2026 鹿児島大学 医学部 の特徴
鹿児島の自然と歴史が育む、未来の医療人
鹿児島県に位置する国立大学、鹿児島大学。その中でも、鹿児島の医療を支え、世界に羽ばたく医療人を育成してきたのが医学部です。今回は、鹿児島の雄大な自然に囲まれた桜ヶ丘キャンパスで、学生たちがどのように学び、成長していくのか、その魅力と特徴を深く掘り下げていきます。
📌 大学の基本情報・立地
キャンパスとアクセス
鹿児島大学は、鹿児島市内に複数のキャンパスを有する総合大学です。医学部と歯学部が置かれているのは、市の中心部から少し南に位置する「桜ヶ丘キャンパス」。その名の通り、緑豊かな高台にあり、落ち着いた環境で学問に集中することができます。キャンパスからは雄大な桜島を望むことができ、鹿児島の自然を日々感じながら過ごせるのは、他の都市部の大学にはない大きな魅力と言えるでしょう。
キャンパス周辺は、学生向けの住居も多く、スーパーマーケットや飲食店なども点在しており、生活に必要なものは一通り揃います。市の中心部である天文館や鹿児島中央駅へは、バスを利用してアクセスするのが一般的です。少し移動すれば、ショッピングや食事を楽しむことも可能です。学問に打ち込む静かな環境と、生活の利便性がバランス良く両立した立地と言えます。鹿児島の温暖な気候と、おおらかな県民性に育まれたこの地で、充実した6年間の大学生活を送ることができるでしょう。
住所
〒890-8544 鹿児島県鹿児島市桜ケ丘8丁目35-1
アクセス
JR鹿児島中央駅からバスで約30分、「大学病院前」または「歯学部前」下車
市電「騎射場」または「涙橋」電停からバスで約15分、「大学病院前」または「歯学部前」下車
鹿児島空港からリムジンバスで約70分、「鹿児島中央駅」経由でバスを利用
🌟医学部医学科の教育の特徴
鹿児島大学医学部では、知識や技術の習得はもちろんのこと、人間性豊かな医療人の育成を目指した体系的な教育プログラムが展開されています。
教育理念と目的
鹿児島大学医学部医学科は、その教育理念と目的を次のように定めています。
<教育理念>
「鹿児島大学医学部医学科は,生命の尊厳を深く理解し,高い倫理観と豊かな人間性を備え,地域社会,国際社会の保健・医療・福祉の発展に貢献できる医師,医学研究者を育成します。」
<学習目標>
「鹿児島大学医学部医学科は,卒業時に学生が以下の資質・能力を身につけていることを目指します。
プロフェッショナリズムと倫理観:医師としての責務を自覚し,豊かな人間性と高い倫理観を身につけ,患者中心の医療を実践できる。
医学知識と問題解決能力:幅広い医学知識と技能を修得し,科学的根拠に基づいた判断力と問題解決能力を身につけている。
コミュニケーション能力:患者やその家族,医療スタッフと良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を身につけている。
チーム医療の実践:保健・医療・福祉における多職種と連携・協働し,チーム医療を実践できる。
地域医療への貢献:地域の特性を理解し,地域が抱える健康問題を解決しようとする態度と能力を身につけている。
国際的視野:国際的な視野から医学・医療をとらえ,国際社会に貢献できる。
科学的探究心:医学・医療の発展に寄与するための科学的探究心をもち,生涯にわたり自己研鑽を続けることができる。」
各学年の特徴的な教育内容
鹿児島大学医学部では、これらの理念・目標を達成するために、6年間一貫した独自のカリキュラムを編成しています。
1年次: 医学を学ぶ上での基盤となる教養科目や早期体験実習が行われます。早期体験実習では、附属病院や関連施設を訪問し、医療の現場を肌で感じることで、医師を目指す動機付けを確かなものにします。また、他学部の学生と共に学ぶ共通教育科目を通じて、幅広い視野と豊かな人間性を育みます。
2年次・3年次: 人体の構造と機能、病気の成り立ちなどを学ぶ基礎医学と、社会と医療の関わりを学ぶ社会医学の講義・実習が中心となります。解剖実習をはじめ、生命科学の根幹をなす分野を体系的に学習し、医師としての科学的思考力の基礎を固める重要な時期です。
4年次: 臨床医学の各分野について、講義形式で集中的に学びます。また、これまでに学んだ知識と技能を統合し、臨床実習に備えるための共用試験(CBT・OSCE)が実施されます。さらに、鹿児島大学の大きな特徴である「離島・へき地医療実習」もこの学年で行われ、地域医療が抱える課題とやりがいを実体験として学びます。
5年次・6年次: 「クリニカル・クラークシップ(診療参加型臨床実習)」が教育の中心となります。学生は附属病院や地域の協力病院で、診療チームの一員として指導医のもと、実際の診療に参加します。担当の患者さんを受け持ち、診断から治療計画の立案、実施までの一連のプロセスを経験することで、実践的な診断能力、治療技術、そして医師としての責任感を養います。豊富な症例を経験し、医師として必要な臨床能力を総合的に高める期間です。
このように、鹿児島大学医学部では、早期からの臨床現場体験、地域特性を活かした離島・へき地医療実習、そして学生が主体となる診療参加型臨床実習を重層的に組み合わせることで、知識、技術、そして豊かな人間性を兼ね備えた医師の育成を目指しています。単なる知識の伝達に留まらず、学生一人ひとりが自ら課題を見つけ、解決していく能力を育む教育が実践されています。
🏠学生生活・施設環境
部活動
医学部の学生の多くは、部活動に所属して充実した日々を送っています。体育系、文化系ともに数多くのサークルがあり、特に医学部・歯学部の学生で構成される部活動が活発です。同じ目標を持つ仲間たちと練習に励み、九州・山口地区の医歯薬系大学が集う大会(九山)などを目指して切磋琢磨する経験は、協調性や忍耐力を養う絶好の機会となります。学年を超えた縦のつながりが生まれやすく、試験対策の情報交換や学生生活の相談など、学業面でも大きな支えとなっています。
大学の周辺環境
桜ヶ丘キャンパスは、鹿児島の市街地から少し離れた閑静な高台にあります。そのため、落ち着いて勉学に集中できる環境です。坂が多い地形ですが、その分、キャンパスからの眺めは素晴らしく、特に桜島が見える景色は格別です。周辺には学生向けの物件が多く、家賃も比較的安価な傾向にあります。日常の買い物に便利なスーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアもあり、生活に不便を感じることは少ないでしょう。少し足を延せば大型の商業施設もあり、休日のリフレッシュにも困りません。
先輩後輩の関係
医学部では、6年間という長い期間を同じキャンパスで過ごすため、学生同士の結びつきが非常に強くなる傾向があります。特に部活動や研究室などを通じて、学年を超えた密な関係が築かれています。先輩からは、履修の組み方や試験対策のノウハウ、実習での心構えなど、具体的なアドバイスをもらえる機会が豊富にあります。こうした縦のつながりは、学生生活における不安を解消し、円滑な学習をサポートしてくれる心強い存在です。卒業後も、同窓会などを通じてこの関係は続き、医師としてのキャリアを歩む上で大きな財産となります。
医学に関係した学習環境
学生の学びをサポートする施設が充実しています。桜ヶ丘キャンパスにある「桜ヶ丘図書館」には、医学・歯学関連の専門書や学術雑誌が豊富に揃っており、静かな環境で学習や研究に没頭できます。グループ学習室や個人ブースなども整備されています。また、附属病院に隣接しているという立地は、臨床の現場を身近に感じながら学べるという大きなメリットです。最新の医療設備や多くの症例に触れる機会は、学生の学習意欲を大いに刺激します。講義室や実習室も整備されており、学生が効果的に学習を進められる環境が提供されています。
🩺 在学生・卒業生の声
※以下は、鹿児島大学公式サイトに掲載されている情報を基に構成したものです。
公式サイトでは、教員や研究者の紹介は豊富ですが、在学生や卒業生の個別の声(インタビュー記事など)は、現時点では掲載が少ないようです。しかし、大学が発信する様々な情報から、学生たちがどのような経験を積んでいるかを垣間見ることができます。
在学生の声(大学情報からの推察)
地域医療の最前線を体験して 4年次に実施される「離島・へき地医療実習」は、鹿児島大学医学部の大きな特色です。多くの学生がこの実習を通して、都市部とは異なる医療の現状や、地域住民との温かい交流を経験します。限られた医療資源の中で、患者さん一人ひとりと密接に関わる総合診療医の重要性を肌で感じ、将来、地域医療に貢献したいという思いを強くする学生も少なくありません。教科書だけでは学べない、実践的な学びと医師としての使命感を育む貴重な機会となっているようです。
卒業生の声(大学情報からの推察)
診療参加型実習で培われた実践力 5年次から始まるクリニカル・クラークシップは、卒業生が医師として働き始めた際に、その価値を実感する経験となるようです。学生時代から診療チームの一員として、指導医のもとで主体的に診療に参加した経験は、臨床現場での即戦力となるための大きな礎となります。手技を学び、患者さんとのコミュニケーションを重ね、臨床推論を実践する中で培われた能力は、卒業後の初期研修においてもスムーズなスタートを切る助けとなります。多くの卒業生が、この実践的な臨床実習が医師としての自信につながったと感じていることでしょう。
🌱 どのよう医師を目指す人に向いているか
鹿児島大学医学部は、豊かな自然環境の中で、着実に実践力を身につけ、人間性豊かな医師を目指すための優れた教育環境を提供しています。
どんな医者を目指している人に向いているか
地域医療、特に離島・へき地医療に貢献したい人
理由:カリキュラムに「離島・へき地医療実習」が組み込まれており、地域医療の現場を深く学ぶ機会が豊富にあります。地域が抱える課題に触れ、そこで活躍する医師の姿を間近に見ることで、地域医療への使命感を育むことができます。
早期から臨床現場に触れ、実践的なスキルを磨きたい人
理由:1年次の早期体験実習から始まり、高学年では診療チームの一員となるクリニカル・クラークシップが中心となります。座学だけでなく、実際の患者さんと向き合う中で、着実に臨床能力を高めていきたいという意欲のある人に適しています。
研究マインドを持ち、基礎研究や臨床研究にも興味がある人
理由:鹿児島大学は総合大学であり、医学部内でも様々な分野で先進的な研究が行われています。学生が研究室に所属し、研究活動に参加する機会も開かれています。将来、研究医や大学教員としてのキャリアを考えている人にとっても、その礎を築く環境があります。
落ち着いた環境で、学業や課外活動に集中したい人
理由:緑豊かな高台にある桜ヶ丘キャンパスは、都会の喧騒から離れ、じっくりと学問に打ち込める環境です。また、学生同士の結びつきが強く、部活動なども盛んなため、勉強と学生生活のバランスを取りながら充実した6年間を送りたい人に向いています。
向いていない可能性がある人
大都市での刺激的なキャンパスライフを最優先に考えている人
理由:キャンパスは市街地から少し離れた落ち着いた環境にあります。交通の便や商業施設の多さといった面では、東京や大阪などの大都市にある大学とは異なります。華やかさや利便性を最も重視する人には、少し物足りなく感じる可能性があります。
完全に受け身の姿勢で、講義だけを聴いていたい人
理由:鹿児島大学のカリキュラムは、実習や診療参加など、学生の主体的な参加を求める場面が多くあります。自ら課題を見つけ、チームで協力し、積極的に行動することが求められるため、受動的な学習スタイルを好む人には合わないかもしれません。
鹿児島大学医学部医学科は、「地域への貢献」「実践力の養成」「探究心の育成」を重視する人に非常に向いています。一方で、都市部での華やかな生活や、受動的な学習スタイルを望む人にとっては、その環境が必ずしも合致しない可能性があります。ここでの学びは、医師としての確かな知識・技術だけでなく、人間性と社会貢献への強い意志を共に育てたい人にとって、非常に価値のある舞台となるでしょう。
📚出典
鹿児島大学医学部医学科, 「教育理念・目標」, https://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/medicine/education-policy.html, 2024年閲覧.
鹿児島大学医学部医学科, 「医学科の教育」, https://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/medicine/education.html, 2024年閲覧.
鹿児島大学, 「桜ヶ丘キャンパス」, https://www.kagoshima-u.ac.jp/about/campus/sakuragaoka.html, 2024年閲覧.
鹿児島大学, 「アクセス」, https://www.kagoshima-u.ac.jp/about/access.html, 2024年閲覧.