帝京大学 一般選抜 出題傾向 英語
傾向と対策の概要
帝京大学医学部の英語入試は、提供された2018年度から2025年度までの問題構成を見る限り、試験形式の安定性が極めて高いことが最大の特徴です。
出題内容は多岐にわたりますが、特に医療、公衆衛生、社会科学、生命科学といった医学部らしいアカデミックなテーマに深く特化しており、長文読解、語彙・文法、そして和文英訳を含む構文力のテストがバランスよく配置されています。
合格のためには、単に長文を読みこなす速さだけでなく、医学関連の専門的なテーマに対する理解力と、高度な文法・語彙知識に基づいた正確な解答力が不可欠です。
試験形式の安定性と構成
入試は概ね、英語①(60分)と英語②(60分)の2つの独立したセクションで構成されていることが示唆されます。
各年度、各セクションは概ね以下の4つの大問で構成され、この構造は2018年度から2025年度まで一貫して維持されています。
- 長文読解 (Reading Comprehension):最も配点の大きいセクションであり、医学や社会科学関連の長文が出題され、内容理解、空所補充、下線部訳、タイトル選択などの設問が問われます。
- 文法・語彙(空所補充/整序):文脈に合わせた適切な語句や熟語を選ぶ形式(Cloze Test)が頻出です。
- 内容合致または短文完成:短めの文章を読んで内容の真偽を判断するTrue/False形式や、文意に合う選択肢を選ぶ形式、あるいはパラフレーズ選択が出題されます。
- 和文英訳/英文整序:日本語の指示に基づき、与えられた語句を並べ替えて正しい英文を完成させる問題(整序英作文)が必ず出題されます。
試験形式の大きな変化
提供された資料が示す範囲(2018年度から2025年度)においては、試験形式に大きな変化は見られません。
出題される大問の数や種類、試験時間は極めて安定しており、傾向を把握した上で対策を練ることが可能です。
注意点:ただし、年度によって各大問の設問数が変動したり、長文の内容合致問題にTrue/False形式が採用されたり(2018年度、2019年度)、多岐にわたる文法・意味一致問題が出題されたりする(2018年度)など、細部のバリエーションはあります。
出題分野や出題テーマの傾向
出題される分野は、医学部入試として非常に明確な傾向を示しており、特に以下のテーマが繰り返し扱われています。
- 公衆衛生と疫学:がん発生率の地域差(2019年度)、麻疹の予防接種の重要性(2020年度)、睡眠不足と肥満の関連性(2022年度)、日本人の睡眠時間と健康(2025年度)。
- 最新の医療技術と倫理:VR(仮想現実)を利用した疼痛緩和(2020年度)、臓器提供の倫理(2018年度)、チャットボットによるメンタルヘルスケアと倫理(2025年度)。
- 心理学・精神医学:過誤記憶症候群(2020年度)、夢の解釈(2018年度)、ADHDの兆候(2021年度)、代理ミュンヒハウゼン症候群(2023年度)。
- 身体機能と健康概念:痛みの感覚に関する哲学的見解(デカルト)(2019年度)、体内浄化作用と恒常性(2021年度)、医学用語の起源(2025年度)、消化器系の個人差(2024年度)。
- 環境問題:深海の有害化学物質汚染(2020年度)。
全体として、科学的知識を前提としつつ、その社会的・倫理的な影響や歴史的背景を問う長文が多いのが特徴です。
特徴的な傾向
- 専門用語の理解が必須:長文読解や空所補充において、医学的・生物学的な専門用語(例:cornea、hepatitis C、obesity、pathogen、anonymity)やアカデミックな抽象語彙の知識が前提とされています。
- 文脈把握と論理展開の重視:長文の設問では、指示語(It, This) や接続詞・接続副詞(Nevertheless, However, In additionなど) の機能と文脈上の論理関係を正確に把握する能力が問われます。
- 整序英作文の難易度が高い:整序英作文(並べ替え)は毎年出題され、分詞構文、慣用表現(例:would rather... than、no better than、The + 比較級, the + 比較級)、倒置構文、仮定法 など、高度な文法知識と正確な構造理解が求められます。
対策
1. 医療・科学系テーマの背景知識習得
出題テーマの傾向が明確であるため、医療、公衆衛生、心理学、生命倫理に関する質の高い英文記事(例:The Wall Street Journal や専門誌からの抜粋)を継続的に読み込み、関連語彙や議論のパターンに慣れておくことが有効です。
2. アカデミックな語彙力・専門用語の強化
長文読解や空所補充で高得点を取るために、医学・生物学系の専門用語や、論理的な文章で頻出する抽象的なアカデミック語彙(例:disparity、eradicate、prevalence)を徹底的に習得する必要があります。
3. 難解な文法構造の克服(整序英作文対策)
整序英作文問題は、構文知識を総合的に試すため、過去問や問題集を通じて、仮定法、倒置、分詞構文、関係詞節が複雑に絡む構造 を迅速かつ正確に組み立てる訓練を積むべきです。
4. 論理的読解力の徹底
接続詞や指示語が何を指すのか、筆者の主張がどこでどのように転換しているのか(特に逆接の接続詞)を正確に追う練習が必要です。長文中の「内容と一致する/しない」を選ぶ問題では、本文の記述から一歩踏み込んだ推論(例:2023年度のMAMAの活動を巡る論点)が求められる場合もあります。
まとめとして、帝京大学医学部の英語は、形式は安定的ですが、出題テーマは高度であり、基礎的な語彙・文法知識の定着に加えて、専門的な文章の論理を追う精密な読解力が求められる、バランスの取れた試験であると言えます。これは、将来医療に携わる者として、学術的な情報を批判的に読み解く能力が問われているとも解釈できます。
この傾向を乗り切るためには、専門的な知識という「道具箱」と、複雑な英文を操る「設計図」(文法・構文)の両方を高い水準で備えることが、成功への王道です。