2026 長崎大学 医学部 の特徴
歴史と使命が息づく学び舎の魅力
長崎の地に深く根を下ろし、日本の近代医学の黎明期から発展を支えてきた長崎大学医学部。その歴史は、1857年にオランダ軍医ポンぺ・ファン・メールデルフォールトが開設した医学伝習所にまで遡ります。原子爆弾による壊滅的な被害からの復興という類稀なる経験を持つこの学び舎は、生命の尊厳と向き合い、地域から世界までを視野に入れた医療人の育成を使命としています。本記事では、そんな長崎大学医学部の持つ独自の魅力と教育環境について、公式サイトの情報をもとに詳しくご紹介します。
📌 大学の基本情報・立地
キャンパスとアクセス
長崎大学医学部は、長崎市内に点在するキャンパスのうち、主に「坂本キャンパス」に位置しています。このキャンパスは、長崎大学病院をはじめ、原爆後障害医療研究所や熱帯医学研究所など、医学研究の最前線を担う施設が集結する、まさに医学の拠点です。
周辺には、平和公園や浦上天主堂、原爆落下中心地など、長崎の歴史を物語る場所が数多く存在します。日常的に平和の尊さを感じながら学問に励むことができるこの環境は、長崎大学ならではの大きな特徴と言えるでしょう。学生たちは、歴史と共存する落ち着いた環境の中で、日々の学習や研究に取り組んでいます。市内中心部へのアクセスも良好でありながら、勉学に集中できる静かな雰囲気も併せ持っています。キャンパスからは長崎の街並みや美しい山々を望むことができ、四季折々の風景が学生生活に彩りを添えてくれます。
住所
坂本キャンパス1:〒852-8523 長崎県長崎市坂本1-12-4
坂本キャンパス2:〒852-8501 長崎県長崎市坂本1-7-1
アクセス
JR九州 長崎本線:「長崎駅」下車、路面電車「長崎駅前」電停から赤迫行きに乗車し、「大学病院」電停で下車(所要時間約15分)。
長崎バス:「長崎駅前」バス停から8番系統(下大橋行き)に乗車し、「大学病院前」バス停で下車(所要時間約15分)。
長崎空港から:リムジンバス(出島道路経由長崎駅前行き)に乗車し、「長崎駅前」で下車後、上記の路面電車またはバスに乗り換え。
🌟医学部医学科の教育の特徴
長崎大学医学部では、その歴史的背景と地理的特性を活かした、他に類を見ないユニークで質の高い教育が展開されています。
教育理念と目的
長崎大学医学部医学科は、以下のような理念と目的を掲げています。
ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針) 長崎大学医学部医学科は、所定の期間在学し、本学科学位プログラムの課程を修了して、下記の資質・能力を身につけた学生に「学士(医学)」の学位を授与します。
豊かな人間性と高い倫理観を身に付け、生命の尊厳を深く理解している。
科学的探究心を持って生涯にわたり自己研鑽に励み、医学・医療の発展に貢献する意欲と態度を身に付けている。
医師として必要な医学知識と診療技能を身に付け、問題解決のために応用することができる。
コミュニケーション能力ならびに指導力を備え、多職種と連携・協調してチーム医療を実践できる。
地域医療の重要性を理解し、医療・保健・福祉に貢献できる。
国際的視野を持ち、グローバルな医学・医療の課題に取り組むことができる。
被ばく医療、熱帯病・新興感染症、離島・へき地医療といった本学の特色ある分野を理解し、その重要性を説明できる。
各学年の特徴的な教育内容
長崎大学のカリキュラムは、基礎から臨床、そして長崎ならではの専門分野へと、段階的かつ体系的に学べるように構成されています。
1年次:主に文教キャンパスで、幅広い教養と人間性を育むための教養教育を受けます。この時期に、医療人としての土台となる倫理観やコミュニケーション能力の基礎を築きます。また、早期から医学に触れる機会として、医療施設の見学なども行われます。
2年次:坂本キャンパスでの専門教育が本格的に始まります。解剖学や生理学、生化学といった基礎医学の講義・実習が中心となります。特に、解剖実習では、ご献体と真摯に向き合うことを通して、人体の精緻な構造を学ぶとともに、生命の尊厳を深く心に刻みます。
3年次・4年次:基礎医学で得た知識をもとに、病気の原因や診断、治療について学ぶ臨床医学の講義が中心となります。臓器別の統合講義や少人数でのテュートリアル教育(PBL)を通じて、自ら問題を発見し解決する能力を養います。4年次には共用試験(CBT、OSCE)が実施され、臨床実習に進むための知識と技能、態度が評価されます。
5年次・6年次:臨床実習(クリニカル・クラークシップ)が教育の中心となります。学生は診療チームの一員として長崎大学病院や地域の医療機関での実習に臨みます。指導医のもとで実際に患者さんと接し、診断から治療計画の立案まで、実践的な診療能力を磨きます。また、長崎大学の大きな特徴である「熱帯医学」「放射線健康リスク制御」「離島・へき地医療」に関する専門的な実習や講義を選択することも可能です。海外の提携大学での臨床実習に参加する機会も設けられており、国際的な視野を広げることができます。
このように、長崎大学医学部では、講義で得た知識を少人数グループでの演習や実習で深め、最終的には臨床の現場で実践する能力へと繋げる教育プログラムが構築されています。特に、被ばく医療、熱帯医学、離島医療といった、地域的・歴史的背景から生まれた専門分野を深く学べる環境は、将来、特定の分野で社会に貢献したいと考える学生にとって大きな強みとなるでしょう。
🏠学生生活・施設環境
部活動
長崎大学には、全学的な体育系・文化系のサークルが多数存在し、医学部の学生も多く参加しています。他学部の学生との交流は、幅広い視野を育む貴重な機会となります。また、医学部・歯学部合同の部活動も活発で、同じ医療の道を志す仲間との強い絆を育んでいます。これらの部活動は、学年や学科を超えた縦と横の繋がりを生み出し、充実した学生生活を送るための重要な基盤となっています。医師になってからも続く、一生涯の仲間と出会える場でもあります。
大学の周辺環境
坂本キャンパスは、長崎市の中心部に近いながらも、落ち着いた環境にあります。路面電車の「大学病院」電停が目の前にあり、市内の主要な場所へのアクセスは非常に便利です。周辺には飲食店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアも揃っており、一人暮らしの学生にとっても生活しやすい環境が整っています。少し足を延せば、歴史的な建造物や美しい港の風景が広がる長崎ならではの街並みを楽しむことができます。勉強の合間のリフレッシュには事欠かない、魅力的なロケーションです。
先輩後輩の関係
部活動や、学年を超えて編成されるテュートリアル教育のグループなどを通じて、先輩後輩の繋がりが自然と生まれます。特に、同じ部活動に所属する先輩からは、試験対策や実習の乗り切り方など、学業に関する具体的なアドバイスをもらえる機会が多くあります。このような縦の繋がりは、学習面での不安を解消するだけでなく、将来のキャリアを考える上でも大きな助けとなります。アットホームな雰囲気の中で、学生同士が支え合いながら成長していける環境があると言えるでしょう。
医学に関係した学習環境
長崎大学医学部は、国内でも有数の恵まれた学習・研究環境を誇ります。 まず、キャンパスの中心には特定機能病院である長崎大学病院が隣接しており、最先端の医療を間近で学ぶことができます。 また、世界的に著名な熱帯医学研究所では、マラリアやデング熱といった感染症研究の最前線に触れることができます。アジア・アフリカ地域との共同研究も盛んで、グローバルな視点での医学研究に興味を持つ学生には絶好の環境です。 さらに、世界で唯一の原爆後障害医療研究所では、放射線の人体への影響や被ばく医療に関する高度な研究が行われており、原子爆弾の被災地である長崎ならではの専門的な学びが可能です。 これらの研究所は、学部生であっても研究室に所属し、早期から研究に触れる機会を提供しています。学習の拠点となる**医学分館(図書館)**も充実しており、膨大な医学専門書や電子ジャーナルを利用して、自主学習や研究を力強くサポートしています。
🩺 在学生・卒業生の声
公式サイトに寄せられたメッセージなどから、長崎大学医学部での学びの様子がうかがえます。
在学生の声
タイトル:長崎ならではの学びと温かい人の繋がり 学生の自主性を尊重してくれる校風があり、先生方も親身に相談に乗ってくださいます。特に、離島での実習は印象的で、地域医療の現場が抱える課題ややりがいを肌で感じることができました。部活動を通じてできた先輩や友人との繋がりは、勉強で大変な時も大きな支えになっています。
タイトル:世界レベルの研究に触れられる環境 早期から研究室に所属できるプログラムがあり、1年生のうちから熱帯医学研究所での研究に参加しています。世界的な課題である感染症の研究に携われることに、大きなやりがいを感じています。将来は、ここで得た知識と経験を活かして、国際的に貢献できる医師・研究者になりたいです。
卒業生の声
タイトル:長崎で培った経験が医師としての礎 長崎大学で学んだ被ばく者医療に関する知識は、現在の診療において非常に役立っています。また、学生時代の臨床実習で指導してくださった先生方の、患者さん一人ひとりに真摯に向き合う姿勢は、今でも私の目標です。地域に根ざした医療からグローバルな課題まで、幅広い視野を養ってくれた母校に感謝しています。
タイトル:チーム医療の重要性を学んだ場所 多職種連携教育を通じて、医師だけでなく、看護師や技師など、様々な医療スタッフと協力することの大切さを学びました。この経験は、現在のチーム医療を実践する上で不可欠なものとなっています。長崎大学は、単に医学知識を教えるだけでなく、医療人としての姿勢を育ててくれる場所でした。
🌱 どのよう医師を目指す人に向いているか
長崎大学医学部は、その歴史的背景と地理的特性から、独自の強みを持つ大学です。これらの特徴を踏まえ、どのような志向を持つ人に適しているか、また、どのような人には合わない可能性があるかをまとめます。
長崎大学医学部に向いている人
地域医療、特に離島・へき地医療に貢献したい人:長崎県が多くの離島を抱えていることから、離島医療実習などが充実しており、地域に密着した医療を深く学ぶことができます。
国際保健や感染症分野に興味がある人:世界的に有名な熱帯医学研究所があり、グローバルな健康問題、特に感染症について最先端の研究に触れながら学ぶことができます。将来、国際機関などで活躍したい人には魅力的な環境です。
被ばく者医療や放射線科学を学びたい人:世界で唯一の原爆後障害医療研究所を有し、被ばく医療の専門家から直接指導を受けることができます。この分野で社会に貢献したいという強い意志を持つ人にとって、これ以上ない学びの場です。
歴史や平和について考えながら医学を学びたい人:原子爆弾の被災地という歴史を持つ長崎で学ぶことは、生命の尊厳について深く思索する機会を与えてくれます。医療を通じて平和に貢献したいと考える人に向いています。
向いていない可能性がある人
大都市での刺激的なキャンパスライフを最優先したい人:長崎市は落ち着いた美しい街ですが、東京や大阪のような大都市とは環境が異なります。華やかさや利便性を第一に考える場合は、少し物足りなさを感じるかもしれません。
上記の特徴的な専門分野(熱帯医学、被ばく医療、離島医療)に全く関心がない人:これらは大学の大きな柱であり、カリキュラムにも色濃く反映されています。自身の興味と大学の特色が合致しない場合、学びのモチベーションを維持するのが難しい可能性があります。
最新の設備が整った近代的なキャンパスだけを求める人:歴史ある大学のため、施設によっては年季を感じる部分もあります。もちろん教育・研究に必要な設備は最先端のものが揃っていますが、真新しいキャンパスで学びたいという志向が強い場合は、他の大学も検討の余地があるかもしれません。
長崎大学医学部は、単に医師になるための知識や技術を学ぶだけの場所ではありません。その歴史と風土の中で、生命の尊厳と向き合い、地域から世界までを見据えた広い視野を持つ医療人を育成することを目指しています。長崎だからこそ学べる専門分野に魅力を感じ、社会的な使命感を持って医療に取り組みたいと考える人にとって、非常に充実した6年間を送ることができる学び舎と言えるでしょう。
📚出典
長崎大学. (n.d.). ホーム. 2025年9月1日取得, from https://www.nagasaki-u.ac.jp/
長崎大学医学部. (n.d.). ホーム. 2025年9月1日取得, from http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/
長崎大学医学部. (n.d.). 医学科紹介. 2025年9月1日取得, from http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/med/japanese/intro/index.html
長崎大学医学部. (n.d.). 教育. 2025年9月1日取得, from http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/med/japanese/education/index.html
長崎大学医学部. (n.d.). 学生生活. 2025年9月1日取得, from http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/med/japanese/campuslife/index.html
長崎大学. (n.d.). デジタルパンフレット. 2025年9月1日取得, from https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/admission/flat/pamphlet.html