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日本医科大学 一般選抜 出題傾向 物理

傾向と対策の概要

日本医科大学の物理は、例年大問4題(2022年度以降は3題に減少)、解答個数は一貫して20個で構成されています。

全体的な難易度は標準的ですが、特に2021年度頃までは数値計算の多さや煩雑さが特徴的であり、時間内にミスなく解き切ることが難しいとされていました。2022年度以降は出題数が減少したこともあり、難易度が基本〜標準レベルにやや易化傾向にあります。

出題分野は、力学、電磁気学、熱力学、波動、原子物理学から満遍なく出題されています。典型的なテーマであっても、誘導が少ない、あるいは計算が複雑になるように設計されている場合があり、正確な計算力と速い解答処理能力が求められます。

試験形式の安定性と構成

  • 試験時間と科目数: 2科目で120分(物理はそのうちの1科目)であり、この形式は安定しています。
  • 解答個数: 2018年度から最新の2025年度まで、解答個数は20個で変わっていません。
  • 出題形式: 空所補充形式の大問構成が主体です。

試験形式の大きな変化

2022年度に入試形式に大きな変化が見られました。

  • 大問数の減少: 2021年度までは大問4題の出題でしたが、2022年度以降は大問が3題に減少しました。
  • 小問集合の導入: 2023年度には大問の一部が熱力学、波動、原子物理といった多様なテーマを扱う小問集合として出題されました。2024年度は波動分野のみで構成された大問も出ています。
  • 難易度の変化: 2022年度以降、問題の難易度は基本から標準レベルに落ち着き、2021年度以前に比べて易化傾向にあると評価されています。

出題分野や出題テーマの傾向

主要分野は満遍なく出題されていますが、特に以下のテーマが目立ちます。

分野 頻出テーマと特徴 該当年度(例)
力学 2体問題(台車と小球の運動、水平面上の摩擦など)や、万有引力、ケプラーの法則(等速円運動、楕円軌道、トンネル内での単振動)。斜面上の運動、摩擦力、鉛直バネ振り子、斜方投射と衝突など、典型的ながら計算が煩雑になる設定が多い。 2018前, 2019前/後, 2020前, 2021前, 2022前, 2024前, 2025前
電磁気学 コンデンサーの極板間に働く力、導体や誘電体挿入、スイッチの開閉を伴う回路(電荷・エネルギー収支)。磁場中の導体棒の運動と誘導起電力、LC電気振動、電磁場中の荷電粒子の運動(円運動、ローレンツ力)。 2018前, 2019前, 2020前, 2021前, 2022前, 2023前, 2024前, 2025前
熱力学 熱機関のサイクル(カルノーサイクル、P-Vグラフでのサイクル)の熱効率の計算。等温変化、定積変化、定圧変化などの基本過程。混合気体の状態変化や、熱気球のように状態方程式の変形を利用する応用問題も出題される。 2018前, 2019前, 2020前, 2021前, 2022後, 2025前
波動 光の干渉・回折(回折格子、単スリット)、単スリット問題では打ち消しあいの条件の誘導が丁寧になされている。ドップラー効果、音波の屈折、光ファイバー(全反射)、定常波。 2020前, 2021前, 2022前, 2023前, 2024前
原子物理 光電効果(プランク定数導出)、X線の発生(最短波長)、ド・ブロイ波長、核反応・エネルギー。 2018前, 2019前, 2020後, 2023前

特徴的な傾向

  • 複雑な数値計算の要求: 特に2021年度までは、「煩雑な計算にも耐えられるよう、しっかり訓練しておく必要」があると指摘されています。計算過程でミスが出やすく、完答を難しくする要因です。
  • 微小量近似の利用: 磁場中の電流が受ける力を単振動と絡める問題など、微小量近似 (1+x)-1 ≈ 1-x の利用を指示されるケースがあります。
  • 誘導の少なさ: 誘導が少なく、自分で物理現象の構造を見抜く必要がある問題が見られます(例:トンネル内の単振動、熱気球の圧力・密度関係の導出)。
  • 電磁気学と力学の融合: 磁場中の運動が単振動や複雑な力学的なつりあいと絡む問題は典型的です。
  • 重心の概念の利用: 2体問題において、重心の変位や運動量が保存される条件を利用して解く問題が出題されています(例:2022前)。

対策

合格のためには、基礎的な知識を前提とした応用力、特に高い計算精度と速度が重要になります。

計算訓練の徹底

煩雑な計算に慣れるため、問題集や過去問を使って、時間を計りながら解く訓練が不可欠です。

計算ミスを防ぐため、可能な限り文字式のまま計算を進め、最後に数値を代入する習慣をつけましょう。

基本原理の構造的な理解

  • 単振動や熱力学サイクル(カルノーサイクル、P-Vグラフ)などの典型的なテーマは、構造的に捉える訓練が必要です。誘導に頼らず、自身で解答までの道筋を立てられるようにしましょう。
  • 熱力学の分野では、等温変化での仕事の計算など、教科書では結論が書かれていない部分についても、導出過程を理解しておくことが望ましいです。

弱点分野の補強

光の干渉や回折、電磁場中の荷電粒子の運動、熱力学における複雑な状態変化や混合気体の問題など、解いた経験の有無で差がつきやすい分野を重点的に類題演習することが推奨されます。

最新の出題形式への対応

2022年度以降、大問数が3題に減少し、小問集合の形で多様な分野を短時間で処理する能力が求められる傾向が見られます(2023, 2024年度)。一つの問題に時間をかけすぎず、全体を俯瞰して解く練習が必要です。

まとめ: 物理の対策は、例えるなら精密機械の製造に似ています。基本的な構造(物理法則)を正確に理解し、それを応用して複雑な製品(応用問題)を作り上げる過程で、非常に緻密な部品(数値計算)をミスなく、かつ迅速に組み上げる能力が求められる、と言えるでしょう。