以下の記事は2013年時の記事です。
Vol.02 「iPS細胞年表」
1981年 | 英・ケンブリッジ大、マウスのES細胞樹立 |
---|---|
1998年 | 米・ウィスコンシン大、ヒトのES細胞樹立 |
2006年 | 日本・京大(山中伸弥ら)、マウスのiPS細胞樹立 |
2007年11月20日 | 日本・京大(山中伸弥ら)、ヒトのiPS細胞樹立、論文を発表 |
同日 | 米・ウィスコンシン大(ジェームズ・トムソンら)も、同様の論文を発表 |
2011年 | iPS細胞からマウスの精子を作り出すことに成功 |
2012年 | iPS細胞からマウスの卵子を作り出すことに成功 |
2012年 | 京都大学の山中伸弥教授が「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」により2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞 |
現在、各国の大学・製薬会社が、熾烈な開発競争を繰り広げている。
なお山中伸弥教授は2009年10月、米ラスカー財団からラスカー基礎医学賞を授与された。同賞は医学分野で「米国のノーベル賞」ともいわれる。
「iPS細胞概要」
胚性幹(Embryonic Stem, ES)細胞は動物の初期胚より分離された細胞で、体内のすべての細胞に分化する分化全能性を備えています。またES細胞は増殖が極めて速いのも特徴です。
1998年にヒトES細胞の樹立が報告され、分化多能性と高い増殖性という2つの性質から細胞移植治療への応用が注目されています。
しかし、ヒトES細胞の樹立には受精卵を犠牲にする必要があることから、慎重な運用が求められます。また移植後の拒絶反応も大きな問題となります。これらの問題を回避する一つの方法は、患者さん自身の体の細胞から直接分化多能性細胞を作り出すことです。私達は、ES細胞において分化多能性が維持されている機構を理解し、体細胞を初期化する技術開発を目標に研究を行っています。 (京都大学・山中研究室のホームページより)
iPS細胞とは、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性を持ち、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能をもった細胞のことです。
「iPS細胞用語」
幹細胞(かんさいぼう)/Stem Cell:複数系統の細胞に分化できる分化多能性と、細胞分裂を経ても分化多能性を維持できる自己複製能力を併せ持つ細胞。
ES細胞/Embryonic Stem Cell=胚性幹細胞:受精卵の初期胚の内部細胞塊から作られる幹細胞。
iPS細胞/Induced Pluripotent Stem Cell=人工多能性幹細胞:体細胞へ遺伝子を導入することにより、ES細胞のような分化多能性と自己複製能力を持たせた細胞。アルツハイマー病・骨髄損傷・筋萎縮症などに対する再生医療のほか、病気の原因解明・副作用の少ない薬をつくることへの応用などに、期待がもたれている。
2018年度版 / 2017年度版 / 2016年度版 / 2015年度版 / 2014年度版 / 2013年度版
- Vol.18:
- SFTS 重症熱性血小板減少症候群
- Vol.17:
- 浮遊粒子状物質 PM2.5
- Vol.16:
- 高病原性 鳥インフルエンザ
- Vol.15:
- インフルエンザウイルス
- Vol.14:
- インフルエンザ
- Vol.13:
- 新型コロナウイルス感染症
- Vol.12:
- 核分裂生成物/放射線・放射性物質・放射能/被曝(ひばく)/被曝許容限度
- Vol.11:
- 放射線障害 しくみ/放射線障害 しきい値
- Vol.10:
- ベクレル(Bq)/グレイ(Gy)/シーベルト(Sv)/ベクレル・グレイ・シーベルトの関係/ベクレルとシーベルトの換算
- Vol.09:
- 新しい出生前遺伝学的検査
- Vol.08:
- 臓器移植法改正後の問題点
- Vol.07:
- 子供の脳死と臓器移植
- Vol.06:
- 移植を脳死に頼れるか
- Vol.05:
- なぜ脳死が問題になったか/脳死とはなにか/脳死判定基準
- Vol.04:
- 小児脳死臓器移植/小児脳死臓器移植の今後
- Vol.03:
- 再生医療
- Vol.02:
- iPS細胞年表/iPS細胞概要/iPS細胞用語
- Vol.01:
- 山中伸弥京大教授にノーベル賞/ノーベル賞