関西医科大学 一般選抜 出題傾向 物理
傾向と対策の概要
関西医科大学の物理は、例年、標準的な内容から、論理的な思考力や知識を試される応用的な問題まで幅広く出題される良問で構成されています。
受験生には、問題を注意深く読み、誘導に従って解き進める論理的な思考力が求められます。特に、複雑な計算や数学的な処理を要求される問題が多く含まれるため、時間内に全て解答するのは容易ではない状況が続いています。
試験形式の安定性と構成
試験形式は、この期間を通じて一貫して大問4題の構成で安定しています。また、以下の形式が例年継続して出題されています。
- 描図問題:2018年度〜2025年度と、ほぼ毎年出題されています。
- 思考力を要する応用問題:問題をよく読んで誘導に従って解く形式で、高い論理的思考力が試されます。
試験形式の大きな変化
最も大きな変化は、解答形式における途中経過記述の要求度の変遷です。
| 年度 | 記述形式の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| 2018年まで | ほとんどの問題で結果だけでなく、途中経過の記述が求められた。 | 時間的に非常に厳しかった。 |
| 2019~2020年 | 記述量が減り、答えだけを記述する形式が導入された。 | 時間的な配慮が見られた。 |
| 2021~2023年 | 再び途中経過を記述する出題が増加。 | 計算量も多く、特に2023年度は記述出題が多く時間的な厳しさが続いた。 |
| 2024年以降 | 途中経過を記述する出題数が減少(2023年度:15題 → 2024年度:7題 → 2025年度:6問程度)。 | 記述量は再調整されたが、計算量は依然として多い。 |
※2024年度、2025年度には論述問題も出題されています。
出題分野や出題テーマの傾向
大問4題の出題分野は、力学、波動、電磁気が核として安定して出題されています。残りの1分野は熱力学と原子分野が交代で出題される傾向が見られます。
| 分野 | 出題年度(前期試験) |
|---|---|
| 力学 | 2018(遠心力を受けた車の運動)、2020(水中で浮力と抵抗力を受ける小球の運動)、2021(力のモーメントとすべらない条件)、2022(浮力による単振動)、2023(摩擦力のある2物体の運動)、2024(衝突と単振動)、2025(記録タイマーの実験観察)。 |
| 電磁気 | 2018(2本の直線電流がつくる磁場と電磁誘導)、2020(規則的な抵抗回路)、2021(コンデンサーの充電)、2022(ダイオードによる整流効果)、2023(コンデンサーの過渡現象/ブリッジ回路)、2024(ホール効果/磁気抵抗)、2025(サイクロトロン)。 |
| 波動 | 2018(ドップラー効果/うなり)、2020(球面レンズ/屈折)、2021(気柱の振動)、2022(ニュートンリング)、2023(反射型回折格子)、2024(薄膜の干渉)、2025(ドップラー効果/心筋層の動き)。 |
| 原子 | 2020(水素原子のエネルギー準位)、2021(LED/プランク定数)、2022(陰極線とX線の性質)、2025(半減期)。 ※2020~2022年の3年連続で出題。 |
| 熱力学 | 2018(断熱変化)、2023(ピストンで仕切られた2気体の状態変化)、2024(ボイルの法則の応用)。 ※2023~2024年の2年連続で出題。 |
特徴的な傾向
医療・生体関連テーマの積極的な採用
2018年度のドップラー効果による赤血球の動きの観測や2025年度の心筋層の動きの測定、2021年度のLEDの特性曲線、2022年度のニュートンリングと視細胞の色の感覚など、身近な現象や医療分野と関連づけた出題が目立ちます。
高度な数学的処理能力の要求
物理的な知識だけでなく、複雑な代数計算、連立不等式の図示(2021年度I)、幾何学的な知識(2020年度Ⅲ、2023年度Ⅲ)など、数学の力が試される出題が例年見られます。
グラフを用いた物理量の解析
グラフの面積が示す物理量(力積や仕事)の理解、特性曲線の傾きからプランク定数を求める問題(2021年度IV)、実験結果のグラフを解析して物理定数を求める問題(2024年度IV)など、物理量の関係をグラフから読み解く力が頻繁に問われています。
目新しい設定や複合問題
2020年度のキログラムの定義に関する出題や、2024年度の磁気抵抗など、教科書通りではない目新しい設定の問題が出題されることがあります。また、力学では力のモーメントとすべらない条件、衝突と単振動など、複数のテーマを組み合わせた複合的な問題が多いです。
対策
基礎の徹底理解と論理的思考力の養成
単に公式を暗記するのではなく、ドップラー効果の仕組み、断熱変化の知識、電気量保存則など、物理現象の原理と仕組みを深く理解することが重要です。誘導に従って問題を解く訓練を通じて、論理的な思考力を高める必要があります。
迅速かつ正確な計算力の確保
計算が複雑な問題が多く出題されるため、日頃から迅速で正確な計算力を養うことが必須です。特に途中経過の記述を求められる問題では、論理を追いながら計算ミスを避ける練習が必要です。
頻出分野の応用問題への習熟
力学(単振動、衝突、摩擦)、波動(干渉、ドップラー効果)、電磁気(複雑な直流回路、コンデンサー)は頻出テーマであるため、標準的な問題だけでなく、応用的な類題も数多くこなし、確実に得点できるように準備すべきです。
グラフと描図、数学的要素の訓練
F-tグラフやF-zグラフの物理的な意味(面積や傾き)を理解する訓練を積むとともに、球面レンズの幾何学的な考察や反射の法則の幾何学的処理など、物理における数学的処理をスムーズに行えるよう対策を講じることが得点差につながります。
比喩的表現による理解の定着
関西医科大学の物理入試は、まるで「緻密な山登り」のようです。
道筋(誘導)は示されていますが、一歩一歩の足場(計算や原理理解)が不安定だと、すぐに滑落(連鎖的なミス)してしまうリスクがあります。そして、途中には岩登り(幾何学的な思考やグラフ解析)や、予期せぬ標高(目新しいテーマ)も含まれており、全体を通して体力を消耗(時間的制約)します。
そのため、基礎体力(基礎知識)に加えて、正確なルートファインディング(論理的思考)と、最後まで粘り強く登り切る持久力(計算力)が不可欠となります。