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慶應大学 一般選抜 出題傾向 生物

傾向と対策の概要

2018年度から2025年度までの慶應義塾大学医学部生物の入試は、大問3題構成という形式的な安定性を保ちつつ、実験考察問題や論述問題を中心とした出題が継続しています。

論理的な思考力を問う問題が非常に多く、教科書内容の理解を基盤としながらも、最新の科学的知見や発展的な内容、または歴史的に重要な実験を題材とする傾向が顕著です。特に2021年度以降、問題量が多く、試験時間60分に対して解答のスピードと正確さが求められる傾向があります。難易度は年度によって変動し、2021年度や2024年度はやや難化し、2025年度は実験考察問題で答えやすいものが多く、やや易化した印象とされています。

試験形式の安定性と構成

  • 大問数:2018年度から2025年度まで一貫して大問3題構成です。
  • 試験時間:他の科目と合わせて2科目120分(生物は実質60分)です。
  • 出題形式:実験結果の考察、図表の解析、論述が中心であり、論理的思考力を試す形式が安定しています。

試験形式の大きな変化

論述量の増減と難易度

  • 2018年度は論述問題の数が増加しました。
  • 2019年度は論述量がやや減少しました。
  • 2021年度は論述量が増加し、難易度の高い考察問題が増加しました。
  • 2024年度は描図問題が2問、計算問題が1問出題されました。
  • 2025年度は論述量がやや減少しましたが、描図問題は2問出題されました。

題材の高度化:過去の科学雑誌に掲載された論文(2020年度)や、最近の科学論文を出典とする実験考察問題(2021年度)が多数出題されており、題材のレベルが高度化しています。

時間的な負荷:2021年度以降、試験時間60分に対して問題量が多いため、迅速かつ正確に解答する能力が特に重要になっています。

出題分野や出題テーマの傾向

出題テーマは多岐にわたりますが、「進化」「実験史」「分子生物学・細胞生物学」を軸とした総合問題が多いです。

年度 大問 I 大問 II 大問 III
2018 微生物との共生、多細胞体制の進化(襟鞭毛虫) 感覚(TRPV1、熱刺激受容体の進化) 骨格筋の収縮のしくみ(滑り説、実験史)
2019 ギャップ結合と細胞間情報伝達(膜タンパク質) 生体防御反応と遺伝子(活性酸素酵素、遺伝形式) 細胞性粘菌の生活史とバクテリアとの共生
2020 神経系の興奮伝達(シナプス伝達機構、活動電位) 動物の性決定のしくみ(環境/遺伝) タンパク質のフォールディングとシャペロン
2021 視覚経路に関する実験(Gタンパク質共役型受容体、視覚野の形成) 有毒生物の毒素の進化と抗体(遺伝子重複) アメーバと細菌の共生(レジオネラ菌)
2022 真核細胞の構造と細胞内共生説 DNAの複製(メセルソンとスタール)の実験 細胞外マトリックスと神経投射(化学親和説)
2023 転移因子(トランスポゾン)と遺伝子発現制御 植物ホルモンと病原体に対する防御応答(サリチル酸) 脊椎動物の発生と系統、鳥類の羽毛の形成
2024 酵素の構造と機能(四量体酵素、アロステリック制御、遺伝) 核の大きさの制御と細胞骨格・モータータンパク質 発光バクテリアとイカの共進化
2025 ネンジュモの細胞接着と細胞間の物質交換 ABO式血液型と糖転移酵素の遺伝子の違い ミオシンによる原形質流動の速度と陸上植物の進化

継続的に出題される主な分野

  • 進化・系統:襟鞭毛虫の進化、熱刺激受容体の進化、細胞性粘菌の共生、性決定の進化、毒素遺伝子の進化、細胞内共生説、発光バクテリアの共進化、陸上植物の進化 など。
  • 分子生物学・遺伝子:遺伝子の変異、転写調節因子、選択的スプライシング、タンパク質のフォールディング、トランスポゾン、DNA複製、酵素の遺伝学(四量体酵素) など。

特徴的な傾向

1. 実験考察と論理的思考力の要求

ほとんどの問題が実験結果や図表のデータ解析を基にした考察を求めます。特に、仮説の検証や、そのための実験方法を問う問題、実験結果から示唆される生物学的な意義を論述する問題が特徴的です。

2. 時事的な科学テーマの取り上げ

比較的新しい科学的知見を題材とし、教科書では扱われない発展的な内容についても、リード文と既習知識を組み合わせて考察する能力を求めます。

3. 深い論述・論考力

単なる知識の記述ではなく、「ある生物の生命現象を解明するとはどういうことか」や、「進化における利点」、「あなたの考えを述べよ」といった、受験生自身の考察力や科学的倫理観を含む解答を求める論述問題が頻出します。

4. 計算問題の散見

2022年度にはメセルソンとスタールの実験に関連した世代時間に関する計算問題が、2024年度には酵素活性の計算問題が出題されています。

対策

慶應義塾大学医学部の生物対策では、知識のインプットに加えて、思考力とアウトプット能力を徹底的に鍛える必要があります。

1. 教科書範囲の徹底理解と論理的応用

細胞・分子生物学、遺伝子発現、免疫、神経伝達といった頻出分野について、メカニズムや関連実験を深く理解することが求められます。

2. 実験考察・図表解析の訓練

過去問や発展的な問題集を通じて、与えられたリード文、実験手順、図表のデータから結論や仮説を論理的に導き出す訓練を積むことが必須です。

3. 論述対策の強化

正確な専門用語を用いて論理的に文章を構成する能力を養う必要があります。特に、自らの考察を記述するタイプの問題に対応できるように準備します。

4. 時間配分とスピード重視の演習

問題量が多いため、60分間で効率よく問題を処理する訓練が重要です。過去問を通じて時間感覚を養う必要があります。

5. 数学的・描図的対策

計算問題や、アロステリック酵素の反応速度曲線、DNAのバンドパターンなどの描図問題にも慣れておくことが重要です。

総評:慶應医学部の生物は、ただ食材(知識)を集めるだけでなく、その食材を使って「なぜこの料理(実験)を作ったのか」「その調理器具(理論)はどのように働くのか」「この調味料(データ)が加わると味がどう変わるのか」を論理的に説明し、調理の過程(考察)を記述する能力を求めていると言えるでしょう。