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杏林大学 一般選抜 出題傾向 小論

傾向と対策の概要 杏林大学医学部入試における小論文は、2018年度から2025年度に至るまで、試験形式の安定性が極めて高いことが最大の特徴です。 設問は一貫して、抽象的な概念や社会生活における倫理観、人間関係に関わるテーマについて、受験者自身の考えを論じさせる形式をとっています。試験時間、字数制限も固定されており、論理的思考力と表現力を効率よく評価するための形式が確立されています。

試験形式の安定性と構成

安定性

2018年度から2025年度までの全日程(一般選抜、共通テスト利用)において、小論文の試験形式は非常に安定しています。

試験時間 常に60分
字数 800字程度で論じるよう求められています。
出題形式 資料や文章を読み取らせる形式ではなく、特定のテーマやキーワードについて論述させる形式(課題提示型)です。

構成

一般選抜(前期)では、試験実施日が複数日にわたる場合、日によって異なるテーマが出題されています。

  • 例: 2021年度一般選抜では、「寛容の精神」と「リーダーシップ」。
  • 例: 2025年度一般選抜では、「老いる」と「豊かな人生」。

試験形式の大きな変化

資料の範囲(2018年度~2025年度)において、小論文の試験形式(時間、字数、課題提示形式)に大きな変更は認められません。

出題分野や出題テーマの傾向

出題テーマは多岐にわたりますが、医学や医療に直接関連する専門知識を問うものは少なく、人間性、社会性、倫理観といった広い教養や価値観を問うものが中心です。 特に以下の3分野に分類されるテーマが多く見られます。

社会・人間関係・組織倫理

  • 人を評価する (2019)
  • 組織と個人 (2022)
  • 権利と義務 (2022)
  • 仕事と趣味 (2024セ)
  • 妥協する (2022セ)

個人的価値観・精神的特質

  • 自己犠牲 (2020)
  • 寛容の精神 (2021)
  • リーダーシップ (2021)
  • 愚直であること (2023)
  • 信じる (2024)

人生観・抽象的概念

  • さわらぬ神に崇りなし(ことわざ) (2018)
  • 不言実行 (2020セ)
  • 幸福である (2023)
  • 内面と外見 (2024)
  • 老いる (2025)
  • 豊かな人生 (2025)

特徴的な傾向

1. 倫理的・哲学的二項対立の出題

近年、テーマが二つの異なる概念のバランスや関係性を問うものになっている傾向が見られます。これは、医学部志願者に対して、複雑な状況を多角的に捉え、バランスの取れた判断ができるかを試す意図があると考えられます。

  • 例: 「組織と個人」 (2022)
  • 例: 「権利と義務」 (2022)
  • 例: 「内面と外見」 (2024)
  • 例: 「仕事と趣味」 (2024セ)
  • 例: 「老いる」と「豊かな人生」(関連概念) (2025)

2. 時代を反映したテーマの追加

2025年度の一般選抜では「老いる」や「豊かな人生」といった高齢化社会や人生の質に関わるテーマが出題されており、現代社会が抱える具体的な問題意識を反映した出題が継続しています。

対策

対策のポイント 形式が安定しているため、対策の重点は内容の深さと論理構成に置くべきです。

時間厳守の訓練

60分で800字という制限は、構成を練る時間を含めると余裕がないため、時間内に起承転結または序論・本論・結論を完成させる練習が必要です。

抽象概念の明確化と多角的な考察

「寛容の精神」、「愚直であること」、「信じる」など、一見シンプルだが多義的な概念について、定義を明確にした上で、医学や将来の職業倫理と関連付けて深掘りする訓練が効果的です。特に、メリット・デメリット、正反対の視点、そして自身の意見を明確に示す論理構成が求められます。

対立軸テーマへの対応

「組織と個人」「権利と義務」のような対立テーマが出た場合、どちらか一方を支持するだけでなく、両者の重要性を認めつつ、医療現場でいかに両者を調和させるかという視点で議論を展開できるように準備しておく必要があります。

小論文対策は、例えるならば、限られたスペースで建築物を建てる設計図のようなものです。60分という制約の中で、800字という規定の敷地に、与えられた概念(テーマ)を基石として、明確な骨組み(論理構造)を持ち、かつ倫理的な強度(内容の深さ)を備えた文章を組み上げることが求められます。