産業医科大学 一般選抜 出題傾向 英語
傾向と対策の概要
産業医科大学医学部の英語試験は、試験時間100分、配点200点で、学力検査科目(数学・理科)と同等の高い比重を占めます。試験形式は大問4題構成で安定しており、倫理、社会科学、医学、進化など、アカデミックで抽象度の高いテーマが中心です。合否を分ける最大のポイントは、長文の論旨を正確に把握し、下線部和訳や字数制限のある日本語記述形式で厳密に表現する能力です。
試験形式の安定性と構成
2018年度から2024年度まで、試験は一貫して以下の構成で行われています。
大問1:語彙補充
長文中の空所を埋める形式。2021年度以降は12語に増加しています。文脈理解に基づいた語彙力、熟語、文法知識が問われます。
大問2・3:長文読解(2題)
アカデミックなテーマの長文が採用されます。設問は、下線部和訳、本文内容に沿った日本語記述での説明(理由、論旨要約、字数制限付きが多い)、内容一致問題(〇×形式)が主軸です。
大問4:自由英作文
100語程度の指定があり、社会性・倫理性の高いテーマで意見を論述する形式です。
試験形式の大きな変化
基本形式は安定していますが、近年、多様な形式の設問が導入されています。
- 語彙補充の増加: 2021年度以降、空所補充が10語から12語に増えました。
- 長文読解設問の多様化: 2023年度には「欠文補充」が、2023・2024年度には「類義語選択」が導入され、語彙・表現力を直接問う形式が加わっています。
出題分野や出題テーマの傾向
医学部入試として特に人間の行動、健康、倫理、進化に関するテーマが頻出です。
| 年度 | 大問2(テーマ) | 大問3(テーマ) | 英作文テーマ |
|---|---|---|---|
| 2018 | 倫理・社会: お金で買えるもの/買えないもの | 心理学・社会学: 男性に対する女性の影響 | 男女が共に活躍できる社会に必要なもの |
| 2019 | 行動経済学: 禁煙プログラムにおける報酬と罰則 | 進化・生物学: 人類の脳が小さくなった理由 | 異常気象の影響で見直すべき行事 |
| 2020 | 環境・食: コオロギ食の栄養価と持続可能性 | データサイエンス: NBA選手の成功と背景 | 環境の変化に伴う人間の体の変化の可能性 |
| 2021 | 心理学: 動物(カラス)の「遊び」の目的 | 公衆衛生: 長寿化の脅威となる肥満・糖尿病 | レジ袋有料化政策についての意見 |
| 2022 | 文化人類学: 異文化間における時間感覚の違い | 生物学・栄養学: 生食主義と人類の適応 | 100年後の人間社会 |
| 2023 | 行動経済学: 働きすぎのマインドセット | 生物学: 森の木々の社会性、相互扶助 | インターネットが突然なくなったら |
| 2024 | 脳科学: 左脳型/右脳型という概念の誤解 | IT・倫理: 生成AIアートの倫理的・著作権的問題 | 貧富の格差について国際社会が取り組むべきこと |
| 2025(模) | 医学・心理学: 睡眠不足の健康リスク | IT・心理学: テクノロジー(SNS)依存症 | 自身の故郷の問題と解決策 |
特徴的な傾向
1. 厳密な日本語記述力への要求
単なる直訳ではなく、本文全体の論理展開を理解し、要点を過不足なくまとめる高度な要約力が求められます。特に理由説明の設問では、文脈に合った自然な日本語表現が必須です。
2. 時事性・社会性の高い英作文
現代社会の議論(ジェンダー、環境政策、格差)や、社会への深い考察を求めるテーマが選ばれます。意見を論理的に構成する能力が不可欠です。
3. 情報源の学術性
Scientific AmericanやThe New York Times、またサンデル教授などの著名な学者の著作から引用されており、英文のレベルが非常に高いのが特徴です。
対策
1. 基礎学力と長文処理能力の養成
- 語彙力の強化: ハイレベルな学術的語彙や多義語の習得。
- 文構造の把握: 複雑な修飾関係や倒置を正確に解析する力。
- 時間配分: 100分間で記述と英作文を完遂する時間管理練習。
2. 高度な記述対策
- 論旨記述の訓練: 字数制限内で根拠に基づいた要約を行う練習。
- 和訳精度の向上: 文脈に沿った洗練された日本語訳の追求。
3. 英作文対策
多様なテーマ(倫理・環境・健康)で、論理的に一貫した主張を100語でまとめる練習を繰り返します。意見表明や論理展開に役立つ定型表現を習得し、限られた語数で効果的に伝える力を磨きましょう。
産業医科大学の英語試験は、英語の知識だけでなく、「高度な論理的思考力とそれを日本語で厳密に表現する記述力」を試す知的な総合力試験です。医療現場で求められる正確な理解と伝達能力を意識して学習に取り組みましょう。