埼玉医科大学 一般選抜 出題傾向 物理
傾向と対策の概要
埼玉医科大学医学部の物理は、力学、電磁気学、熱力学、波動・原子の主要4分野から毎年バランス良く、かつ高度な融合問題が出題されます。煩雑な文字式の計算や代数処理を要求されるため、正確かつ迅速な解答能力が極めて重要です。合格のためには最低でも6割5分、可能であれば8割程度を目指す必要があります。
試験形式の安定性と構成
2018年度から最新入試(2024年度)に至るまで、試験形式は大問3問構成で安定しています。すべてが空所補充形式のマークシート方式ですが、物理量の導出過程を順序立てて問う誘導形式が採用されており、論理的な思考力が試されます。
【重要】試験時間の短縮
2021年度以降、理科2科目の試験時間が100分から90分に短縮されました。計算量の多い本学の入試において、この10分の短縮は時間的制約を非常に厳しくしています。
出題分野や出題テーマの傾向
主要4分野がバランスよく出題され、単一の分野で完結する問題は少なく、複合的な知識が求められます。
| 分野 | 頻出テーマと傾向 | 出題年度例 |
|---|---|---|
| 力学 | 衝突・保存則(完全非弾性・弾性衝突)、単振動(ばね振り子、誘導起電力との複合)、万有引力(地球内部トンネル)、剛体のつりあい。 | 2018~2025 |
| 電磁気学 | 複雑な直流回路(はしご型、非線形抵抗)、磁場中の運動(ローレンツ力、導体棒の誘導)、静電気(ガウスの法則、電気双極子)、LC電気振動。 | 2018~2024 |
| 熱力学 | 熱機関サイクル(断熱・定圧変化、効率計算)、気体の状態変化(ピストン、重力下の変化)、気体分子運動論(2乗平均速度の計算)。 | 2018~2020, 2022~2025 |
| 波動・原子 | ドップラー効果(パルス波の解析)、光の干渉・回折(レンズ、CDの回折)、量子(光電効果、X線の発生)、屈折・分散(虹の形成)。 | 2018~2021, 2023, 2024 |
特徴的な傾向
埼玉医科大学の物理には、他大学とは一線を画す特徴的な傾向が見られます。
- 高度な計算力と代数処理: 導出される解が複雑な文字式となることが多く、終盤の設問まで正確に処理する能力が合否を分けます。
- 近似式の積極的な利用: 問題文で提示される $\sqrt{1+z} \fallingdotseq 1+\frac{z}{2}$ などの近似式をスムーズに使いこなす必要があります。
- 非標準的な物理的視点: 重心系での運動解析、ホイヘンスの原理に基づくレンズの焦点距離導出、パルス波を用いたドップラー解析などが出題されます。
- 実験データ解析: 最小二乗法的なアプローチを用いて、実験データのズレから重力加速度を求めるような実地的な問題も見られます。
合格のための対策
- 基礎法則の徹底理解と融合問題演習: 全分野の法則を完璧にし、2つ以上の分野が絡む融合問題(例:電磁気×単振動)を重点的に対策しましょう。
- 時間管理の徹底: 90分で3題を解き切るために、過去問演習では必ず時間を計り、複雑な分数や文字式の計算精度を高めてください。
- 近似計算への習熟: 光路差や電気双極子、分子運動論などのテーマにおいて、近似式を迷いなく適用できるよう練習を積みましょう。
- 特有テーマの攻略: 重心系や非線形抵抗など、本学特有のテーマは過去問を通じて出題意図に慣れておくことが不可欠です。
本学の入試対策は、「緻密なクロスワードパズル」を解く作業に似ています。限られた90分という時間の中で、複雑に絡み合う物理法則を正確に適用し、途中の煩雑な計算というヒントを一つずつ埋めていく粘り強さが、合格への唯一の道です。