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聖マリアンナ医科大学 一般選抜 出題傾向 化学

傾向と対策の概要

聖マリアンナ医科大学の化学は、基礎知識の正確な理解を前提としつつ、高度な計算処理能力化学的原理に基づく論理的な記述能力を複合的に要求する、難易度の高い試験です。

理論化学、有機化学、無機化学、生化学の四分野からバランス良く出題されますが、以下の点に特に重点が置かれています。

  • 計算過程や原理の論述を詳細に問う形式(熱化学、平衡、溶液の性質、酸塩基)
  • 医科大学ならではの生化学的なテーマ(アミノ酸の性質と分離、ペプチドの構造決定、酵素の働き)

また、構造式や反応式において「すべての元素記号と価標を省略せずに描け」という指示が多く見られ、極めて高い正確性が求められています。

試験形式の安定性と構成

試験形式は2018年度から最新年度まで、「2科目 150分」の一部として実施されており、根幹部分は安定しています。

問題構成は、通常3または4つの大問から成り立っています。各大問は多岐にわたる小問で構成されており、以下の要素がバランス良く配置されています。

  • 選択肢問題
  • 計算問題
  • 化学反応式・構造式描写
  • 詳細な理由説明を求める論述問題

原子量や各種定数(アボガドロ定数、気体定数、イオン積など)は問題文中で指定されることが共通しています。

試験形式の大きな変化

大問数や試験時間といった形式の大きな変化は見られませんが、出題内容の専門性や高度な応用性が維持されています。

出題傾向に見られる「変化」というよりも「特徴」としては、分野融合的な問題が増えています。

  • 有機化学と物理化学の融合(高級脂肪酸の構造決定と融点の理由説明)
  • 生化学と分析化学の融合(質量分析を用いたペプチド配列決定)

このように、高度な知識を横断的に適用する能力が要求されています。

出題分野や出題テーマの傾向

出題分野は幅広く、特定の分野に偏ることなく難易度の高い問題が散見されます。

理論化学(物理化学)

  • 熱化学とエネルギー: 燃焼熱、生成熱、反応熱を用いた熱化学方程式の記述やヘスの法則の応用計算が頻出しています。特にエネルギー図の描写や読み取り、発熱・吸熱の符号の厳密な区別が求められます。
  • 酸と塩基・平衡: pH計算(強酸・強塩基の混合)、濃度平衡定数の計算と平衡移動の論述(ルシャトリエの原理)、溶解度積の計算と沈殿生成の判定、緩衝液のpH計算。
  • 電気化学: 電池の極での反応式、ファラデーの法則を用いた質量変化やpH変化の計算。

有機化学

  • 芳香族化合物の分離: 酸・塩基性の強弱に基づき、NaOH、HCl、CO2などを用いた抽出分離の操作とその化学反応式の記述が最重要テーマです。
  • 構造決定と反応: アルコールの酸化、脱水反応、付加重合、脂肪酸(高級脂肪酸)の構造決定と単分子膜。けん化価、ヨウ素価を用いた油脂の構造決定と計算。
  • 高分子: C6H4(COOH)2の異性体(フタル酸、テレフタル酸)の性質(酸無水物生成の可否)、PETの縮合重合とその重合度計算。

生化学(医科大学特有の重要分野)

  • アミノ酸とペプチド: 等電点の概念とイオン平衡、電気泳動による移動方向の判定、ニンヒドリン反応やビウレット反応などの定性反応。
  • 酵素: トリプシンやキモトリプシンによる加水分解の特異性と、質量分析によるアミノ酸配列の決定(2020年度)。酵素の基質特異性。
  • 糖類: グルコースの鎖状構造やハワース投影式の完成、セロビオースのβ-グリコシド結合の正確な描写。セルロースの難溶解性の理由(結合様式)の論述。

特徴的な傾向

記述・論述の徹底要求

「なぜそうなるのか」を問う問題が極めて多いです。以下のように、化学的原理を深く理解しているかを確認する論述が頻出します。

  • 濃硫酸に水を加える危険性
  • セルロースが水に溶けにくい理由
  • 水素が凝縮しにくい理由(水素結合に言及)
  • アンモニア燃焼による温暖化ガス低減の理由

正確な化学的表現の要求

構造式や化学反応式において、「すべての元素記号と価標を省略せずに描け」という指示が多用されています。また、計算問題では解答の過程を簡潔に示すことが要求されます。

医療・環境関連テーマの出題

リソソーム内の水素イオンの個数計算、抗生物質やサルファ剤の構造と作用機序、アルコールの体内代謝、P2Gや水素還元製鉄といった環境負荷軽減技術と熱化学の融合などが見られます。

対策

高い総合力と正確性が求められるため、以下の対策が有効です。

原理に基づく論述対策の徹底

現象の背景にある化学的原理(ルシャトリエの原理、分子間力、酸性・塩基性の強弱、結合エネルギーなど)を明確に把握し、簡潔かつ論理的に記述する練習を積んでください。過去問の論述問題は模範解答を参考に徹底的に訓練しましょう。

計算問題の過程記述の習得

熱化学、平衡定数、滴定計算、有機化学の価数計算など、複雑な計算問題では、単に答えを出すだけでなく、計算式と使用した数値の根拠を説明できるよう準備してください。有効数字の指定も厳格に守る必要があります。

有機・生化学の構造の厳密な暗記と理解

  • 芳香族化合物の分離パターンと試薬の役割(CO2の弱酸性による遊離など)を完全にマスターしてください。
  • アミノ酸の双性イオン、等電点、側鎖の性質を理解し、特に不斉炭素原子やペプチド結合の構造を正確に描写できるように練習してください。

無機化学は理論と関連づける

単なる暗記でなく、金属イオンの分離(系統分析)や、製鉄における熱化学の計算など、無機分野も理論化学と関連づけて出題されるため、総合的な学習が必要です。

総括

たとえるならば、聖マリアンナ医科大学の化学の試験は、「ハイレベルな法廷での化学論文の検証」に似ています。

最終的な結論(答え)が正しいだけでなく、その結論に至るまでの証拠(計算過程や反応原理)が厳密で論理的であり、「なぜそうなるのか」という論拠(論述)を誰にも反論できない形で説明できる能力が求められます。知識を単なる暗記ではなく、深い理解に基づいた形で備えることが必須です。