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帝京大学 一般選抜 出題傾向 物理

【概要】 帝京大学医学部の物理試験は、試験形式の安定性と医学・人体への応用をテーマとした問題の出題が大きな特徴です。力学、電磁気学、原子物理学の3分野が特に頻出ですが、熱力学や波動の分野でも医療や人体のモデル化に関連する応用問題が出題されています。

正確な計算力と、複雑な状況を適切に物理モデルに落とし込む能力が求められます。

試験形式の安定性と構成

2018年度から2025年度まで、試験形式は極めて安定しています。

科目構成と時間 物理①と物理②の2部構成。 他の科目と合わせて2科目120分で実施されています。
出題形式 各パートが3~4題の大問で構成。 解答形式は主に空欄補充(数値記入、数式・記号選択、数式の導出記述)。
計算の要求 有効数字の指定があることが多く、単なる知識だけでなく、正確な計算処理能力が必須です。

試験形式の大きな変化

基本的な試験の枠組み(2部構成、時間、大問中心の構成)に大きな変化は見られません。しかし、近年(特に2023年度以降)は、物理的な概念や法則の導出過程自体を問う問題がより明確化している傾向があります。

近年の出題傾向の変化(例)

  • 2023年度:抵抗率の導出問題(自由電子の運動モデルに基づき、電場、抵抗力、電流の関係式から最終的に抵抗率の式を導出)。
  • 2024年度:組み合わせレンズの問題(屈折の法則と幾何学的関係からレンズの式の一般形を近似的に導出)。

このように、単なる結果の公式を暗記するだけでなく、物理法則の成立根拠を深く理解しているかを確認する狙いが見受けられます。

出題分野や出題テーマの傾向

出題は物理の全分野から幅広く行われますが、特に以下のテーマが目立ちます。

力学(Mechanics)

  • 衝突と運動量保存:直線上および平面上の衝突、反発係数、運動エネルギーの損失など、基本から応用まで頻出です。
  • 相対運動と慣性力:台車上の物体の運動、三角柱上の小物体の運動など、観測者と物体の運動が絡む問題が重要です。
  • 単振動と応用:地球内部のトンネルを抜ける運動、ばねにつながれた2物体の運動、浮力による運動など、単振動の概念を応用した問題が度々出題されます。
  • 剛体のつりあい:はしごのつりあい、人体のモデル化など、力のモーメントを含む静力学も出題されています。

電磁気学(Electromagnetism)

  • 誘導現象:磁場中を回転する導線や平行移動する金属棒に生じる誘導起電力、ローレンツ力といったテーマは安定して出題されます。
  • 回路とコンデンサ:スイッチの開閉に伴う電荷の移動と保存(過渡現象)、複雑な立体回路の合成抵抗計算など、計算負荷の高い問題が含まれます。
  • 静電場と電位:点電荷配置による電場や電位の計算、電位がゼロとなる軌跡の導出が見られます。

原子物理学(Modern Physics)

  • 放射線と半減期: 崩壊、 崩壊、質量欠損、半減期や壊変定数、有効半減期、そして放射線加重係数を用いた等価線量の計算など、医療応用に関連するテーマが重要です。
  • X線と光電効果:X線発生装置における最短波長、特性X線のエネルギー準位からの波長計算、光電効果など、量子論の基礎知識が問われます。
  • 粒子の波動性:電子線の干渉(ド・ブロイ波長)の知識も問われています。

熱力学(Thermodynamics)

  • 理想気体の状態変化:熱サイクル(定積・定圧変化)の効率計算、連結された容器内の気体の変化が出題されます。
  • 人体・熱機関モデル:ヒトのエネルギー収支、代謝率、熱効率を熱力学第一法則に結びつける問題や、ガソリンエンジンのオットーサイクルの出題が特徴的です。

波動(Waves)/光学(Optics)

  • 医療応用:ドップラー効果による血流速測定、アッベの屈折計(タンパク質濃度測定)など、具体的な医療技術がテーマとなります。
  • 眼のモデル化:正常眼、近視、遠視の矯正を等価レンズモデルで扱う問題や、角膜の焦点距離を求める問題が出題されています。

特徴的な傾向

医療・人体応用テーマの重視

脊柱にかかる力、眼のレンズ機能と矯正、代謝率と熱効率、X線診断、放射線被曝量、歩行の振り子運動モデルなど、医学部らしい具体的な応用が随所に見られます。物理学の知識を医学的な文脈で適用する力が試されています。

単位の横断的な理解

位置エネルギーや内部エネルギーの変化を、ジュール(J)だけでなく、キロカロリー(kcal)やキロワット時(kWh)など、日常や医療で使われる単位に変換させる問題が確認されています。

導出過程・複雑な数式による空欄補充

特に空欄補充問題において、数値解答だけでなく、計算過程の途中式や物理量を用いた複雑な数式を解答させるケースが多く、正確な立式能力が求められます。

対策

基礎概念の定着と計算力の徹底

問題の難易度自体は標準的なものが多いですが、設定が複雑で計算量が多いため、力学の運動方程式、エネルギー保存則、電磁気学の誘導起電力の公式など、基本法則を瞬時に正確に適用できる計算能力が必須です。

「なぜそうなるか」の理解(導出訓練)

単に公式を暗記するだけでなく、その公式がどのようにして導かれるのか(例:抵抗率の原理、レンズの式)を、文字式を用いて説明できるように準備しておく必要があります。空欄補充形式で導出のステップを飛ばさずに理解しているか問われます。

医学・人体関連テーマの重点対策

過去問を通じて、医療に関連するテーマ(光学、放射線、熱力学の人体モデル、流体力学)の設定に慣れておくことが非常に有効です。これらの問題は、一見すると見慣れない設定ですが、適用される物理法則は基礎的であることがほとんどです。

見かけの力・相対運動の訓練

特に力学において、加速する観測者から見た運動や、複数の物体が連携して動く問題(三角柱と小物体、滑車とばね)は頻出であり、慣性力や相対加速度を正しく扱う訓練が必要です。

まとめ:実践的な理解力 帝京大学医学部の物理試験は、専門的な医療機器のオペレーションマニュアルを読むようなものです。個々のスイッチ(物理法則)の機能(公式)を知っているだけでなく、それらが組み合わさって複雑な装置(人体のモデルや医療技術)がどう動くのか(導出過程)を理解し、さらに様々な単位(J, kcal, kWh)で結果を報告できる実践的な理解力が求められます。