【岩手医科大学】生物の過去問|2025年度に出題された入試問題を徹底分析|合格を掴む時間配分と対策
2. 全体概観(イントロダクション)
- 対象年度・科目: 2025年度 医学部 一般選抜 生物
- 試験時間: 理科2科目で120分(生物には概ね60分を割くのが標準)
【全体評価】
2025年度の生物は、例年通り大問5題構成で、難易度は「標準〜やや難」でした。
単なる用語暗記で解ける問題は全体の半分程度。残りの半分は、「ハーディ・ワインベルグの法則の応用計算」「音源定位の幾何学計算」「受容体反応のグラフ読解」「転写調節の論理パズル」といった、思考力と計算力を問う問題で占められています。
特に、第2問のフクロウの聴覚計算や、第4問の遺伝子発現の論理推定など、初見では「ウッ」と詰まるような設定が見られました。しかし、誘導に乗れば必ず解けるよう設計されています。
【目標得点率】
医学部合格には、70%の得点が目標ラインです。
知識問題での取りこぼしをゼロにし、計算・考察問題でどれだけ粘れるかが勝負の分かれ目となりました。
3. 大問別詳細分析
ここでは、各大問を「実戦でどう攻略すべきか」という視点で分析します。
第1問:進化・集団遺伝(ハーディ・ワインベルグの法則)
- 出題テーマ: 人類の進化、直立二足歩行の特徴、遺伝子頻度の計算(鎌状赤血球貧血症・マラリア抵抗性)、分子進化。
- 難易度評価: 【B:差がつく標準問題】
攻略コメント
前半の知識問題(人類の学名や特徴)は瞬殺すべき基礎です。
勝負所は問3の計算です。まず、重度貧血(SS)の発症率 1/625 から遺伝子頻度 S = 0.04 を導くのは基本。
注意点: その後の(b)「致死遺伝子が淘汰された後の頻度計算」で差がつきます。単純な公式適用ではなく、「SS型が死亡して集団から消える」という条件を加味し、AA:AS:SS = 81:18:1 から SS を除外して AA:AS=9:2 と再計算するプロセスが必要です。ここで焦らず比率計算できたかが鍵です。
第2問:動物の反応・行動(視覚・聴覚)
- 出題テーマ: 眼の構造(錐体・桿体)、視神経の交叉、遠近調節、フクロウの音源定位。
- 難易度評価: 【B:差がつく標準問題】 ~ 【C:計算注意】
攻略コメント
問1〜3の眼の構造や調節(毛様筋とチン小帯の関係)は教科書レベルです。
最大の山場は問5(フクロウの音源定位)です。これは生物というより物理(波動)の問題です。
左右の耳に音が届く時間差(0.1ミリ秒)から距離差(3.4cm)を計算し、図の直角三角形を用いて 5 sin α = 3.4 という式を立てる必要があります。
「生物だから計算は出ない」という油断は禁物。三角関数の値(sin 45° ≈ 0.7)を使う数学的素養が試されました。
第3問:ホルモン・受容体理論
- 出題テーマ: 血糖調節、受容体数と応答の強さ(グラフ考察)、成長ホルモン受容体の二量体形成。
- 難易度評価: 【B:差がつく標準問題】
攻略コメント
前半のホルモン名は基礎知識です。
後半は、見慣れないグラフ(受容体数と結合数、細胞応答の関係)の読解です。知識で解くのではなく、「グラフの軸を正確に読む」力が問われています。
問4の成長ホルモンのモデル図(状態0, X, Y)は複雑に見えますが、「濃度が高すぎると逆に受容体同士が結合できなくなる(受容体が飽和して単量体ばかりになる)」という現象を、図4のグラフの低下部分から読み取る論理力が求められました。
第4問:発生・遺伝子発現調節
- 出題テーマ: 卵割の特徴、転写調節因子(エンハンサー・リプレッサー)、組織特異的発現の論理推定。
- 難易度評価: 【B:差がつく標準問題】
攻略コメント
問3(b)は、与えられた「表1(因子の有無と転写の有無)」からルールを導き出す論理パズルです。「WとXがあると転写なし」などの条件から、どれが抑制因子かを特定します。
問4も同様に、因子A, B, Cの上下関係(促進・抑制の連鎖)をパズルのように解く必要があります。生物学的知識よりも、「条件整理力」が問われるため、落ち着いてメモを取ることが正解への近道でした。
第5問:代謝(呼吸)
- 出題テーマ: クエン酸回路、電子伝達系、代謝阻害剤を用いた実験考察。
- 難易度評価: 【A:絶対に落とせない基礎問題】 ~ 【B:標準】
攻略コメント
全体的にオーソドックスな代謝の問題です。物質名(ピルビン酸、オキサロ酢酸など)は即答必須。
問4(a)の「回路か直線反応か」を阻害剤実験で判定する問題は、受験生物の典型的良問です。頭の中で物質の流れを追跡できれば容易に解けます。
最後の酸素消費量の計算も、データの差分を見るだけの素直な問題でした。ここは完答したい大問です。
4. 合否を分けた「この一問」
【第2問 問5:フクロウの音源定位計算】
理由:
多くの受験生は、生物の試験で「サイン(sin)」や「速さ・距離・時間」の計算が出ると動揺します。この問題は、生物学的知識(音の受容)は前提程度で、実質的には数理処理能力を問うものでした。
5 × sin α = 3.4 という式さえ立てられれば、 sin α = 0.68 となり、選択肢の sin 45° = 0.707 に近いことから正解を選べます。
この問題を「面倒くさい」と捨てずに、物理の知識を転用して冷静に解き切れた受験生は、他の受験生に大きな差をつけることができました。「理科2科目(物理・化学・生物)の総合力」が試された一問と言えます。
5. 今後の対策とまとめ
2025年度の入試問題を分析した結果、来年度以降の受験生がとるべきアクションプランは以下の3点です。
1. 「計算アレルギー」を完全に克服する
岩手医科大の生物は、遺伝子頻度(ハーディ・ワインベルグ)、神経の伝導速度、腎臓の濃縮率など、計算問題が頻出です。しかも、今回のように三角関数を使うケースすらあります。「生物は暗記科目」という認識を捨て、問題集の計算問題を重点的に解き直し、数字に対する耐性をつけてください。
2. 「初見の図・グラフ」を読み解く訓練
第3問や第4問のように、教科書には載っていないモデル図やグラフが出題されます。これらは知識で解くのではなく、「リード文の定義に従って論理的に考える」ことで解けます。過去問演習では、知らない図が出ても解説をすぐ見ず、「この軸は何を意味しているか?」「この変化の原因は何か?」を言語化する練習を行いましょう。
3. 「条件整理」のメモ書きを習慣化する
第4問のような遺伝子発現のパズル問題は、頭の中だけで処理しようとするとミスを誘発します。「AがあればBが出る」「CがなければBが出ない」といった条件を、簡単な矢印や表を使って余白に書き出す習慣をつけてください。手を動かして整理することが、制限時間内に正解にたどり着く最短ルートです。
【最後に】
岩手医科大学の生物は、知識量だけでなく、「科学者としての思考力と処理能力」を求めています。奇をてらった難問に見えても、基礎知識と論理的思考を組み合わせれば必ず正解への道筋が見えます。
自信を持って、戦略的に学習を進めてください。応援しています!