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東京女子医科大学 一般選抜 出題傾向 生物

傾向と対策の概要

東京女子医科大学医学部(生物)の入試は、基礎的な知識の確実な理解を前提としつつ、高度な実験考察力と論理的思考力、そして迅速かつ正確な計算能力を要求する点が最大の特徴です。出題範囲は高校生物の全範囲を網羅していますが、特に分子生物学、代謝、動物生理学が重要テーマとして毎年深く掘り下げられています。

近年は、医学・医療に関連するトピック(鎌状赤血球症とマラリア、アナフィラキシー、のう胞性繊維症/CFTR、免疫寛容/移植)や、現代的なバイオテクノロジーの知識(DNA鑑定、遺伝子治療/ウイルスベクター)が、実験考察の形式で出題されています。

試験形式の安定性と構成

東京女子医科大学の入試形式は、この期間を通じて非常に安定しています。

時間構成 生物は他の1科目(化学または物理)と合わせて120分で実施されます。
大問構成 大問は通常、ローマ数字(I、II、III、IV、V)で構成され、それぞれがさらに細分化された小問(A、B、Cなど)を含む長文読解・実験考察形式です。
解答形式 主にマークシート方式ですが、解答の一部には記述式解答用紙への説明や計算結果の記入(例:呼吸商の計算、体温上昇の理由の記述、体液量の計算、血液量の計算)が必要となる複合形式です。

試験形式の大きな変化

試験の基本的な枠組みや時間配分に大きな変更は見られませんが、出題内容の傾向として、専門性と応用度が増している傾向が見られます。

  • 実験考察の深化:単なる実験の知識を問うだけでなく、設定された阻害剤(例:電子伝達系における化合物 A, B, C の作用)や突然変異(例:酵素の欠損、tRNAの一塩基置換)が生物学的現象に与える影響を、論理的に分析させる問題が増えています。
  • 計算の複雑化:伴性遺伝における遺伝子頻度の世代間変化(2019年度)や、鎌状赤血球症遺伝子頻度の計算(2022年度)、呼吸・発酵両方でのグルコース消費量の詳細計算(2024年度)、さらには循環器系の血流量計算(2025年度)など、複数のステップを踏む複雑な数値計算が頻繁に出題されています。

出題分野や出題テーマの傾向

高校生物のほぼ全ての範囲から満遍なく出題されますが、特に以下の分野が頻出かつ重要です。

分子生物学・遺伝

  • 核酸の構造と複製:DNAの半保存的複製(メセルソン・スタール実験)やDNA複製機構(リーディング鎖、ラギング鎖、岡崎フラグメント)が繰り返し出題されています。
  • 転写・翻訳と遺伝子発現制御:tRNAの構造と機能、コドンとアミノ酸の対応、オペロン説(ラクトースオペロン型/トリプトファンオペロン型)や、転写調節タンパク質による遺伝子発現の制御メカニズム。
  • 応用遺伝学:伴性遺伝、連鎖と組換え、ハーディ・ワインベルグの法則を用いた遺伝子頻度計算。

代謝

  • 呼吸と発酵:解糖系、クエン酸回路、電子伝達系の詳細(場所、物質の出入り、ATP/NADH/FADH2の生成/消費)。酵素(アポ酵素/補酵素)の性質と分離実験。
  • 光合成:カルビン・ベンソン回路の物質収支、ルビスコの性質と地球大気の歴史(酸素濃度との関連)。

動物生理・恒常性

  • 神経と興奮伝導:活動電位の発生(静止電位、脱分極)、シナプス伝達(興奮性/抑制性)、反射弓の構成。
  • 循環と体液:血液循環(動脈血/静脈血、心拍動の調節)、体液(細胞内液/組織液/血しょう)の測定(重水、イヌリン)。
  • 恒常性:体温調節(自律神経と内分泌の連携、皮膚の血管収縮/拡張)。

発生・進化

  • 動物発生:ショウジョウバエやホヤの発生、母性因子、ホメオティック遺伝子による体軸決定。
  • 進化:分子系統樹の作成、地質時代の生物進化(全球凍結、エディアカラ生物群、カンブリア大爆発)。
  • 生態:窒素循環。

特徴的な傾向

  • 医学・医療との密接な連携:循環器系(酸素飽和度、血流量、心臓の構造)や免疫・炎症反応、遺伝病(鎌状赤血球症、のう胞性繊維症)など、医療現場で重要となる生物学的なテーマが頻繁に取り上げられています。
  • 生命現象を定量的に扱う計算問題:呼吸商、遺伝子頻度、体液量、および生理的なフロー計算(例:心拍出量、肝臓の血流量)など、計算を必須とする問題が大きなウェイトを占めます。
  • 長文読解と情報の取捨選択:各大問のリード文が非常に長く、実験設定が複雑です。合格には、必要な情報(特に実験結果や前提条件)を正確に読み取り、知識と結びつけて論理的に解答を導く能力が不可欠です。
  • 応用バイオテクノロジーの常態化:遺伝子操作技術やDNA鑑定の基礎となる知識(制限酵素、DNAリガーゼ、RFLP)が、もはや応用分野ではなく、核となる知識として出題されています。
  • 細胞骨格・細胞小器官の詳細:核膜孔を通過する物質、リソソームの機能、細胞骨格(アクチン、中間径フィラメント)など、細胞レベルの構造と機能に関する詳細な知識が問われます。

対策

  • 核心分野の完璧なマスター:分子生物学(複製、発現、制御)と代謝(解糖、TCA、ETC)の反応経路、関与物質、および細胞内での局在を、図や構造式レベルで完全に理解することが求められます。特に、ATP、NADH、FADH2などのエネルギー収支と補酵素の役割を疎かにしないことが重要です。
  • 計算問題の特訓:過去問や類題を用いて、呼吸商、遺伝子頻度(特に伴性遺伝)、体液量、および最新の生理学計算問題(血流量、酸素飽和度)の演習を徹底します。計算ミスをしない正確性と、複雑な比率を扱う速さを養う必要があります。
  • 実験考察力の養成:図やグラフ、実験結果の表を前にして、「この実験は何を証明しようとしているのか」を即座に把握し、未知の化合物や遺伝子の機能を類推する訓練を積みます。特に、仮説を立て、それを検証するプロセスを意識して過去問を解くことが有効です。
  • 医学関連知識の系統的整理:循環器、内分泌、免疫の恒常性維持機構について、病態や遺伝的背景(例:色覚異常、鎌状赤血球症)と関連付けながら理解を深めます。医学部入試特有の出題意図を意識した学習が求められます。
  • 専門用語と記述対策:好中球や好塩基球、アナフィラキシー、ホメオティック遺伝子、アクアポリンなど、頻出する専門用語を正確に記憶し、論理的な説明が求められる記述問題(例:体温上昇の理由、免疫寛容のメカニズム)に備えます。