2026 徳島大学医学部の特徴
地域医療と先端研究が融合する学びの舎
徳島県の医療を支え、全国、そして世界で活躍する医師を育成してきた徳島大学医学部。豊かな自然と穏やかな気候に恵まれた環境で、学生たちはどのような学びを得て、医師への道を歩んでいくのでしょうか。今回は、徳島大学医学部の持つ独自の魅力と特徴を、基本情報から教育内容、学生生活に至るまで詳しくご紹介します。
📌 大学の基本情報・立地
キャンパスとアクセス
徳島大学は、徳島市内に常三島(じょうさんじま)キャンパスと蔵本(くらもと)キャンパスの2つを構えています。医学部の学生が6年間を過ごすのは、徳島市の中心部から少し西に位置する蔵本キャンパスです。このキャンパスには医学部のほか、歯学部、薬学部、そして大学病院が隣接しており、医療系の学部が集結した一大拠点となっています。
キャンパス周辺は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店などが充実しており、学生が生活しやすい環境が整っています。徳島市の中心市街地へもアクセスしやすく、学業の合間にショッピングやリフレッシュを楽しむことも可能です。
また、徳島県は「日本の縮図」とも称されるほど、海、山、川の豊かな自然に恵まれています。休日には少し足を延ばして、渦潮で有名な鳴門や、サーフィンの名所である県南の海岸、緑豊かな山々でアウトドア活動を楽しむ学生も多く、穏やかな環境の中で充実した学生生活を送ることができます。医療の道を志す上で、心身のバランスを保ちやすいことも、徳島という土地が持つ大きな魅力の一つです。
住所
〒770-8503 徳島市蔵本町2丁目50-1
アクセス
JR徳島線: 「蔵本駅」で下車、徒歩約5分
徳島市営バス・徳島バス: 「中央病院・大学病院前」または「医学部前」で下車、徒歩約1〜2分
JR徳島駅から: JRで約7分、バスで約15分
🌟医学部医学科の教育の特徴
徳島大学医学部では、豊かな人間性と高い倫理観を備え、地域医療から最先端の研究まで、幅広い分野で社会に貢献できる医師の育成を目指しています。その教育カリキュラムには、学生の主体的な学びを促すための様々な工夫が凝らされています。
教育理念と目的
徳島大学医学部は、その教育の根幹として以下の目的を掲げています。
医学部は,医療・栄養・福祉に係る教育・研究・診療を通じて社会に貢献できる人材育成を目的とする。 【医学科】 医学科は,基本的な臨床能力及び基礎的な医学研究能力を備え,生涯にわたり医療,教育,保健・福祉活動を通じて社会に貢献し,医学の発展に寄与することができる人材の育成を目的とする。
この目的を達成するため、7つの具体的な教育目標が設定されており、人間性、生涯学習能力、チーム医療、基本的診療能力、地域医療への貢献、科学的探究力、国際性という多角的な視点から医師として必要な資質を涵養していきます。
各学年の特徴的な教育内容
1年次: 全学共通の教養教育科目を中心に学び、幅広い視野と豊かな人間性を育みます。早期から医療に触れる機会として、「早期体験実習」が設けられており、病院や福祉施設での体験を通じて、医療人としての心構えやコミュニケーションの重要性を学びます。また、医学・歯学・薬学部の1年生が合同で学ぶ「医歯薬連携・早期体験実習」は、チーム医療の基礎を築くための徳島大学ならではの特色あるプログラムです。
2年次・3年次: 本格的に基礎医学の講義と実習が始まります。解剖学、生理学、生化学といった人体の正常な構造と機能を学ぶ科目から、病理学、薬理学など病気の成り立ちや治療について深く掘り下げていきます。3年次には、基礎医学の知識と臨床医学をつなぐ「PBLチュートリアル教育」が導入されており、少人数のグループで課題解決型の学習に取り組み、自ら問題を発見し解決する能力を養います。
4年次: 臨床医学の各分野について系統的に学ぶとともに、CBT(Computer-Based Testing)やOSCE(客観的臨床能力試験)といった共用試験に向けた準備を進めます。これらの試験に合格することで、臨床実習への参加資格が得られます。また、学生が自らの興味に基づいて研究室に所属し、研究活動を行う「医学研究実習(リサーチ・クラークシップ)」もこの学年で行われ、研究マインドの育成に力が入れられています。
5年次・6年次: 診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)が中心となります。学生は大学病院や地域の関連病院で、診療チームの一員として指導医のもと、実際の患者さんの診療に参加します。知識や技術だけでなく、医師としての態度や倫理観を実践の場で学びます。実習期間中には選択制の期間も設けられており、国内外の医療機関での実習や、興味のある診療科でのより深い実習など、学生一人ひとりの希望に応じた多様な経験を積むことが可能です。
このように、徳島大学医学部では、低学年次からの動機づけ教育に始まり、基礎医学と臨床医学を有機的に結びつけ、研究マインドを育みながら、最終的に実践的な臨床能力を身につけるという、段階的かつ体系的なカリキュラムが構築されています。学生の主体性を尊重し、チーム医療や研究への意識を高く持つ医師を育成する教育が、その大きな強みです。
🏠学生生活・施設環境
部活動
蔵本キャンパスには、体育系・文化系を合わせて多くの部活動やサークルが存在します。特に医学部の学生が多く所属する部活動は、学年や学科を超えた交流の場として重要な役割を担っています。同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨し、西日本医科学生総合体育大会(西医体)などの大会で好成績を目指すことは、勉強漬けになりがちな医学部生活において、かけがえのない経験となるでしょう。先輩や後輩との縦のつながりが強く、試験対策の情報交換や学生生活に関するアドバイスなど、互いに支え合う文化が根付いています。
大学の周辺環境
蔵本キャンパスは徳島市の中心部に近い閑静な住宅街に位置しており、落ち着いて学業に専念できる環境です。徒歩圏内にスーパーやドラッグストア、飲食店が多数あり、日常生活で不便を感じることは少ないでしょう。少し足を延せば、JR徳島駅周辺の商業施設で買い物を楽しむこともできます。また、徳島市は吉野川が流れ、眉山(びざん)がそびえるなど、都市機能と自然が調和した街です。穏やかな気候と相まって、心にゆとりを持って生活することができます。
先輩後輩の関係
部活動や、徳島ならではの文化である「阿波おどり」の連(サークルのような集まり)などを通じて、先輩後輩の強い絆が育まれます。特に医学科では、同じ道を志す先輩からのアドバイスは非常に貴重です。過去の試験問題の共有や、実習を乗り切るコツ、国家試験対策など、実体験に基づいた具体的なサポートを受けられる機会が多くあります。こうした密な人間関係は、6年間という長い医学部生活を乗り越える上で、大きな精神的支えとなります。
医学に関係した学習環境
学習環境の充実は、徳島大学医学部の大きな魅力の一つです。キャンパスに隣接する徳島大学病院は、徳島県の医療を担う中核病院であり、最先端の医療を間近で学ぶことができます。臨床実習では、この恵まれた環境を最大限に活用し、質の高い実践的な教育が行われます。 また、臨床技能のトレーニングを行うスキルス・ラボが設置されており、シミュレーターを用いて採血や縫合などの基本的な手技を繰り返し練習できます。学生は患者さんに接する前に、安全な環境で十分なトレーニングを積むことが可能です。 蔵本分館(図書館)も、医学専門書や学術雑誌が豊富に揃っており、静かな環境で自習に集中できるスペースが確保されています。
🩺 在学生・卒業生の声
徳島大学医学部で学ぶ学生や、ここで学び巣立っていった卒業生は、どのような点に魅力を感じているのでしょうか。公式サイトに寄せられたメッセージから、その声をご紹介します。
在学生の声
挑戦を後押ししてくれる環境 「大学は高校の時と比べ自由な時間が増え、自分の行動次第でどんなものにも変えていくことができる場所です。失敗を恐れずに自分の心が躍るものに積極的に挑戦してほしいと思います。」という声がありました。徳島大学には、学生の自主性を尊重し、新たなチャレンジを応援する雰囲気があるようです。
出会いの大切さ 「大学生活の中での新たな出会いを大切にしてください。」というメッセージも寄せられています。部活動やサークル、授業などを通じて、生涯の友となる仲間や、目標となる先輩に出会えることが、学生生活を豊かにする重要な要素であると感じている学生が多いようです。
卒業生の声
徳島で過ごした青春時代への想い 「今の基礎をつくってくれたのは青春時代の6年間を徳島で過ごせたことで、すごく強い思い入れがありますね。」と語る卒業生がいます。穏やかな環境と、そこで築かれた人間関係が、医師としてのキャリアの礎となっていることが伺えます。
夢と人間関係の重要性 「学生は、夢を持って行動することが必要です。それに加えて、素晴らしい友達をつくること。何よりも人間関係って大事ですよね。」というメッセージは、後輩たちへの温かいエールです。徳島大学での学びが、知識や技術だけでなく、人とのつながりの大切さを教えてくれたと感じている卒業生が多いことが伝わってきます。
🌱 どのよう医師を目指す人に向いているか
徳島大学医学部は、その教育カリキュラムや環境から、特定の志向を持つ学生にとって非常に魅力的な学びの場であると言えます。
向いている人
- 地域医療に貢献したいという強い意志を持つ人: 徳島県の中核医療機関である大学病院での実習や、地域に根差した医療を学ぶ機会が豊富にあります。将来、地域に密着した医療で人々の健康を支えたいと考えている人にとって、理想的な環境です。
- チーム医療の重要性を理解し、協調性を大切にする人: 1年次から医・歯・薬学部合同の連携教育が行われており、多職種との連携を早い段階から意識することができます。将来、様々な医療スタッフと協力しながら患者中心の医療を実践したい人に適しています。
- 研究にも興味があり、科学的探究心を持つ人: 4年次に「医学研究実習」が必修となっており、基礎研究に触れる機会が設けられています。臨床医としてだけでなく、医学の発展に貢献する研究医(MD-PhD)への道も開かれており、知的好奇心が旺盛な人に向いています。
- 落ち着いた環境で、学業と課外活動を両立させたい人: 豊かな自然に囲まれ、都市の喧騒から少し離れた穏やかな環境は、勉学に集中するのに適しています。また、学生間のつながりが強く、部活動なども活発なため、充実した学生生活を送りたい人にも良い選択肢です。
向いていない可能性がある人
- 大都市での刺激的なキャンパスライフを最優先する人: 徳島市は生活しやすい街ですが、東京や大阪のような大都市と比較すると、商業施設やエンターテイメントの規模は限られます。華やかで刺激的な都市生活に強い憧れを持つ人には、少し物足りなく感じるかもしれません。
- 完全に受け身の姿勢で学習したい人: PBLチュートリアル教育など、学生の主体的な参加を求める授業が多くあります。自ら課題を見つけ、仲間と議論しながら学ぶ姿勢が求められるため、講義を聴くだけの受動的な学習スタイルを好む人には、合わない可能性があります。
- 超早期から専門分野に特化した教育を望む人: 徳島大学のカリキュラムは、幅広い基礎知識と技能をバランスよく習得し、全人的な医療を実践できる医師の育成を重視しています。特定の専門分野にのみ、ごく早い段階から特化して学びたいという志向が強すぎる場合、少し遠回りに感じることがあるかもしれません。
徳島大学医学部は、地域への貢献を視野に入れつつ、科学的根拠に基づいた医療を実践できる、人間性豊かな医師の育成に力を入れています。ここで得られる知識、技術、そして何よりも温かい人間関係は、将来どのような道に進むとしても、医師としての人生を支える確かな礎となるでしょう。地域に根ざし、人々に寄り添う医療を志す人にとって、徳島大学医学部は非常に魅力的な選択肢の一つです。
📚出典
徳島大学. 「医学部」. https://www.tokushima-u.ac.jp/department/department/medical/. (2024-08-20閲覧)
徳島大学. 「医学部の教育目的・目標」. https://www.tokushima-u.ac.jp/med/faculty/guidance/objective.html. (2024-08-20閲覧)
徳島大学. 「教育研究上の目的と3つの方針|医学部|徳島大学」. https://portraits.niad.ac.jp/faculty/goal-policy/0344/0344-502-01-01.html. (2024-08-20閲覧)
徳島大学医学部教育支援センター. 「カリキュラム」. https://www.tokushima-u.ac.jp/scme/curriculum/curriculum.html. (2024-08-20閲覧)
徳島大学. 「アクセスマップ -蔵本-」. https://www.tokushima-u.ac.jp/access/kuramoto.html. (2024-08-20閲覧)
徳島大学. 「蔵本地区(拡大図)」. https://www.tokushima-u.ac.jp/access/campusmap_kuramoto.html. (2024-08-20閲覧)
徳島大学. 「センター・附属施設 – 徳島大学医学部・大学院」. https://www.tokushima-u.ac.jp/med/faculty/facilities/. (2024-08-20閲覧)
徳島大学医学部. (2024). 「ようこそ徳島大学医学部へ」, 医学部だより, 48. https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/4/4/6/0/3/1/_/igakubudayori48.pdf. (2024-08-20閲覧)
徳島大学基金. (2024). 「『大きな夢を持って失敗を恐れずに大空に羽ばたいてほしい』卒業生からの応援」. https://giving.honbu.tokushima-u.ac.jp/dvoice/15245.html. (2024-08-20閲覧)