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聖マリアンナ医科大学 一般選抜 出題傾向 生物

傾向と対策の概要

聖マリアンナ医科大学の生物学入試は、実験データや提示された長いリード文を正確に読み解き、高度な論理的思考に基づいて解答を構成する能力を強く要求する点が最大の特徴です。

特に、字数・行数制限が厳密に設けられた記述・論述問題が非常に多く、科学的な正確さと簡潔な表現力が合否を左右します。医科大学としての専門性の高さを反映し、細胞生物学、動物生理学(循環、腎臓、神経)、免疫学、発生学といった分野が頻出しています。

試験形式の安定性と構成

2018年度から2024年度の期間を通じて、生物学の試験形式は極めて安定しています。

  • 試験時間・科目構成:生物を含む2科目で150分が与えられています。
  • 大問構成:例年、3つの大問で構成されています。
  • 出題形式:
    • 論述/記述:必須の要素であり、「1行で説明しなさい」「2行以内で述べなさい」といった厳格な制限のもとで、現象のメカニズムや実験の意義を説明させます。
    • 実験考察/データ分析:長いリード文、グラフ(図1, 2...)、表(表1-1...)が提示され、結果の解釈、仮説の検証、実験手法の意図の説明が求められます。
    • 計算問題:腎臓の再吸収率、血液の拍出量、生態学における現存量あたりの純生産量(回転率)、運動神経の伝導速度など、定量的な処理を要する問題が定着しています。

試験形式の大きな変化

2018年度以降、大問構成や出題形式の柱に構造的な大きな変化は認められません。安定した形式の中で、各年の大問テーマが入れ替わっている状況です。

出題分野や出題テーマの傾向

出題は広範囲にわたりますが、生命現象の調節機構、特に医学分野に関連性の高いテーマが重視されています。

1. 細胞生物学・分子生物学

  • 細胞周期と遺伝子発現:G₁期からS期への移行制御、ヒストン遺伝子の発現調節(DNA複製との同期)、チューブリンmRNAの分解による発現調節など、調節の仕組みが深く問われます。
  • 細胞骨格:微小管、中間径フィラメント、アクチンフィラメントの名称や機能(M期における紡錘糸形成と細胞質分裂)、モータータンパク質(ダイニン、キネシン)の役割。
  • 細胞小器官と共生:ミトコンドリアの起源と共生説の根拠、新たな共生体(Braarudosphaera bigelowiiの共生体)の細胞小器官化の検証(ゲノムサイズ縮小、宿主との増殖同期)に関する実験考察。

2. 動物生理学(循環、腎臓、神経)

  • 循環器系:心臓の刺激伝導系(洞房結節、房室結節、プルキンエ繊維)、心房と心室の収縮の時間差の意義、心拍数調節(自律神経、ホルモン)、冠動脈の血流特性、PVループ(容積・内圧関係)の分析。
  • 腎臓・排泄:腎臓の構造(ネフロン、皮質、髄質)、イヌリンを用いた原尿量と再吸収率の計算、グルコース再吸収(SGLT, GLUT)とナトリウムポンプの配置と機能、バソプレシンによる水再吸収調節(アクアポリン、受容体作用機序)、エリスロポエチンの作用段階。
  • 神経伝達:活動電位の発生と伝導(イオンチャネル、ポンプの働き)、興奮伝達の不可逆性、神経筋接合部での伝達時間、興奮性/抑制性シナプス後電位(EPSP/IPSP)とイオン透過性、空間的・時間的加重の違い。

3. 生態・進化・多様性

  • 進化・分類:系統関係の推定方法、脊椎動物の分類(無顎類、肉鰭類)、顎の獲得による食性の変化、旧口動物と新口動物の発生学的特徴。
  • 個体群・群集:縄張りの最適化(利益とコスト)、分散/平均値を用いた分布様式の判定(ランダム分布、集中分布など)、植生遷移と種子散布の有利性。
  • 生態系サービス:供給、調整、文化的、基盤サービスの具体的な事例分類。
  • 血縁度:社会性昆虫(セイヨウミツバチ)の血縁度計算と繁殖戦略。

4. 発生学・生殖

  • 発生と細胞死:プログラム細胞死(指間細胞死)と酸素濃度の関係性に関する実験考察、卵割の特徴。
  • 受精:哺乳類(マウス)の受精における精子の核の融合位置と極体放出の回避に関する実験考察。
  • 被子植物の生殖:重複受精の仕組み、花粉管誘引ペプチドの分解と拡散による誘引停止メカニズムの考察。

特徴的な傾向

  • 深い実験考察と論理の要求:単なる知識の確認ではなく、実験結果(グラフ、表、模式図)から因果関係を導き出し、そのメカニズムを論理的に説明させる問題が中心です。特に、2020年度のプログラム細胞死と酸素濃度、2023年度の精子融合位置、2024年度の誘引物質拡散などはその典型です。
  • 分子レベルでの調節機構の重視:遺伝子発現制御(ヒストン、チューブリン)、免疫応答のシグナル伝達(MHC+ペプチド、補助刺激分子、サイトカイン)、心臓の興奮発生(イオンチャネル電流If)など、現象を分子レベルで説明する能力が求められます。
  • 医学応用・関連性の高いテーマ:腎機能(SGLT2阻害薬)、循環器(バルーンパンピング)、免疫(抗血清、自己寛容)など、医学的な背景を持つテーマが頻繁に採用されています。
  • 厳格な字数・行数制限:「1行で」、「2行以内で」といった制限が非常に多いため、無駄なく情報を凝縮する記述力が不可欠です。

対策

記述・論述の徹底訓練

  • 「なぜならば」「このことから」といった論理構造を明確にし、指定された行数で完結させる練習を重ねてください。
  • 解答解説に示された模範解答の「型」を学び、専門用語を適切に盛り込む訓練が必須です。

実験考察問題への慣れ

過去問や類似問題を通じて、グラフの縦軸・横軸が何を示すのか、対照実験(ブランク)の目的、結果から導ける結論とそれが支持する説(例:精子抽出物注入実験)を即座に判断する力を養ってください。

分野別重要テーマの深掘り

  • 細胞生理学(イオンチャネル、ATP合成)
  • 恒常性維持(循環器、腎臓、体温調節)
  • 免疫学(T細胞の活性化条件、自己寛容、制御性T細胞)

これらのテーマについては、教科書以上の分子メカニズムや調節経路まで理解を深めることが有効です。

計算問題の準備

腎機能(再吸収率)や生態学(回転率)など、定番の計算問題を確実に得点できるように、計算手順と定量的な概念理解を徹底してください。

簡潔な記述能力を磨くための比喩

聖マリアンナ医科大学の記述問題への対策は、与えられたパズル(実験データと問い)を解き、その解答を定められた行数という「狭い金庫」に、一文字の狂いもなく正確に収める作業に似ています。情報が多すぎても、不足していても許されません。論理の核だけを抽出する高度な集中力が要求されます。