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埼玉医科大学 一般選抜 出題傾向 化学

傾向と対策の概要

埼玉医科大学医学部の化学は、一貫してマークシート形式を採用しており、特に高度な計算力と複雑な応用知識を要求する問題が特徴です。理論化学、無機化学、有機化学の全分野から満遍なく出題されますが、特に生化学や物理化学の応用的なテーマに重点が置かれる傾向があります。計算問題が多く、解答が桁ごとのマーク形式で求められることが多いため、正確性と迅速性が合否を分ける重要な要素となっています。

試験形式の安定性と構成

試験時間の変更

2021年度より試験時間が短縮されています。これにより、以前にも増してスピード感のある解答が求められるようになりました。

  • 2020年度まで:理科2科目で100分
  • 2021年度以降:理科2科目で90分

構成の安定性

大問構成 概ね大問3題構成が安定しています。
解答形式 すべてマークシート方式です。
計算問題 計算結果を「一の位」「小数第1位」「指数」など指定された桁数でマークさせる形式が頻繁に用いられます。
提供データ 原子量や気体定数(例:$8.3\times10^{3} \text{Pa}\cdot L/(\text{mol}\cdot K)$)は毎回提供されています。

試験形式の大きな変化

最大の変化は、2021年度入試における理科の試験時間の短縮(10分減)です。2019年度後期では、計算問題の桁マーク形式によりマーク数が54に増加し、「時間がタイト」であったと指摘されています。依然として高い解答スピードが要求される環境にあります。

出題分野や出題テーマの傾向

高校化学の全範囲から偏りなく出題されますが、特に以下のテーマが頻出かつ難度が高いです。

理論化学・無機化学の傾向

気体と熱化学

  • 理想気体と実在気体(ファンデルワールス力、圧縮率因子Z)に関する考察と計算。
  • 気体の燃焼反応と平衡、飽和蒸気圧の計算(容器内の分圧や水の液化)。
  • 結合エネルギーを用いた反応熱の計算(塩素と水素の反応、ダイヤモンドのC-C結合など)。

溶液と平衡

  • 浸透圧の計算(生体物質や電解質の濃度変化を伴う複雑な計算)。
  • 酸塩基平衡と緩衝液(硫酸の二段階電離の電離度計算、リン酸緩衝液の$\text{pH}$調整)。
  • 溶解度積を用いた沈殿条件(硫化物の沈殿$\text{pH}$、炭酸カルシウムの溶解)。

電気化学

  • 電気分解(陽極生成物、水溶液の$\text{pH}$変化、ファラデーの法則)。
  • 電池・燃料電池(起電力、エネルギー効率、ファラデーの法則を応用した生成物計算)。
  • 伝導度滴定($\text{HCl}$と$\text{NaOH}$、$\text{HCl}$と$\text{NH}_3$の滴定における電気伝導度変化)。

無機物質

  • 周期表の元素の性質、ハロゲン化水素やオキソ酸の酸強度と酸化数。
  • 金属の反応と製錬(Al, Fe, Cu, Ag, Ptなど、イオン化傾向と不動態)。

有機化学・高分子化学の傾向(特に生化学関連)

構造決定と機器分析

  • 複雑なエステルの構造決定(燃焼分析、ヨウ素価、オゾン分解、生成物の特定)。
  • ${}^{13}\text{C-NMR}$ スペクトルの解析によるアルコールの構造決定。
  • C4アルコールの異性体と酸化反応、ヨードホルム反応による特定。

生体分子と医薬品

  • アミノ酸とペプチドの構造決定(元素分析、ビウレット反応、滴定曲線、エステル化・アセチル化による末端基決定)。
  • アミノ酸の電気泳動と等電点の推定。
  • 糖類(グルコースの平衡構造、還元性、フィッシャー投影式)および多糖類(アミロペクチン、グリコーゲンの重合度計算)。
  • ビタミンC(アスコルビン酸)の酸化還元反応と滴定計算。

芳香族化学

  • サリチル酸誘導体(アセチル化、エステル化、工業的製法)。
  • ベンゼンの置換反応(配向性、収率計算)。
  • 共鳴構造式の数え上げ(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン)。

特徴的な傾向

1. 計算の精度と複雑性の要求

浸透圧、化学平衡、構造決定における計算量が非常に多く、煩雑です。浸透による体積変化や濃度低下を考慮した計算、複数の電離平衡が関わる溶液の$\text{pH}$計算など、高い数学的処理能力が求められます。

2. 医学・生命科学への強い関連付け

ヘモグロビンの機能と浸透圧、体内のアミノ酸代謝、リン酸緩衝液による$\text{pH}$制御、抗がん剤(シスプラチン)の構造など、医学分野に関連するテーマが目立ちます。

3. 発展的な物理化学の出題

高校範囲を超えた、または発展的な概念の理解を問う問題が頻出します。

  • 実在気体の状態方程式(ファンデルワールス式)の応用。
  • Arrhenius(アレニウス)の式を用いた反応速度定数と活性化エネルギー。
  • NMR(核磁気共鳴)による構造決定。

対策

1. 複雑な計算問題の克服

試験時間内に正確に計算を完了させるため、計算速度と精度の向上が最重要課題です。特に浸透圧や多段階電離平衡など、溶液の体積変化や濃度の変化を正確に追跡する練習を繰り返し、マーク形式(桁数指定)に慣れる必要があります。

2. 有機・生化学の深化

生体分子について、知識だけでなく定量的分析(分子量、重合度、$\text{pH}$による電荷変化)を習得してください。構造決定は、元素分析や実験反応の結果に加え、機器分析(NMRなど)の結果を論理的に統合して解けるように訓練が必要です。

3. 応用物理化学の概念理解

実在気体、反応速度論、コロイド化学などの発展的テーマについては、基本原理を定性・定量的に理解し、見慣れない問題設定にも対応できる応用力を養うことが不可欠です。

埼玉医科大学の化学は、まさに「知識を迅速かつ精密に応用する能力」を求めています。確固たる基礎知識に基づき、限られた時間の中で複雑な操作をミスなく遂行する洞察力を磨きましょう。