学が公開しているアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー(3つのポリシー)、および附属病院や高度救命救急センターの実績データを照合し、志望理由の核心となる「適合性のロジック」を構築する。

久留米大学が求めるのは単なる学力優秀者ではなく、筑後地域という具体的なフィールドで「仁」の精神を実践し、かつグローバルな医学的課題にも挑戦しうる「多層的な視座を持つ人材」であることが示唆される。

第1章 久留米大学医学部の機関アイデンティティと教育哲学

志望理由の構築において最も重要な基盤となるのは、その大学が歴史的に形成してきたアイデンティティ、すなわち「機関のDNA」への深い理解と共鳴である。久留米大学医学部において、それは明確な言語として定義されている。

1.1 建学の精神「国手の矜持は常に仁なり」の現代的解釈

久留米大学の精神的支柱である「国手の矜持は常に仁なり(こくしゅのきょうじはつねにじんなり)」は、全ての教育・診療活動の根底に流れている。「国手」とは名医や医師を指し、「仁」とは他者を慈しむ心、儒教における最高徳目を指す。

現代医療において、高度なテクノロジーやAIの導入が進む中で、この「仁」の精神はむしろその重要性を増している。技術は手段であり、その運用には倫理と人間愛が不可欠であるという宣言である。志望者は、この理念を単なるスローガンとしてではなく、自身の医師像を支える倫理的バックボーンとして位置づける必要がある。大学側は、受験生がこの「仁」をどのように解釈し、自らの経験や将来像に結びつけているかを厳しく評価する傾向にある。

1.2 アドミッション・ポリシー(AP)に見る「求める学生像」の構造解析

久留米大学医学部の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)は、以下の3つの柱で構成されている。

ポリシーの要素 具体的な要求内容 志望理由における含意
1. 基礎学力と学習能力 医学・医療の知識と技能を能動的かつ積極的に修得できる 受動的な学習ではなく、自ら課題を発見し解決する「Active Learning」への適性が求められる。
2. 人間性・協調性・倫理観 診療や研究で実践的に活躍できる資質 チーム医療の構成員としての適性。「仁」の精神を体現しうる素養の証明。
3. 柔軟性・積極性・向上心 時代や社会、そして地域の多様なニーズに対応できる 「地域の多様なニーズ」という文言が極めて重要。筑後地域医療への貢献意志が必須要件である。

注意点:特に第3項の「地域の多様なニーズ」は、久留米大学が地域医療の中核拠点であることを強く意識したものであり、地域社会との関わりを無視した志望動機は、大学の使命と乖離するリスクがある。

第2章 教育カリキュラムと臨床環境の特性分析

2.1 早期からの臨床露出と地域密着型教育

久留米大学のカリキュラム・ポリシーにおける最大の特徴は、低学年次からの徹底した現場主義である。1年次に実施される「早期臨床体験実習」は、医学知識が未熟な段階で医療現場の空気に触れ、患者との対話を通じて学習のモチベーションを高めることを目的としている。また、筑後市との包括連携協定に見られるように、大学のキャンパス内にとどまらず、行政や地域社会全体を「学びのフィールド」として活用している点も特筆すべきである。

2.2 圧倒的な臨床実績を持つ附属病院機能

教育の場となる附属病院の機能は、学生が経験できる症例の質と量を決定づける。

  • 高度救命救急センター: 年間の手術件数が胸腹部外科・脳神経外科等を合わせて330件前後、IVR(画像下治療)が160〜200件というハイボリュームセンターである。
  • ドクターヘリの運用: 広域搬送を担い、プレホスピタルケア(病院前診療)の最前線を学ぶことができる。
  • がんワクチンセンター: 基礎研究の成果を臨床に応用するトランスレーショナルリサーチの拠点であり、免疫療法の開発において世界的な実績を持つ。

これらのハードウェアと、それを運用するソフトウェア(教育プログラム)の融合が、久留米大学の教育環境の強みである。

第3章 【医師像1】地域医療の砦「地域完結型・総合医」

3.1 医師像の定義と社会的背景

急速な少子高齢化が進む日本において、地域医療の崩壊を防ぐことは喫緊の課題である。特に地方都市においては、高度急性期病院から在宅医療までをシームレスに繋ぐ「地域完結型」の医療システムが求められている。この医師像は、特定の疾患だけでなく、患者の生活背景や地域の保健福祉システム全体を俯瞰し、生涯にわたって住民の健康を守るゲートキーパーとしての役割を担う。

3.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:地域ネットワークそのものを教室とする

久留米大学は「地域医療実習」において、附属病院内だけでなく、筑後地域の広範な医療機関と連携している。協力施設一覧には、聖マリア病院のような大規模病院から、ヨコクラ病院、大分県済生会日田病院など、へき地や中山間地域を含む医療機関が名を連ねている。これは、大学が意図的に「都市部医療」と「地域・へき地医療」の両方を学生に経験させようとしている証左である。

環境要因:筑後地域・自治体との強固な連携

筑後市との包括的な連携協定は、大学が象牙の塔に閉じこもらず、まちづくりや地域文化の振興にまで深く関与していることを示している。この環境下で学ぶ学生は、診察室の中だけでなく、行政や地域コミュニティと協働して住民の健康を守るプロセスを肌で感じることができる。これは、地域医療を志す者にとって理想的なシミュレーションの場である。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 地域医療には、高度な医療技術と同時に、生活者の視点に立った継続的なケアが必要である。
  • 適合性: 貴学は筑後地域全体を一つの巨大な「医療キャンパス」と捉え、自治体や地域の基幹病院と密接なネットワークを構築している。
  • 決意: 私は貴学の「地域医療実習」を通じ、急性期から慢性期、在宅へと繋がる医療連携の実際を学びたい。特に、筑後市との連携協定に基づく地域活動に参加し、単に病気を治すだけでなく、地域住民が安心して暮らせる社会基盤を支える医師になりたい。

第4章 【医師像2】救急の最前線で命を繋ぐ「救命救急スペシャリスト」

4.1 医師像の定義と社会的背景

救急医療は「医の原点」とも呼ばれ、いついかなる時も、あらゆる傷病者に対して分け隔てなく医療を提供する公平性と迅速性が求められる。近年、専門分化が進む中で、初期診療において全身を総合的に判断できる救急医の重要性が再評価されている。災害時やパンデミック時における危機管理のリーダーとしての役割も期待される。

4.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:「全身を診る」総合力の涵養

久留米大学救急医学講座は、「全身を診る」という基本的な姿勢を掲げている。これは、臓器別の専門診療に移行する前に、まずは救急医として患者の生命維持に必要な全ての処置(気道確保、循環管理など)を完遂できる能力を重視する教育方針である。また、研修プログラムにおいて、大学病院での「標準的診療能力」の習得後に、県内外の救命センターで「ER的な領域」を学び、さらに地域医療の中での救急実践を行うという段階的なキャリアパスが用意されている点は、教育体制の厚みを示している。

環境要因:高次救急機能とドクターヘリ

久留米大学病院高度救命救急センターは、ドクターヘリを有し、広域からの重症患者搬送を受け入れている。年間300件を超える手術実績200件近いIVR実績は、学生や研修医が豊富な症例に暴露(Exposure)されることを保証する。また、基幹施設では毎朝のカンファレンスで全スタッフが情報を共有し、ピットフォール(陥りやすいミス)を検討する体制が整っており、個人の経験知を組織の知恵として共有する文化がある。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 救急医療の現場では、瞬時の判断と、専門科の枠を超えた全身管理能力が生死を分ける。
  • 適合性: 貴学の救急医学講座が掲げる「全身を診る」という哲学と、ERから集中治療までを一貫して管理する診療体制は、私が目指す「真の救急医」を育てる環境そのものである。
  • 決意: ドクターヘリを有する貴学において、病院前診療(Pre-hospital care)の重要性を学びたい。また、豊富な症例数と厳しいカンファレンスを通じて臨床推論能力を磨き、どんな過酷な状況下でも「仁」の心を持って冷静かつ最適な医療を提供できる医師を目指す。

第5章 【医師像3】がん治療のパラダイムシフトを起こす「トランスレーショナル・リサーチャー」

5.1 医師像の定義と社会的背景

「トランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)」とは、基礎研究で得られた知見を新しい診断法や治療法として臨床現場に届けるプロセスを指す。がん治療において、手術、放射線、化学療法に続く「第4の治療法」として免疫療法が注目されており、この分野でブレイクスルーを起こせる研究医(Physician Scientist)の育成が国家的な課題となっている。

5.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:臨床直結型の基礎研究

久留米大学は、がんペプチドワクチンの研究において国内有数の実績を持つ。先端癌治療研究センターでは、基礎研究のための研究ではなく、常に「患者への応用」を見据えた研究が行われている。例えば、すい臓がんにおけるワクチン療法の臨床効果に関与する因子(炎症シグネチャーなど)の解析結果は、即座に臨床試験のデザインに反映される。このような「Bedside to Bench, Bench to Bedside」のサイクルを学生時代から目の当たりにできる環境は稀有である。

環境要因:独自シーズの存在と研究インフラ

同大では、「New FP」と呼ばれる独自の肝がん治療法の開発や、次世代がん免疫療法の研究が進行中である。また、分子標的部門が9講座で構成され、疾患横断的に研究を行っている点も強みである。学生が基礎配属などを通じて、これらの世界レベルの研究プロジェクトに参加する機会が開かれていることは、研究医志望者にとって決定的な魅力となる。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 既存の治療法では救えない難治性のがん患者に対し、科学の力で新たな希望を提示することが医師の使命の一つであると考える。
  • 適合性: 貴学はがんペプチドワクチン療法や「New FP」療法など、独創的な治療開発の拠点である。特に先端癌治療研究センターにおける、臨床データと基礎研究を往還する研究スタイルに強く惹かれる。
  • 決意: 私は貴学において、臨床医としての視点を持ちながら、がんの微小環境や免疫応答のメカニズムを解明する基礎研究に取り組みたい。将来は、貴学発の新しいがん治療法を世界に発信し、多くの患者の命を救う「研究マインドを持った臨床医」になりたい。

第6章 【医師像4】「仁」の精神を体現する「ヒューマニスト・ドクター」

6.1 医師像の定義と社会的背景

医療技術が高度化・細分化する中で、患者を「臓器」や「データ」としてのみ捉えることへの弊害が指摘されている。患者の痛み、不安、社会的背景を含めた「全人的苦痛(トータルペイン)」を理解し、寄り添うことができる人間性豊かな医師が求められている。これは緩和ケアや精神医療に限らず、全ての臨床医に求められる基盤的な資質である。

6.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:精神的支柱としての「仁」の教育

建学の精神「国手の矜持は常に仁なり」は、まさにこの医師像のためにある言葉である。久留米大学の教育カリキュラムは、知識の詰め込みよりも、まずは「人間性」の涵養を優先させる設計となっている。1年次の「早期臨床体験実習」は、入学直後の学生に医療現場の厳しさと温かさを体感させ、患者への共感能力を育むためのプログラムである。

環境要因:患者の心情を理解する風土

学修目標(三大目標)において、「医師や研究者として職責を果たすのに必要な知識」と並列して「人間性と良識を涵養する」ことが明記されている。これは、成績が良いだけでは良医とは認めないという大学の強い意志の表れである。実習などを通じて、患者の心情を理解し、倫理的な判断を下すトレーニングが徹底されている環境は、ヒューマニズムを重視する学生にとって最適な土壌である。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 医療がいかに進歩しても、病に苦しむ人の心に寄り添うことが医療の本質であることに変わりはない。
  • 適合性: 貴学の建学の精神「国手の矜持は常に仁なり」に深く共鳴した。単なる技術の修得にとどまらず、患者を一人の人間として尊重し、慈しむ心を教育の根幹に置いている点に、私の理想とする医師像との完全な一致を見る。
  • 決意: 貴学の早期臨床体験実習や、地域医療の現場での学びを通じ、患者の痛みに対する感受性を磨き続けたい。高度な医療技術を、深い人間愛と倫理観を持って運用できる医師となることを誓う。

第7章 【医師像5】チーム医療の中核を担う「コーディネーター型医師」

7.1 医師像の定義と社会的背景

現代の医療は、医師一人で完結することはあり得ない。看護師、薬剤師、診療放射線技師、理学療法士、ソーシャルワーカーなど、多職種が専門性を持ち寄り、連携して治療にあたる「チーム医療」が標準となっている。医師には、独善的な指示者ではなく、各職種の能力を最大限に引き出し、チーム全体のパフォーマンスを向上させる「コーディネーター」としてのリーダーシップが求められる。

7.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:協調性を評価軸とするカリキュラム

ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)の第2項には、「患者に寄り添うとともにチーム医療の実践に必要な態度と習慣を身につける」と明記されている。これは、協調性が卒業要件の一部であることを意味する。また、アドミッション・ポリシーにおいても「協調性」が求められており、入学から卒業まで一貫してコミュニケーション能力が重視される。

環境要因:地域包括ケアシステムでの多職種連携

久留米大学が推進する地域医療実習では、病院内だけでなく、地域の訪問看護ステーションや介護施設との連携も学ぶことになる。地域包括ケアシステムにおいては、医療職だけでなく、介護・福祉職との連携が不可欠である。久留米大学の広域ネットワークの中では、急性期病院のチーム医療と、在宅医療における多職種連携の両方を経験することができる。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 複雑化する患者の病態に対応するためには、多職種の専門知を結集するチーム医療が不可欠である。
  • 適合性: 貴学はポリシーにおいて「協調性」と「チーム医療の実践」を重要視しており、私の目指す「チームの力を最大化できる医師」を育成する方針と合致している。特に、地域包括医療実習を通じて、病院内外の多様なスタッフとの連携を学べる環境に魅力を感じる。
  • 決意: 私は貴学での学びを通じて、各専門職の役割を深く理解し、互いに尊重し合える関係性を築くコミュニケーション能力を養いたい。将来は、チームの中心にあって、患者にとって最善の治療環境を調整(コーディネート)できる医師になりたい。

第8章 【医師像6】グローバルな視点を持つ「国際医療貢献ドクター」

8.1 医師像の定義と社会的背景

グローバル化が進む現代において、感染症のパンデミック対応や、国際的な医療格差の是正など、国境を越えた医療課題への対応が求められている。「グローバルヘルス」の視点を持つ医師は、国内の臨床に従事しながらも世界標準の知見を取り入れたり、あるいは海外での医療支援や国際共同研究に従事したりする。

8.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:Glocal(Global + Local)な視座

久留米大学の基本理念には、「地域文化に光を与え、その輝きを世界に伝え、人類の平和に貢献すること」という壮大なビジョンが含まれている。これは「地域(Local)に根ざした活動こそが、世界(Global)に通じる」という「グローカル」な精神を表している。例えば、久留米で開発された医療技術や、地域医療のシステムモデルを世界に発信することは、立派な国際貢献である。

環境要因:国際的な研究発信力

がんワクチンセンターの研究成果は、"Molecular and Clinical Oncology" などの国際的な学術誌に多数発表されている。また、救急医学講座のスタッフには米国留学経験者もおり、地方大学でありながら国際的なアカデミアとのネットワークを有している。世界最先端の研究に触れることは、学生の視野を大きく広げる。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 医療に国境はなく、地域で培った知見は世界の人々の健康に貢献しうる。
  • 適合性: 貴学の「地域文化の輝きを世界に伝える」という理念に感銘を受けた。貴学は、地域医療という足元を固めつつ、がん免疫療法などの分野で世界をリードする研究を行っており、ローカルとグローバルを高い次元で融合させている。
  • 決意: 私は貴学で、世界標準の医学知識と、地域医療の実践力を同時に身につけたい。将来は、国際的な視野を持ちながら、目の前の患者には地域に根ざした温かい医療を提供し、その成果を世界に発信できる医師を目指す。

第9章 【医師像7】生涯学び続け、後進を育てる「アカデミック・ドクター(教育医)」

9.1 医師像の定義と社会的背景

医学の進歩は日進月歩であり、医師には生涯にわたる学習が義務付けられている。同時に、次の世代の医師を育成することも、現役医師の重要な責務である。大学病院を拠点として、自身の臨床・研究活動と並行して、学生や研修医の教育に情熱を注ぐ「教育医」の存在は、医学界の持続可能性を支えている。

9.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:伝統的な「屋根瓦式」教育

久留米大学医学部は、私立医科大学特有の濃密な人間関係と、先輩が後輩を指導する「屋根瓦(やねがわら)式」の教育文化が根付いている。救急科の研修プログラムに見られるように、大学での初期研修から始まり、関連施設での武者修行、そして指導的立場で大学に戻る、あるいは地域病院のリーダーになるというキャリアパスが明確に描かれている。

環境要因:豊富な関連病院と人事交流

多くの関連病院を持つことは、若手医師にとって多様な「武者修行の場」があることを意味する。同時に、大学側にとっては、派遣した医師からのフィードバックを得て教育プログラムを改善し続けるサイクルが回っていることを示す。教育と臨床の循環が機能している環境である。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 医学の継承と発展のためには、自ら学び続けるだけでなく、その知識と技術を次世代に伝える教育者の存在が不可欠である。
  • 適合性: 貴学の充実した卒後臨床研修プログラムや、関連病院を含めた広域な教育ネットワークは、医師としての成長を長期的に支えるシステムとして理想的である。伝統ある貴学の「人を育てる風土」に強く惹かれる。
  • 決意: 私は貴学に入学し、医学・医療の知識を貪欲に吸収したい。そして将来は、臨床医としての経験を積むとともに、貴学の教育スタッフとして後進の指導にあたり、貴学が築き上げてきた医療の伝統を未来へと繋いでいきたい。

第10章 【医師像8】卓越した技術で難病に挑む「高度技能専門医(外科系)」

10.1 医師像の定義と社会的背景

外科手術やカテーテル治療など、高度な手技(スキル)によって患者の命を救う専門医である。AI診断が進歩しても、物理的な処置や手術を行う「手」の技術は代替困難であり、依然として高いニーズがある。特に難易度の高い手術や、緊急性の高い処置を安全かつ確実に行える「ゴッドハンド」への憧れは、多くの医学生の原動力となっている。

10.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:High Volume Centerでの修練

技術の向上には、圧倒的な経験数が不可欠である。久留米大学病院の高度救命救急センターにおける手術件数やIVR件数は、この病院が地域における「最後の砦」として機能していることを示している。多発外傷や重症救急疾患に対する緊急手術は、予定手術とは異なる極限の判断力と技術を要求される。

環境要因:最先端医療機器と手術支援体制

大学病院ならではのロボット支援手術や、ハイブリッド手術室などの設備投資に加え、各専門科(脳神経外科、心臓血管外科など)と救急科が連携して治療にあたる体制が整っている。また、肝がんに対する「New FP」療法のような独自の手技開発が行われていることは、既存の技術を学ぶだけでなく、新しい術式を開発するクリエイティブな外科医を目指す環境として優れている。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 治療困難な疾患や重篤な外傷に対し、高度な手術手技で命を救い出すことができる外科医の存在意義は極めて大きい。
  • 適合性: 貴学附属病院は、ドクターヘリを受け入れる高度救命救急センターを有し、圧倒的な症例数と手術実績を誇っている。この過酷かつ実践的な環境こそが、確かな技術を身につけるための最良の道場であると考える。
  • 決意: 私は貴学において解剖学や生理学の基礎を徹底的に固めた上で、外科系分野に進みたい。貴学の指導医の先生方の下で修練を積み、将来的には世界レベルの高難度手術を執刀し、多くの患者に「生還」という結果をもたらせる外科医を目指す。

第11章 【医師像9】社会全体の健康を守る「公衆衛生・予防医学のエキスパート」

11.1 医師像の定義と社会的背景

「治療(Cure)」だけでなく「予防(Care/Prevention)」に重点を置き、社会全体の健康水準を向上させることを目指す医師像である。生活習慣病の増加や感染症対策、労働衛生など、社会医学的なアプローチを用いて、病気にならないまちづくりや制度設計に関与する。

11.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:社会医学の実践教育

久留米大学のカリキュラムには、1年次の段階から「社会医学」の実習が組み込まれている。これは、臨床医学を学ぶ前に、医療を取り巻く社会制度や公衆衛生の重要性を認識させる意図がある。また、寄生虫学や法医学などの基礎・社会医学分野の実習も重視されており、広い視野での医学教育が行われている。

環境要因:自治体連携によるデータとフィールド

筑後市との包括連携協定は、公衆衛生を志す者にとって強力な武器となる。大学が自治体と協力して健康増進プロジェクトを行う際、そこには膨大な疫学データと、住民への介入機会が存在する。実際の地域社会をフィールドとして、予防医学の効果を検証できる環境は、大学病院ならではの強みである。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 持続可能な医療制度を維持するためには、病気になってから病院に来る人を待つだけでなく、病気を未然に防ぐ予防医学のアプローチが不可欠である。
  • 適合性: 貴学はカリキュラムの早期から社会医学実習を取り入れ、さらに筑後市などの自治体と連携して地域ぐるみの健康づくりを推進している。この「社会に開かれた医学」の姿勢に強く共感する。
  • 決意: 私は貴学で臨床医学と並行して社会医学を深く学びたい。将来は、地域住民の健康データを分析し、エビデンスに基づいた予防医療政策を提言・実践することで、筑後地域を日本一健康な地域にすることに貢献したい。

第12章 【医師像10】全人的な視点で診断を下す「総合診療医(ジェネラリスト)」

12.1 医師像の定義と社会的背景

超高齢社会においては、一人の患者が糖尿病、高血圧、認知症、整形外科的疾患など、複数の病気を抱えていることが常態化している(マルチモビディティ)。特定の臓器しか診ない専門医だけでは対応しきれないこうした患者に対し、全身を総合的に管理し、必要に応じて専門医に橋渡しをする「総合診療医」の役割が重要視されている。

12.2 久留米大学における「適合性のロジック」

教育のカラー:プライマリ・ケアへの志向

アドミッション・ポリシーにある「地域の多様なニーズ」とは、まさにこうした高齢者の複合的疾患への対応を指している。久留米大学の関連病院ネットワークには、地域の中核を担う中小病院が多く含まれており、そこでは最先端の専門医療よりも、日常的な疾患(Common Disease)への適切な対応能力(プライマリ・ケア能力)が鍛えられる。

環境要因:救急科の「全身管理」との親和性

救急医学講座が掲げる「全身を診る」というフィロソフィーは、総合診療医のマインドセットと共通する。緊急度の高い救急患者の全身管理で培った能力は、慢性期の高齢者医療における全身管理にも応用可能である。久留米大学の教育は、救急医療を通じてジェネラリストとしての基礎体力を養うことができる構造になっている。

志望理由の構成要素(ロジック展開)

  • 現状認識: 高齢化が進む地域医療の現場では、専門分化の弊害を超えて、患者の全身と生活を丸ごと診ることができる医師が必要とされている。
  • 適合性: 貴学は地域医療教育を重視し、救急医療においても「全身を診る」ことを基本理念としている。この環境は、特定の臓器に偏らない幅広い診断能力と、患者の生活背景まで考慮できる総合診療能力を身につけるのに最適である。
  • 決意: 私は貴学での学びを通じて、どんな症状の患者が来ても決して断らず、適切な初期対応と診断ができる医師になりたい。将来は、地域のかかりつけ医として、住民から最も信頼されるジェネラリストとして貢献したい。

結論:久留米大学への「適合」を証明する戦略的統合

提示した10の医師像は、それぞれ独立したものではなく、相互に関連し合っている。久留米大学医学部が求める理想の学生像とは、これら複数の要素を併せ持つ「ハイブリッド型人材」である可能性が高い。

13.1 志望理由書作成のための3層構造アプローチ

最終的なアウトプット(志望理由書・面接回答)を作成する際は、以下の3層構造を意識して構成することを推奨する。

内容 キーワード(例) 戦略的意図
第1層:理念への共鳴 建学の精神への言及 「国手の矜持は常に仁なり」「人間性」「倫理観」 大学のアイデンティティと自身の価値観の一致を宣言し、門を叩く資格があることを示す。
第2層:リソースの活用 具体的な機能への言及 「ドクターヘリ」「がんワクチン」「地域医療ネットワーク」「早期体験実習」 大学の強みを正確に把握していることを示し、自身の成長のためにその環境が不可欠であると論理づける。
第3層:未来への貢献 将来像の提示 「筑後地域への貢献」「次世代育成」「グローバル発信」 大学(Take)だけでなく、自分が大学や社会に何をもたらすか(Give)を提示し、採用するメリットをアピールする。

13.2 総括

久留米大学医学部は、伝統ある「仁」の精神を土台に、地域医療の現実と最先端医療の理想の両方を追求する場である。受験生にとって、この大学を志望するということは、単に医師免許を取得するための通過点を選ぶことではなく、筑後地域というコミュニティの一員となり、そこで人々の命と生活を守るという「契約」を結ぶことに他ならない。


引用文献

  • 久留米大学 本学の特色 - 大学ポートレート(私学版)(https://up-j.shigaku.go.jp/school/category01/00000000673301000.html)
  • 久留米大学 医学部医学科(https://www.igakubujuken.jp/hubfs/29%E3%80%80%E4%B9%85%E7%95%99%E7%B1%B3%E5%A4%A7%E5%AD%A6-1.pdf)
  • 救急科 - 久留米大学病院 臨床研修センター(https://kurume-kensyu.jp/specialist/pdf/13.pdf)
  • 久留米大学病院救急科専門医研修プログラム - e-resident(https://www.e-resident.jp/hospitalsearch/163/senior/program/3015)
  • 2026 久留米大学 医学部情報|大学の特徴 - レクサス教育センター(https://lexus-ec.com/2026-kurumei-feature/)
  • 筑後市との包括連携協定を締結 TOPICS - 久留米大学(https://www.kurume-u.ac.jp/joint/topics/collabo/641d0282a492e5ac4c1184d5/)
  • がんワクチン分子部門【久留米大学 先端癌治療研究センター】(http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/sentanca/vaccine/)
  • 臨地実習施設 - カリキュラム - 久留米大学医学部 医療検査学科(https://clt.kurume-u.ac.jp/curriculum/training-facility/)
  • トップページ【久留米大学 先端癌治療研究センター】(https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/sentanca/)