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藤田医科大学 一般選抜 出題傾向 物理

傾向と対策の概要

藤田医科大学の物理入試は、2018年度の旧大学名(藤田保健衛生大学)時代から現在(藤田医科大学)に至るまで、2科目120分という設定の下、大問4題構成を維持しています。

出題される主要分野は、力学、熱力学、電磁気学であり、波動(光学を含む)も頻出です。特筆すべき傾向として、基本法則をそのまま適用する問題に加えて、複数の現象や分野を複合させた応用力の高い問題が中心となります。

解答形式は、単なる数値や記号の計算結果だけでなく、導出過程の論理的な説明、力のベクトルや軌跡の正確な図示、物理量の関係を示すグラフの描画、および現象の定性的な説明など、思考プロセス全体を問う記述形式が多用されています。

試験形式の安定性と構成

項目 傾向 該当年度(例)
大問数 2018年度以降、一貫して大問4題構成を維持しており、安定性が非常に高い。 2018, 2019, 2020, 2021, 2022, 2023, 2024, 2025
試験時間 物理を含む2科目で120分という枠組みも安定している。 全年度
解答形式 主に記述式(数式、記号、計算結果)であり、単に答えを出すだけでなく、論証や説明が頻繁に要求される。 2020年度問1, 問5, 2022年度問2, 問3
図示/グラフ 解答としてグラフの描画や力のベクトルの図示が直接求められる。 2019年度第4問, 2020年度第4問, 2021年度第4問, 2023年度第2問, 2025年度第4問

試験形式の大きな変化

大問数や試験時間といった全体構造に大きな変化は見られませんが、問われる内容の深さや形式のバリエーションが広がっています。

理論的背景の穴埋め形式の導入 (2023年度)

2023年度の第3問(波動)では、波の反射における固定端・自由端の位相のずれ φ を、数式を追って論理的に導出させる空欄補充形式で出題されました。これは、公式を暗記しているかではなく、その基礎となる理論を理解し、数学的に扱えるかを問う傾向を明確に示しています。

定性的な説明の要求の増加

現象がどのように見えるか(2018年度第4問の魚の見え方)や、なぜその運動が起こるのか(2020年度第1問の棒の回転理由)、特定の条件を満たすための物理量の大小関係(2023年度第1問 δA < δB の理由)など、定性的な考察や論理的な理由付けが求められています。

出題分野や出題テーマの傾向

主要4分野(力学、熱力学、電磁気学、波動)から満遍なく出題されており、各分野の難易度は高いです。

分野 頻出テーマと出題例 (2018-2025)
力学 剛体・モーメント(棒のつり合い、摩擦の限界、倒れる条件)がほぼ毎年出題されています。また、複合的な運動系(滑車・ひも・衝突連鎖)、円運動(鉛直面内、遠心力)、2次元衝突が頻出です。
熱力学 理想気体の状態変化(定圧、等温、断熱)を組み合わせた熱サイクルの解析(2024年度)や、気体分子運動論(2022年度の圧力・内部エネルギーの導出)、熱力学第一法則に基づくモル比熱の関係(2019年度)、外部条件が複雑な気体(大気圧が変化する環境下の気球:2021年度、真空膨張:2023年度)が問われています。
電磁気学 直流回路(キルヒホッフの法則、コンデンサーを含む過渡現象、ブリッジ回路)。荷電粒子の運動(電場・磁場中での軌道解析、ローレンツ力、速度選別器、電界・磁界中での摩擦)が多岐にわたります。特に回路と粒子運動のどちらかが大問で出題される傾向があります。
波動 幾何光学(屈折、全反射、見かけの深さ)。干渉(ニュートンリング、空気の層による干渉:2025年度)や、波の反射理論(位相のずれの理論的導出:2023年度)など、光学と波の性質の両方から出題されています。

特徴的な傾向

剛体と摩擦の徹底的な追求

力学のテーマとして、剛体のつり合いはほぼ毎年大問1で出題されており、特に摩擦(静止摩擦力、動摩擦力)やモーメントのつり合いが中心です。2021年度第1問では、小球の円運動、床との摩擦、物体の静止条件が複合的に絡み合っており、非常に複雑な設定が見られます。

物理学の根本原理の論証と近似計算

公式の適用だけでなく、現象の基礎となる理論の導出過程が問われます。例えば、2022年度第2問では気体分子運動論における内部エネルギーの導出過程を説明する問題が出されました。また、計算問題において、近似式 (√(1+x) ≒ 1 + (1/2)x、 (1+a)k ≒ 1 + ka) や、具体的な数値の近似 (23/5 ≈ 1.5) を用いる能力も試されています。

時間・電気量・速度のグラフ化要求

複数の年度で、物理量の時間変化や相互関係をグラフで図示することが求められています。これには、衝突後の単振動の変位-時間グラフ(2019年度)、気体のP-Vグラフ(2020年度、2023年度)、コンデンサーの電気量Qと電流Iの関係グラフ(2021年度)などがあり、単なる計算能力を超えた物理現象の理解度が問われます。

複雑な環境設定や応用的なテーマ

大気圧が高さで変化する中での気球の上昇運動(2021年度)、ダイオードの非線形特性を持つ回路(2022年度)、スイッチの開閉によって電場が時間的に変化する粒子運動(2025年度)など、現実的あるいは応用的な設定が多く、受験生に柔軟な対応力を求めています。

対策

藤田医科大学の入試を突破するためには、基本事項の徹底理解に加え、複雑な設定下での総合的な思考力と正確な記述能力の育成が不可欠です。

  • 剛体・複合運動系の重点対策
    モーメントのつり合い、摩擦力の限界条件、そして複数の物体がひもや滑車でつながれた連成運動(特に加速度や張力の関係)は最重要テーマです。問題文を読み解き、すべての物体に働く力を正しく図示する練習を徹底する必要があります。
  • 理論的な導出過程の習熟
    熱力学における内部エネルギーや圧力の定義、波動における位相のずれの原理、電気回路における過渡現象の基礎など、公式の成り立ちを理解し、「導出せよ」「説明せよ」という要求に対応できるように、教科書や標準問題集の基本的な導出プロセスを自力で再現する訓練が有効です。
  • グラフ・図示・記述練習の強化
    計算結果だけでなく、解答用紙に要求されたグラフの形状や力のベクトルの向きと大きさを正確に記述する練習が必要です。特に、近似計算を含む問題では、計算過程の正確性と、有効数字の指定(2021年度第1問)に従った解答作成に慣れることが重要です。
  • 電磁気学の多様なテーマへの対応
    コンデンサーを含む直流回路の定常状態と過渡現象、および磁場中での荷電粒子の円運動(特に円運動の半径、周期、他の外力との組み合わせ)を高いレベルで訓練し、どの形式で問われても対応できる準備が必要です。

藤田医科大学の物理入試は、例えるならば、「複数の歯車(異なる物理現象)が複雑に噛み合う機械」の設計図を渡され、その機械の特定の動作(現象)や内部構造(原理)を、計算と論理的な説明、そして図示を通じて正確に解析することを求める試験だと言えます。個々の部品(基本法則)の知識だけでなく、それらが連携して働くシステム全体を理解する力が試されています。