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自治医科大学 一般選抜 出題傾向 生物

傾向と対策の概要

自治医科大学の生物の入試は、長年にわたり安定した形式で実施されています。全体として、基本的な知識を問う問題が約6割から8割を占めますが、残りの問題には計算問題、実験考察問題、および詳細な知識を問う問題が含まれており、これらが合否を分けます。

特に近年は、一つのテーマに関するリード文形式の設問が増加しており、単なる知識だけでなく、読解力や考察力が求められています。全科目(理科2科目)で80分という厳しい時間制限の中で、問題を正確かつ迅速に処理する能力が非常に重要です。

試験形式の安定性と構成

  • 問題数と形式の安定性: 2018年度から2025年度まで、総問題数は25問(マークシート方式の5択問題)で安定しています。
  • 時間配分: 生物は理科2科目(化学または物理)と合わせて80分で解答する必要があり、時間との戦いがポイントとなります。
  • 出題形式: 多くの問題は小問集合形式で、1題あたりが短いのが特徴ですが、2019年度以降、長文リード文形式の出題が増加しています。

試験形式の大きな変化

最大の変化は、長文リード文を用いた複数設問形式の導入と定着です。

  • 2019年度の導入: 最後の5問が一つの実験に関する設問としてまとめられる、それまでにない出題形式が見られました。
  • 2020年以降の定着: 2020年度は後半の17問目以降、2021年度も11問目以降で同様の傾向が見られました。
  • 2022年度の明確化: リード文による複数出題形式が4題に増え、設問全体の約半分にあたる14問を占めるようになり、単なる知識問題の比率が減少しました。2023年度および2025年度も、同様に4題出題されています。
  • 出題のバリエーション増加: 「正しいのはどれか」「誤りはどれか」といった形式に加え、「正しい記述はいくつあるか」という、消去法が使えない難易度の高い設問形式も出題されています。

出題分野や出題テーマの傾向

出題は生物の全分野から満遍なく行われています。特に以下の分野が出題率が高く、重要視されています。

生態・進化・系統

一般的な医学部の入試と比較して、「生態」と「進化・系統」に関する出題率が高いのが大きな特徴です。

  • 暖かさの指数とバイオームの関係 (2018)
  • 生物濃縮の計算 (2019)
  • キーストーン種に関する実験考察 (2021)
  • 植生遷移に関する考察、分子系統樹の作成、生物多様性の観察方法 (2022)
  • 遺伝子頻度の計算と自然選択 (2023)
  • 共生・相利共生(2022のアカシアとアリ、2024のイシクラゲ、根菌)

遺伝子・分子生物学

メンデルの法則の計算問題や、遺伝子/DNAの知識が高頻度で出されています。計算や実験データの読み取りが必要なものが多い傾向にあります。

  • コドンの読み取りや突然変異に関する問題 (2020, 2022, 2024, 2025)
  • PCRプライマーのデザイン (2022)
  • 形質転換の実験考察 (2025)

細胞・代謝

具体的な生体内のメカニズムと計算を組み合わせた問題が目立ちます。

  • 酵素反応速度の計算や考察(2022)
  • 呼吸商の計算(2021)、腎臓の再吸収に関する計算問題(2018, 2021)
  • クエン酸回路の酵素阻害に関する実験考察(2019)
  • 骨格筋収縮のメカニズム (2023, 2025)

発生・調節

生物学の重要テーマが頻繁に出題されています。

  • カエルやショウジョウバエの発生(前後軸の決定、予定運命図)(2018, 2019, 2022, 2024)
  • ホルモン調節(血糖値、浸透圧調節)(2019, 2020, 2021, 2023, 2025)
  • 免疫(体液性・細胞性免疫、自己免疫疾患)(2019, 2020, 2022, 2024, 2025)

特徴的な傾向

難易度のバランスとトラップ

基本的な問題が多い一方で、残りの問題は難易度が高く、時間のかかる計算問題や実験の考察問題が含まれています。また、一見簡単に見える問題でも、選択肢の記述が巧妙で、丁寧に読まないと間違えやすい設問が多く出されています。

実験考察の重視

2019年度以降、実験の過程や結果に基づいた考察を求めるリード文形式の問題が目立っています。カイコガの生殖行動 (2018)、アメフラシの慣れと鋭敏化 (2019)、バクテリアを用いた遺伝子発現 (2025) など、具体的な実験例を題材に深い理解を問う傾向があります。

細かい知識の要求

「生態」分野では里山の定義やキーストーン種、日本のバイオームの垂直分布の詳細、「系統」分野では植物や菌類の分類(2018, 2019)、脊椎動物の獲得形質など、教科書の隅々まで確認が必要な知識が問われています。

対策

必須となる基本戦略

  • 過去問演習の徹底と時間管理: 理科2科目80分という厳しい時間内で合格レベルに達するためには、時間を計って解き、解きやすい問題から確実に解く練習(1問飛ばしの判断など)が重要です。
  • 基本知識の確実な定着: 全体の6~8割を占める基本的な知識問題を取りこぼさないことが大前提です。

習熟すべき計算・考察問題

カテゴリ 対策のポイントと頻出パターン
計算問題 出題頻度の高い以下の計算パターンを完全にマスターする必要があります。
  • 腎臓の再吸収
  • ハーディ・ワインベルグの法則
  • 生物濃縮
  • 光合成 / 呼吸商
  • 遺伝子頻度
考察問題 実験・グラフ・表を正確に読み取り、選択肢の記述内容とデータとの対応を丁寧に確認する練習が必要です。リード文形式の問題は難易度が高いため、長文の緻密な読解と照合練習に時間を割くべきです。

分野別・総合対策

  • 「生態」と「進化・系統」の強化: ほかの医学部入試に比べて出題率が高いため、これらの分野の知識を正確に頭に入れ、人に差をつけられるようにすることが推奨されます。
  • リード文読解力の養成: 文章を判断する内容が多く、難易度が高くなりがちです。データと選択肢の照合練習を重ねましょう。

例えるなら、自治医科大の生物試験は、基礎体力を問う短距離走(基礎知識)と、地図を読み解きながら進む長距離のオリエンテーリング(リード文・考察問題)を組み合わせた競技のようです。基礎を固めつつ、トリッキーな選択肢や複雑なデータに惑わされず、時間内にゴールを目指す戦略的な対応が求められます。