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川崎医科大学 一般選抜 小論文 入試傾向分析 (2018年度〜2025年度)

傾向と対策の概要

川崎医科大学の小論文試験は、試験時間50分に対し、800字以内(または200字と600字の合計)の論述を求める形式が定着しています。

出題される文章は、哲学、倫理学、情報科学、社会学など、多岐にわたる学術分野からの引用であり、抽象度の高い概念(例:「サイバニクス」「生命知」「死の連帯性」「エディターシップ」)を正確に理解する高度な読解力が求められます。

論述では、単に筆者の主張を理解するだけでなく、そのテーマを医学や医療、医師のあり方といった具体的な文脈に結びつけ、受験生自身の考えを論理的かつ明確に展開する思考の応用力と表現力が合否を分けます。

試験形式の安定性と構成

試験形式は極めて安定しています。

  • 試験時間: 2018年度から最新の2025年度まで、一貫して50分です。
  • 出題形式: 長文のリード文(資料を含む)が提示され、それに関連する設問に答える形式です。
  • 論述字数: 2019年度以降、1問構成で800字以内の論述を求める形式が標準的です。
  • 設問の指向性: 設問は基本的に、提示されたテーマや下線部について「あなたはどのように考えるか」「論ぜよ」「〜についてどのようなことが考えられるか」といった、意見や考察を求めるものです。

試験形式の大きな変化

論述の字数構成と資料の形式に微細な変化が見られますが、根幹の「50分・800字程度の論述」は不変です。

  • 初期の字数構成 (2018年度): 設問が2問に分かれており、下線部(1)の説明問題(200字以内)と、下線部(2)の意見論述問題(600字以内)の組み合わせでした。
  • 近年の字数構成 (2019年度〜): ほとんどの年度で、800字以内の論述を1問で求める形式に移行し、これが主流となっています。
  • 複数の資料の提示 (2022年度): 「共生社会」をテーマとした2022年度では、学術論文の抜粋(資料1)と厚生労働省の資料(資料2)の異なる性質を持つ2つの資料を読み解く形式が採用されました。

出題分野や出題テーマの傾向

出題テーマは、人間存在、倫理、先端科学、社会の持続性に関わる、高度に学際的なものが中心です。

年度 主要な出題テーマ 関連するキーワード
2025 死と生のアクチュアリティ、二人称的な関係 死の連帯性、個別性の真理、人間学的な医学
2024 日常生活における創造性、個性の発揮 エディターシップ、二次的創造、ポアンティイスム
2023 人間の見識・品格の向上、知識と行動の不一致 論語読みの論語知らず、修身、自己満足
2022 共生社会のビジョン、対等性の確保の難しさ 回避的人種主義、地域共生社会、多様性の尊重
2021 倫理的認識と行動の責任、自由意志 未来志向的認識、非難と修正のバランス、社会的信仰
2020 情報化社会の限界、人間と生命の本質 情報理論、記号と意味、生命知、いのちの与贈循環
2019 医師と患者のコミュニケーション 医療面接、模擬患者、患者の事情の聴取
2018 先端技術と未来社会、医工連携 サイバニクス、サイバニック生活支援インフラ、テクノピアサポート

共通する出題傾向

  • 医学・医療への応用(必須): 抽象的な概念(生命知、エディターシップ、死の連帯性など)を、必ず医療の分野や医師の役割と結びつけて論じることが要求されます。
  • 倫理・人間性・関係性の重視: 人間の行動原理(自由意志、非難、品格)や、集団・他者との関係性(共生、二人称的な場面、死の連帯性)といった、医師として不可欠な倫理観や対人理解を問うテーマが継続的に出題されています。
  • 未来志向性とビジョンの要求: 近い将来に直面する課題を認識した上で、どのような「未来社会」になったらよいか、あるいは「共生社会像」を具体的に提示することなど、将来的な視点と明確なビジョンを示す能力が評価されます。

特徴的な傾向

「二人称的な関係」の強調(2025年度)

最新の2025年度の出題は、ハイデガーの哲学を用いながら、医者が「自然科学的・客観主義的医学の執行人としてではなく、人間学的な医学あるいは医療の実践者として、患者との個人的・人格的な二人称関係に立つとき」にのみ、生と死の豊かなアクチュアリティが示されると論じており、医師と患者の深く主体的な関係性を最重要視しています。

古典的な教訓の現代的適用(2023年度)

福澤諭吉の『学問のすすめ』を題材とし、「論語読みの論語知らず」という、知識と実践の乖離の問題を提示しており、深い知識を持ってもそれを実行できなければ見識や品格は高まらないという、行動変容を促すテーマが特徴的です。

情報社会への警鐘(2020年度)

情報化社会がもたらす公平性や効率性を認めつつも、それが人間を「代替可能で同じような部品」にし、無個性を加速させることへの危機感を訴えており、記号化された社会に対抗する「生命知」の重要性を説いています。

対策

安定した形式の中で、求められる高度な思考力と応用力を発揮するために、以下の対策が有効です。

  • 難解な文章の多角的な読解訓練(50分対応) 50分という短い制限時間の中で、哲学や先端科学に関する抽象的な文章から、筆者の主張やキーコンセプト(例:エディターシップ、死の連帯性、生命知)を迅速かつ正確に把握する訓練を重ねる必要があります。
  • 論旨の一貫性と医療への具体化 800字以内で、序論(問題提起)、本論(主張・根拠)、結論(医療への応用・ビジョン)という明確な構成を取る練習が必須です。特に、抽象的なテーマを患者とのコミュニケーション、医療倫理、地域医療の課題など、具体的な医学・医療の文脈に結びつけて展開する応用力を鍛えるべきです。
  • 人間学的な視点の養成 「二人称的な関係」や「共生社会」、「知識と実践の統一」といったテーマに対応するため、生命倫理、死生観、コミュニケーション倫理に関する文献を読み、医師としての自己の在り方、患者との人格的交流について深く考察し、自分の言葉で説明できるように準備することが重要です。
  • 字数指定の正確な対応訓練 800字以内(1問)が主流ですが、2018年度のように200字と600字など、具体的な字数指定がされる可能性もあります。それぞれの字数に過不足なく、設問の意図通りに論述をまとめる練習も有効です。

まとめの比喩

川崎医科大学の小論文試験は、あなたが現代社会という巨大なパズルの専門家となり、提供された「最先端のピース(リード文)」を手に取って、それを将来の医療という「完成図」のどの部分に、どのように組み込むべきかを、50分間で論じる作業に例えられます。特に、単なる知識の論理的配置(記号化)に終わらず、そのピースに「人間の生命知とアクチュアリティ」という魂(意味)を吹き込む能力が求められています。