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東邦大学 一般選抜 出題傾向 化学

傾向と対策の概要

東邦大学医学部の化学は、例年、難易度が基本から標準レベルで設定されていますが、一部に発展的な内容や、計算が煩雑で難度の高い問題が含まれます。

試験は2科目で120分で行われるため、問題量に対して試験時間は短い傾向にあり、特に設問数が多い年(例:2019年度32問、2021年度31問)には、時間的な余裕はほとんどありませんでした。したがって、幅広い知識の定着に加え、迅速かつ正確に解答する能力が必須となります。

試験形式の安定性と構成

試験形式の枠組みは安定しており、原則として大問3題構成(2025年度は2題構成でそれぞれが2つの中問に分かれている)が基本です。 大問は以下のように構成される傾向があります。

大問1:小問集合

理論、無機、有機の全範囲から幅広く出題され、全体の設問数の半分以上を占めることもあります。

大問2および大問3(または中問):テーマ別問題

多くの場合、(A)と(B)の中問に分かれ、それぞれが全く別のテーマ(例:滴定と平衡、有機化学と高分子など)で出題されています。

試験形式の大きな変化

大問の総数については、2018年、2020年~2024年が3題構成であるのに対し、2019年は4題構成、2025年は2題構成(ただし内部で細分化)と、年度によって多少の変動が見られます。 最も顕著な変化は設問総数の増減です。

年度 設問数傾向 講評からの考察
2019年 32問 時間的に余裕がない
2020年 23問程度 2019年度より減少
2021年 31問 2020年度より増加し、解答時間は厳しかった
2022年 25問 2021年度より減少したが、解答時間は厳しかった
2023年 25問 2022年度と同程度
2024年 22問 2023年度よりさらに減少
2025年 20問 2024年度より減少したが、解答時間は依然として厳しい

近年(2022年以降)、設問数は減少傾向にありますが、依然として時間が不足する可能性が指摘されています。

出題分野や出題テーマの傾向

化学の全分野から満遍なく出題されますが、特に理論化学の計算分野と有機化学・高分子分野が重要視されています。

1. 理論化学

  • 酸と塩基・平衡(最頻出): 弱酸・弱塩基のpH計算、緩衝液の計算(2018, 2019, 2025)。また、酸の電離平衡におけるHAとA-存在割合(α)に関する考察(2020)やグラフの読解(2020)が出題されています。
  • 滴定: シュウ酸(2価の酸)の中和滴定(2019)や、リン酸(多価の酸)の中和滴定(2023)など、複数段階の反応を含む中和の量的関係の計算が頻出です。
  • 希薄溶液の性質: 凝固点降下や浸透圧に関する計算が多く、特に電解質溶液の溶質粒子の総モル濃度や電離度(α)を考慮に入れた計算が必須です(2021, 2022, 2024)。
  • 熱化学: 結合エネルギーを用いた反応熱の計算(2023)、格子エネルギー/ボルン・ハーバーサイクル(2021)、そして安定化エネルギーの算出(2024)といった応用的なテーマが出題されています。
  • 反応速度: 反応速度式や反応次数(2019, 2023)、活性化エネルギーと触媒の影響(2019)など、定義の理解と実験結果からの解析が求められます。

2. 有機化学・高分子化合物

  • 異性体・構造決定: 構造異性体や立体異性体の数(アルカン、シクロアルカン、アルケンなど)を数え上げる問題が非常に重視されています(2018, 2020, 2023, 2025)。
  • 天然高分子(特に重点): ペプチド、アミノ酸、糖類に関する出題が多いです。
  • アミノ酸/ペプチド: 呈色反応(ビウレット、キサントプロテイン、硫黄検出)、等電点における電気泳動時の移動の考察、立体異性体(D/L体)の総数の計算、電離平衡の考察(2019, 2021, 2023)。
  • 糖類/繊維: セルロースやアミロースの構造、再生繊維(ビスコースレーヨン、アセテート繊維)の識別(2022)。アミロペクチンの枝分かれ構造の分析(メチル化法、2022)や、ニトロセルロースの硝酸エステル化の割合(2020)など、計算を伴う詳細な構造解析問題も出題されています。
  • 糖の旋光度/変旋光: 2024年度には、グルコースの比旋光度と変旋光を利用した混合割合の計算が出題されました。

特徴的な傾向

東邦大学医学部の化学では、受験生の思考力や応用力を試す、以下のような特徴的な出題が見られます。

高校範囲外の発展的なテーマの出題

  • 気相における分子の酸性度(2018): 熱化学と平衡定数を用いて、教科書では扱わない概念の大小を比較させる問題。
  • アレン骨格の立体異性体(2020): 分子不斉(アキラル)を持つアレン骨格の鏡像異性体に関する、難度の高い問題。
  • ピナコール転位(2022): 有機化合物AからBへの反応として、高校教科書にはない「ピナコール転位」反応が題材として取り上げられました。ただし、リード文の情報から類推できる出題形式でした。

煩雑かつ正確な計算の要求

複雑な中和滴定や高分子の構造解析(ニトロセルロースの窒素質量パーセント、アミロペクチンの枝分かれ解析)、浸透圧計算(電離度αを考慮)など、計算量が多かったり、わずかなミスで失点する可能性のある問題が多いです。

リード文の読解と誘導への対応力重視

見たことのないテーマや発展的な内容が出題される際(例:気相の酸性度、ピナコール転位)、問題文中の前提知識や誘導(リード文)を正確に読み取り、既習の原理(熱化学、平衡、反応機構の基本)を適用できるかどうかが問われています。

対策

上記の傾向に基づき、東邦大学医学部医学科の化学で合格点を取るために必要な対策は以下の通りです。

基礎知識の徹底と解答速度の向上

全分野の基礎知識を盤石にし、特に小問集合で出題される基本的な問題(原子の性質、イオンの形、標準的な無機・有機の知識など)を迅速かつ正確に処理できるよう訓練します。

理論化学の計算演習の強化

酸塩基、平衡、熱化学、浸透圧などの計算問題は、難度が高く、また計算量が多いため、重点的に演習する必要があります。特に、多価の酸の滴定、緩衝液のpH、電解質の浸透圧など、近似を用いず正確に立式する能力を養うことが重要です。

有機化学・高分子の高度な理解

天然高分子(ペプチド/アミノ酸、糖類/繊維)の構造、反応、そして計算を含む応用問題(分子量、分岐構造、電気泳動時の電離状態の考察)を深く学習します。 異性体(構造、幾何、立体、特に不斉炭素原子の有無と総数のカウント)に関する演習を繰り返し、高度な立体配置の識別(例:アレン骨格、シクロアルカン)にも対応できるように準備します。

応用力の育成と粘り強い思考力

過去問を通して、一見難解なリード文を正確に解釈し、問題の誘導に乗りながら、未知の反応や発展的な概念(例:ピナコール転位、安定化エネルギー)に既知の原理を応用する練習を積む必要があります。予測できる内容は計算ミスの回避にも役立ちます。