慶應大学 一般選抜 出題傾向 英語
慶應医学部の英語入試は、読解力、和訳・英訳の表現力、文法・語彙力、そして論理的思考力を含む総合力を問う形式が継続しています。特に、字数制限付きの内容説明問題と高度な英文和訳・和文英訳に重点が置かれる傾向が強く、受験生はこれらの記述対策に多くの時間を割く必要があります。
試験形式の安定性と構成
| 項目 | 詳細・変遷 |
|---|---|
| 2018年度〜2021年度 | 長文読解問題3題と英作文問題1題の計4題構成が主流。 |
| 2022年度以降 | 長文読解問題が2題に減少し、独立したテーマ英作文1題が加わる計3題構成。 |
| 試験時間 | 2024年度までは90分。2025年度からは「英語(読解)60分」「作文60分」と独立した時間設定に変更。 |
| 主な設問形式 | 空所補充、英文和訳、和文英訳、語句整序、語形変化、内容真偽、字数制限付きの内容説明など。 |
試験形式の大きな変化
近年の入試では、以下の大きな変化が見られます。
- 長文読解問題の減少:2022年度以降、大問数が3題から2題へ減少しました。
- 記述問題の増加:字数制限付き内容説明問題は2019年度に5問へ増加し、2024年度も4問と高水準を維持しています。
- 英作文の分離(2025年度):読解と作文が各60分ずつに分離され、配分が大きく変わる見込みです。
- 特定の形式の推移:段落整序は2017年度以降出題されていませんが、新形式の英作文が登場するなど流動的です。
出題分野や出題テーマの傾向
医学・生物学に直接関わるものだけでなく、高度な専門性を伴う論説文が顕著です。
倫理・社会
孤独化が進行する日本社会、健康的な老い、自動運転車に関する倫理問題(トロッコ問題や功利主義)、公共の場での規範、AIチャットボットの不正確な解答などが出題されています。
環境・健康・科学
紙の使用の有効性、食品ロス、睡眠不足と認知能力、移民医療、新型コロナ対策の弊害、腸チフスワクチン、音風景(サウンドスケープ)研究、食事とメンタルヘルス(栄養精神医学)など多岐にわたります。
日本社会の考察
2023年度には「独身者の多い日本に対する歴史的考察」という、身近な社会テーマが歴史的・統計的な視点から取り上げられました。
特徴的な傾向
- 専門性の高いテーマ:哲学的な背景や最新の科学的知見を前提とする文章が頻出。
- 詳細な説明要求:下線部や引用符について、文脈から具体的な内容を推測し、指定字数で説明する力が求められます。
- 機能語・慣用表現の重視:前置詞、接続詞、接続副詞、熟語などの知識が空所補充で問われます。
- 高難度の和文英訳:日常会話から学術的な内容まで、正確かつ自然な英語表現に直す力が必須です。
対策
合格のためには、基礎力の上に築かれた高度な「使いこなせる英語力」が必要です。
1. 記述対策の徹底
- 和訳・英訳:直訳的ではない自然な日本語表現と、正確な文法・語法を用いた英訳練習を重ねてください。
- 内容説明:30字〜100字程度の字数制限を厳守し、筆者の意図を簡潔にまとめる練習を徹底しましょう。
2. 文法・語彙の強化
空所補充対策として、前置詞や接続詞などの機能語、動詞の語形変化に関する基礎知識を確固たるものにしてください。
3. テーマ別読解と背景知識
社会問題、倫理、科学など多岐にわたる学術的な論説文を読み慣れ、論旨を素早く正確に把握する訓練が必要です。
4. 英作文(自由作文)対策
100語程度で自分の意見を簡潔に述べる練習をしてください。論理的な構成と正確な文法を最優先にしましょう。
慶應医学部の英語は、単なる知識量ではなく、複雑な文章を分析し表現する力を求めています。これは、精密な手技と瞬間的な判断力を要する外科医の資質に通じます。日々の学習で、精度とスピードの両方を高めていくことが求められます。