2026 自治医科大学の特徴
📌 大学の基本情報・立地
自治医科大学は、医療に恵まれない地域の医療確保と向上、そして住民の福祉増進を図ることを目的として、昭和47年(1972年)に設立された医科大学です。建学の精神「医療の谷間に灯をともす」のもと、へき地・離島を含む全国の地域医療を担う医師の養成に特化した独自の教育プログラムを展開しています。学生は卒業後、出身都道府県のへき地等で医師として勤務することが義務付けられています。この特別な使命を持つ大学は、学生一人ひとりが地域社会のリーダーとなることを目指す、他にはない学びの場を提供しています。
キャンパスとアクセス
キャンパスは豊かな自然に囲まれた広大な敷地を有しており、緑豊かで落ち着いた環境の中で勉学に励むことができます。キャンパス内には附属病院をはじめ、学生寮、体育施設、図書館など、学生生活に必要な施設がまとまっており、学習から日常生活までを快適に過ごすことができるよう配慮されています。また、近隣には商業施設も充実しており、生活の利便性も確保されています。
住所 〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
アクセス
JR宇都宮線「自治医大駅」下車、徒歩10分または接続バスで5分
東北新幹線を利用する場合は、東京方面からは小山駅、東北方面からは宇都宮駅で下車し、JR宇都宮線に乗り換え
🌟医学部医学科の教育の特徴
教育理念と目的
【建学の精神】
「医療の谷間に灯をともす」
【教育の目的】
現在の少子高齢化社会においては、地域社会の医療の確保と向上及び地域の住民の福祉の増進を図ることが要請されています。自治医科大学の教育の原点は、ここにあります。社会の要請に応えるためには、地域医療に進んで挺身する気概と高度な医療能力を身につけた医師を養成することにあります。
【医学部のミッション(使命)】
1 医の倫理に徹し、医師としてのプロフェッショナリズムと豊かな人間性をもった人格の形成に力を注ぐ。
2 高度な医学知識と実践的な研究能力を涵養し、常に進歩しつづける医学の様々な分野に対応できる総合的な臨床能力を備えた医師を育てる。
3 医療にめぐまれない地域で進んで医療に挺身し、地域のリーダーとして必要な教養と資質を備え、社会に貢献する気概を持った医師を育てる。
各学年の特徴的な教育内容
- 第1学年:自然科学と医学の接点として「生命科学」を学び、2学期からは「解剖学」などの基礎医学が始まります。解剖学を1学年という早い時期に学ぶことで、医学生としての自覚を深め、今後の学習の原点とすることが期待されています。
- 第2学年:引き続き基礎医学を中心に、細菌学やウイルス学などを学習します。また、後半には対人援助の知識と実践、地域医療学各論1を学習し、地域医療・家族医療の基礎を学びます。3学期には地域保健福祉実習で専門職と共に働き、実践的な経験を積みます。
- 第3学年:2学期後半から始まる基礎臨床系統講義では、臨床的事項について系統的に学び、4学年からの臨床実習に備えます。3学期には診断学実習が始まり、その後共用試験(OSCEを含む)を受験し、合格することで臨床実習に参加する資格を得ます。
- 第4学年・第5学年:診療参加型臨床実習(BSL)が行われます。4学年では主に内科系、5学年ではその他の診療科を巡ります。5学年の3学期には選択必修BSLが実施され、より深い臨床実習を体験します。
- 第6学年:1学期に選択必修BSLとして、学生が選択した臨床系の1科で4週間、出身都道府県の病院で4週間の実習を行います。ここでは、教員の指導のもと、学生が主体的に診療活動に参加することが求められます。
このように、自治医科大学では、学生が主体的に学ぶ姿勢を養うためのカリキュラムが組まれています。単に知識を詰め込むだけでなく、早期からの臨床実習や選択セミナーを通じて、自ら考え、問題解決能力を育む教育が大きな強みです。
🏠学生生活・施設環境
部活動
体育会や文化会など、多種多様な部活動やサークル活動が盛んです。体育会にはラグビー部、野球部、バスケットボール部、サッカー部、バレーボール部などがあり、文化会には軽音楽部、茶道部、写真部、美術部などがあります。これらは学生の自主的な運営が基本となっており、医学の勉強と並行して充実した学生生活を送ることができます。全寮制であるため、同じ志を持つ仲間と時間を共有しやすく、部活動を通じて縦と横のつながりを深めることができます。
大学の周辺環境
都心からは離れているため、静かな環境で勉学に集中できる一方、大学周辺にはスーパーマーケットや飲食店など、生活に必要な施設も一通り揃っています。また、大学附属病院が隣接しているため、医療の現場を常に身近に感じられる環境です。
先輩後輩の関係
全寮制という特性上、先輩・後輩のつながりが非常に強いのが自治医科大学の文化です。寮生活を通じて、学業や学生生活について気軽に相談できる関係性が築かれます。先輩から後輩へ、学習方法や実習の注意点などが受け継がれていくことで、学生は安心して学べる環境を得ています。卒業後も、各都道府県に散らばったOB・OGがネットワークを形成し、お互いを支え合う文化が根付いています。
医学に関係した学習環境
最新の医療機器を備えた附属病院がすぐ隣にあり、低学年次から臨床現場に触れる機会が豊富です。図書館には医学関連の専門書が豊富に揃っており、24時間利用可能な自習室も完備されています。国家試験対策に特化した6年生専用の勉強室もあり、学生一人ひとりの学習を強力にサポートする体制が整っています。
🩺 在学生・卒業生の声
実際に自治医科大学医学部医学科で学ぶ学生たちや卒業生からは、大学の教育や環境についてどのような声が上がっているのでしょうか。公式サイトに掲載されたインタビューから、一部をご紹介します。
在学生の声
「寮生活が最高の学びの場」
「全寮制での生活は、最初は不安もありましたが、今では最高の学びの場だと感じています。部屋は個室でプライベートも確保されていますが、共有スペースで学年の垣根を越えて交流することで、勉強のモチベーションを保つことができます。分からないことがあれば、すぐに先輩に聞ける環境がとてもありがたいです。」
「地域医療のやりがいを感じる」
「地域医療に関心があり自治医科大学に入学しました。低学年次から地域保健福祉実習があり、早い段階で地域医療の現場に触れられるのが魅力です。都市部では経験できないような、住民の方との密なコミュニケーションや、医療の課題を肌で感じられる経験は、将来の医師としての大きな財産になると感じています。」
卒業生の声
「自治医大の医師ネットワークが心強い」 「卒業後、出身県のへき地で勤務していますが、自治医大の卒業生のネットワークが非常に心強いです。何か困ったことがあれば、すぐに連絡を取り合える仲間が全国にいることは、一人で地域医療に挑む上で大きな支えになります。自治医大での6年間は、かけがえのない仲間と出会う時間でした。」
「総合医としての力が養われた」 「自治医科大学で学んだ6年間で、総合的な診療能力が身についたと実感しています。へき地では専門医が少ないため、一つの疾患だけでなく、患者さんの全体を診る力が求められます。自治医大の教育は、そのために必要な知識と実践力をバランスよく養ってくれました。」
🌱 どのよう医師を目指す人に向いているか
以上の特徴を踏まえると、自治医科大学医学部医学科は次のような志望者に特に適した環境と言えるでしょう。
地域医療に強い関心がある人
自治医科大学の設立目的そのものが、地域医療を担う医師の養成です。へき地医療や総合医として活躍したいという明確な目標を持つ人には、この上ない教育環境が提供されています。
全人的な医師を目指したい人
病気だけでなく、患者さんの生活や人生全体を診る「総合医」の育成を重視しています。幅広い教養と高い倫理観を兼ね備えた医師になりたい人にとって、理想的な学び舎と言えるでしょう。
仲間と切磋琢磨したい人
全寮制の環境は、学生同士が密接な関係を築き、共に学び、成長していくことを促します。協調性があり、チーム医療の重要性を理解している人には、大きなメリットとなります。
経済的な負担を軽減したい人
修学資金貸与制度があるため、経済的な心配をせずに学業に専念することができます。卒業後の義務年限を果たすことで返還が免除されるため、家計への負担を気にすることなく医師を目指せることは大きな魅力です。
向いていない可能性がある人
専門特化を強く志向している人 自治医科大学の教育は総合医の養成に重きを置いています。特定の専門分野を深く掘り下げたいという意欲が非常に強い場合、カリキュラムの方向性と合わない可能性があります。
プライベートを重視したい人 全寮制であるため、共同生活が苦手な人や、個人的な時間を何よりも優先したい人には、窮屈に感じられるかもしれません。寮生活には門限など規律があることも理解しておく必要があります。
卒業後の進路を自由に選択したい人 修学資金制度を利用する場合、卒業後、義務年限期間は指定されたへき地等で医療に従事する必要があります。卒業後すぐに専門性の高い都市部の病院で勤務したい、などの希望がある人には向いていません。
自治医科大学医学部医学科は、「地域医療に貢献したい」「総合的な診療能力を身につけたい」「仲間と共に成長したい」という明確なビジョンを持つ人に非常に向いています。一方で、専門特化や自由な進路選択を強く志向する人には、そのスタイルが合わない可能性があります。ここでの学びは、医師としての人間性と実践力を共に育てたい人にとって、魅力的な舞台となるでしょう。