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順天堂大学 一般選抜 出題傾向 化学

傾向と対策の概要

順天堂大学医学部の化学入試は、理論化学、無機化学、有機化学の全分野からバランスよく出題される傾向にあります。試験形式は主にマークシート方式の小問集合(大問3~4問)と、記述式または数値解答の大問(1~2題)の組み合わせで構成されています。

出題される問題の難易度は標準レベルの基本事項が中心ですが、一部に応用的な理論問題や、煩雑な数値計算を伴う問題が含まれており、制限時間内に全てを完答することは難しい年度が多いと評価されています。したがって、高得点を獲得するためには、基礎知識の確実な定着に加え、複雑な計算を処理する能力、そして問題の取捨選択と適切な時間配分が極めて重要となります。

試験形式の安定性と構成

試験時間 2科目 120分(化学と他科目の合計時間)
解答形式 マークシート方式 + 記述式

問題形式の構成

  • 大問は主に3問から4問のマークシート形式の小問集合と、1題から2題の記述式形式の問題から構成されています。
  • マークシート問題:各分野の基本知識や標準的な計算力を試す内容が多い傾向にあります。
  • 記述問題:論述、構造式、計算過程不要の数値解答などが含まれ、より深い理解や思考力、実験操作の知識を要するテーマ(中和滴定、構造決定、平衡の応用など)に割り当てられています。

試験形式の大きな変化と近年の動向

記述式の定着と多様化が進んでいます。

  • 2018年度:記述式問題としてペプチドの構造決定と論述が出題されました。
  • 2019年度:前年度に比べて量・質ともに易化したとの評価がありましたが、計算が複雑な問題も含まれていました。
  • 近年:記述問題のテーマが実験操作や応用的な理論に特化する傾向が見られます。

近年の具体的な出題例:

  • 2020年度:芳香族化合物の分離実験と分配係数
  • 2024年度:電離平衡と中和滴定曲線
  • 2025年度:溶解度積を用いたモール法(沈殿滴定)の応用

これらは単なる知識の確認以上の詳細な実験理論の理解が求められています。

出題分野や出題テーマの傾向

全分野から満遍なく出題されますが、特に以下のテーマが頻出または難度が高くなっています。

理論化学

  • 化学平衡と反応速度:気体反応の平衡定数($K_c$や$K_p$)の計算、反応速度定数、平衡移動(ルシャトリエの原理)、気体の平均分子量や密度を絡めた計算など、応用的な問題が多いです。
  • 溶液の性質:浸透圧、沸点上昇・凝固点降下、混合溶液の蒸気圧(ラウールの法則)など、計算中心の出題が頻繁です。
  • 酸・塩基/電気化学:中和滴定の応用的な計算、溶解度積と共通イオン効果、濃度電池、アミノ酸や多塩基酸の電離平衡(二段階平衡)に関する問題。
  • 熱化学:格子エネルギーや結合エネルギーを用いた計算問題も出題されています。

無機化学

  • 元素の性質と反応:周期表の基本知識、同位体、アルミニウムや鉄などの金属の性質。
  • 気体関連の製造と反応:アンモニアの性質と製造、塩素の製造と定量(COD、さらし粉)。

有機化学

  • 構造決定:エステル、アルコール、カルボン酸、アルケン、芳香族化合物、アミノ酸・ペプチドなど、多様な化合物の構造決定が毎年出題されています。
  • 異性体:幾何異性体や光学異性体を含めた異性体の数え上げを求める問題が特徴的に出題されています。
  • 高分子:セルロースの誘導体計算、アミロペクチンの構造決定、油脂の構造決定(オゾン分解利用)など、出題分野が広範です。

特徴的な傾向と注意点

計算負荷の高さと正確性要求

全体を通して計算量が極めて多い印象があります。特に理論化学や化学平衡、構造決定における定量計算では、煩雑な数値計算をミスなく正確に処理する能力が合否を分けます。

実験理論と論述の重視

実験操作(例:COD測定における$Cl^-$イオンの除去、抽出操作、滴定の終点判定)の理論的意味や目的を問う問題、および化学現象の理由を簡潔に説明する論述問題(60字~80字程度)が定期的に出題されています。

医学部らしいテーマ設定と応用モデル

  • アミノ酸、ペプチド、高分子化合物、油脂といった生化学・生命科学に関連の深い有機分野の出題が目立ちます。
  • COD(水質汚濁指標)やメタンハイドレートなど、現代的な化学テーマも取り上げられています。
  • 濃度電池や、水溶液中の溶解度平衡計算(共通イオン効果やモール法)、気体の混合物や平衡状態における詳細な計算など、教科書の発展的な内容を含む応用問題が出題されます。

対策

順天堂大学の化学を攻略するための具体的な対策は以下の通りです。

重要対策:計算力とスピードの向上
複雑な数値計算を速く正確に行う練習が必須です。計算問題の演習量を増やし、電卓なしで有効数字を意識した計算処理に慣れる必要があります。また、過去問を活用し、時間内に解ける問題と解けない問題を見極める訓練も重要です。
  • 基礎固めの徹底(教科書レベル):教科書レベルの知識を幅広く、正確に定着させることが、マークシート問題での確実な得点につながります。特に基本知識については、ミスを減らすよう丁寧に確認すべきです。
  • 応用的な理論テーマの演習:化学平衡(特に気体、濃度)、溶液の性質(浸透圧、蒸気圧降下、沸点上昇)、電気化学(電池、電気分解)などの応用的なテーマについては、原理を深く理解し、類題演習を積むことが得点源となります。
  • 構造決定と異性体の対策:エステル、油脂、アミノ酸など、出題頻度の高い有機化合物の構造決定問題に対応できるよう、反応と生成物の関係を整理し、立体異性体や幾何異性体の数え上げの練習を徹底する必要があります。
  • 論述・実験対策:実験操作の目的や化学現象の理由を、字数制限内で的確に説明する練習が必要です。過去の論述テーマを参考に、知識の背景まで理解を深めておきましょう。

化学反応を戦場に例えるならば、順天堂の試験は、基本戦術(基礎知識)を忠実に実行しつつ、予期せぬ複雑な地形(複雑な計算)を迅速に乗り越え、さらに敵の砦(応用的な理論や記述問題)を正確に攻略する能力が求められる、バランスの取れた総力戦と言えるでしょう。正確な知識と徹底した計算練習が勝利の鍵となります。