岩手医科大学 一般選抜 出題傾向 物理
岩手医科大学医学部の物理入試は、大問3題構成で出題され、解答は一貫して選択肢形式です。主要5分野を広く網羅しており、特に複数の物理法則が複合した複雑な設定の問題が特徴です。基礎知識に加え、高度な代数計算力と論理的な展開力が求められます。
傾向と対策の概要
岩手医科大学の物理は、力学、電磁気、熱力学、波動、原子を網羅的に扱います。単一の公式適用で終わる問題は少なく、物理現象を正しく把握し、それらを数式化する能力が試されます。
試験形式の安定性と構成
安定した構成
2018年度から2025年度まで、試験形式は極めて安定しており、大問3題で構成されています。各大問は、段階的に解答を求める形式で、通常8問から9問の詳細な設問が含まれます。
出題分野の傾向
- 第1問:ほぼ一貫して力学が出題されます。
- 第2問:電磁気が出題の中心となります(直流・交流回路、電磁誘導、磁場中の荷電粒子運動など)。
- 第3問:熱力学、波動、原子物理のいずれか、または複合問題が出題されます。
試験形式の大きな変化
この期間における最も重要な変化は、試験時間の延長です。
| 年度 | 試験時間 (2科目) |
|---|---|
| 2018年度 | 90分 |
| 2019年度~2025年度 | 120分 |
2019年度以降、試験時間が30分延長されました。時間的余裕は増えましたが、その分複雑で計算量の多い問題が維持されているため、油断は禁物です。
出題分野や出題テーマの傾向
力学 (Mechanics)
高度な設定における運動量、エネルギー、または力のつりあいが問われます。
- 衝突・相対運動:摩擦のない水平面上の箱と小物体の繰り返し衝突や相対運動。
- 複合運動:台上の滑車と連結された物体を含む運動や、半円筒面を持つ台上の小物体の運動。
- ばねと摩擦:摩擦力のある床上の物体を含むばねにつながれた単振動の解析。
- 天体運動:万有引力、ケプラーの法則に基づく解析。代数的に導出させる問題が頻出です。
- 剛体のつりあいと加速度:加速度運動中の構造物のつりあいや、慣性力の適用。
電磁気 (Electromagnetism)
回路解析から誘導現象、荷電粒子の運動まで、幅広く出題されます。
- 交流回路:抵抗、コイル、コンデンサーを含む直列交流回路の解析(実効値、位相差、消費電力など)。
- 電磁誘導:磁場を横切るコイルや、レール上の金属棒の運動。
- 荷電粒子運動:複数の磁場領域における円運動と平均速度の計算。
- 相互誘導/自己誘導:コイルの磁束と誘導起電力、直流電源接続後の電流変化。
熱・波動・原子 (Thermal/Waves/Atomic)
- 原子物理:ボーアの水素原子模型に関する理論。軌道半径 $r_{n}$ やエネルギー準位 $E_{n}$ の導出が定着しています。
- 熱力学:定圧変化、内部エネルギー、仕事の計算。浮力を伴う熱気球の運動と状態方程式の連携など。
- 分子運動論:気体分子が動く板に与える力積(圧力の微視的解釈)。
- 波動:ドップラー効果(反射板を含む状況)や、光の干渉(マイケルソン干渉計、ニュートンリング、くさび型薄膜)。
特徴的な傾向
- 高度な計算と代数処理:複雑な連立方程式や文字式の整理をミスなく行う能力が合否を分けます。
- 現代物理の定着:原子物理は公式の結果だけでなく、導出過程を含めて理解しておく必要があります。
- 複合法則の多用:運動量保存則とエネルギー保存則など、複数の原理を連携させる設定が目立ちます。
- 段階的な設問構成:前の設問の計算ミスが後続に影響するため、正確な処理が求められます。
対策
1. 基礎概念の網羅と体系化
全範囲について、教科書レベルの基礎知識と公式を完全に定着させてください。正確な適用能力が試されます。
2. 複合問題と代数計算の集中的な演習
文字式による計算を最後まで正確にやり遂げる訓練を徹底してください。過去問を用いて、複雑な設定に慣れることが重要です。
3. 原子物理の理論的理解
ボーアの理論については、量子条件や運動方程式から、軌道半径やエネルギー準位を自力で導出できるように準備しておきましょう。
4. 時間配分の戦略
120分という時間を有効に使うため、大問ごとに時間を計って演習し、正確さとスピードを両立させてください。
アドバイス:岩手医科大学の物理は、複数の物理法則を正確に使いこなし、問題文の条件を一つも見落とさずに組み立てる「設計者」のような視点が求められます。各道具(法則)を正しく使い、確実な得点を目指しましょう。