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東京女子医科大学 一般選抜 出題傾向 物理

傾向と対策の概要

東京女子医科大学の物理入試は、大問3題、試験時間120分という形式が安定しており、力学、電磁気、波動、熱力学の主要4分野から毎年バランスよく出題されます。

解答形式は、文字式や数値による空欄補充の誘導形式が中心ですが、2025年度には小問集合形式(II)で幅広い知識を問う選択式問題が多く導入されました。

最大の特徴は、基礎法則の深い理解と、それを複雑な状況(特に複合問題)で論理的に応用し、正確な文字式として導出する能力が求められる点です。設問中には、問題文にない物理量を用いる際に「定義してから用いること」という指示が一貫して記載されています。

試験形式の安定性と構成

  • 試験時間と科目数: 2018年度以降、一貫して2科目で120分の形式が維持されています。
  • 大問構成: 物理は大問3題 (I, II, III)で構成される形式が継続しています。
  • 解答形式: ほとんどの問題が、導出過程を踏ませる空欄補充形式であり、文字式、数値、または語句(例:分散、スペクトル、全反射など)を要求します。
  • 導出の重視: 「問題文にない物理量を用いるときは定義してから用いること」という指示が全年度を通じて共通しており、解答に至るまでの論理的厳密性が重視されています。

試験形式の大きな変化

大問数や試験時間といった基本構造に大きな変化はありませんが、2025年度の出題形式の多様化は注目すべき変化です。

知識・計算型選択肢問題の導入(2025年度)

2025年度の大問IIでは、力学、熱力学、波動、現代物理を含む多岐にわたるテーマについて、純粋な計算や知識を問う小問集合形式(A〜L)が採用され、解答に選択肢の記号を記入する形式となりました。これは、従来の「大問内の誘導に沿って複雑な文字式を導出させる」形式に加え、幅広い分野の基礎知識を迅速に処理する能力も試す傾向を示唆しています。

グラフ・図示問題の継続

解答用紙に軌跡やグラフを描くよう要求する設問が継続的に出題されています。

  • 2018 I (5)
  • 2019 I (2) ($P-V$グラフ)
  • 2022 I (3) (軌跡)
  • 2023 I (8) (v-tグラフ)
  • 2024 III (A) (電場/電位グラフ)
  • 2025 I (A) (v-tグラフ)

出題分野や出題テーマの傾向

主要4分野および現代物理からバランスよく、かつ複合的に出題されています。

分野 頻出テーマ(年度例) 特徴的な出題傾向
力学 (I) 複合運動と衝突 (ばね・衝突)、単振動 (ばね、浮力、振り子)、斜方投射 (衝突、壁反射、v-tグラフ解析)、台上の物体の運動 (相対運動、摩擦)。 運動量保存則やエネルギー保存則を複数回適用させる、または非慣性系(遠心力)の考察が求められます。
熱力学 (I/II) 熱サイクル (A→B→C→D→Aなど) の解析と熱効率の計算、熱力学第一法則の適用。 $P-V$ グラフの作成や解釈が必須です。2025年度では熱容量や比熱の計算も登場しました。
波動 (I/II) 干渉現象 (プリズム、薄膜、ヤングの実験)、ドップラー効果とうなり、音の干渉。 光路差・経路差の正確な計算や、物理現象(分散、全反射)の語句説明が問われます。
電磁気 (III) コンデンサー (誘電体挿入、電気量保存、ばねとの複合)、直流回路 (端子電圧、最大電力、グラフ解析)、磁場中の誘導現象 (導体棒の運動と誘導起電力)、質量分析器・ホール効果。 回路問題は計算量が多く、コンデンサーと他の力学的要素を組み合わせる複合問題が頻出します。
現代物理 光電効果 (グラフ解析、プランク定数)、質量分析器、核反応・半減期。 現代物理の知識が、大問IIまたはIIIの一部として出題される傾向があります。

特徴的な傾向

複合問題とエネルギー保存の徹底追求

複数の物理現象が同時に起こる状況設定が多く見られます。特に、力学的エネルギーの損失を伴う現象や、異なるエネルギー形態間の変換(例:ばねの弾性エネルギーとコンデンサーの静電エネルギー、力学的エネルギーとジュール熱)に関する問題が頻繁に出題されます。2024年度 I(A)では、水に浮かぶ物体の運動と単振動の周期計算が組み合わされました。

正確な文字式導出と計算能力の要求

解答の多くが数値ではなく、与えられた物理量を用いた複雑な文字式(例:2020 I(6)の失われた力学的エネルギー、2024 I(B)のばねの縮み)で求められるため、途中計算での正確性が極めて重要です。

基礎定数や専門用語の確認(2025年度)

2025年度の大問IIでは、ボルツマン定数、ミリカンによる電気素量の発見、X線最短波長、放射線の透過力と電離作用といった、物理学史や医学に関連する分野の基礎知識を短時間で問う設問が特徴的でした。

対策

全分野の基本法則の網羅的学習

特定の分野に偏りなく、力学、電磁気、熱力学、波動、現代物理の全ての基礎知識を確立する必要があります。特に熱力学と現代物理(光電効果、核物理)は頻出テーマとして重点的に学習してください。

定義に基づく文字式導出の訓練

「問題文にない物理量を用いるときは定義してから用いること」という指示に対応するため、基本法則(運動方程式、保存則、熱力学第一法則など)を、設定した変数を用いて正確に記述し、最後まで導出する練習を積んでください。解答を数値でなく文字式で要求されることが多いため、計算ミスのない文字式処理能力を養うことが必須です。

グラフ作成と物理量の意味の理解

$P-V$グラフやv-tグラフなど、物理量の変化を図示する練習を徹底し、グラフの傾きや面積が何を示すのか(例:$P-V$グラフの面積=仕事)を即座に答えられるようにしてください。

複合問題の重点演習

力学と電磁気(ばね・コンデンサー)、力学と熱力学(浮力・単振動)など、異なる分野の法則が絡み合う問題に慣れておくことが、得点源となります。複数の現象が同時に起こる場合、エネルギー保存則や運動量保存則が適用できる範囲と、エネルギーが失われる過程(ジュール熱、摩擦)を明確に区別できるようにしましょう。

過去問を用いた時間配分の確認

大問IとIIIは複雑な誘導形式、大問IIは幅広い知識(2025年度以降)という構成を想定し、120分間で全問を解き切るための戦略的な時間配分を確立してください。