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以下の記事は2013年時の記事です。

Vol.05 「なぜ脳死が問題になったか」

むかしは、「死とは呼吸停止・心拍停止である。」という認識が、世の中の常識でした。

しかし、医療が発達した現代では人工呼吸器などの生命維持装置が進歩することによって、呼吸をコントロールする脳が死んでも呼吸や心拍を人工的に維持できるようになりました。つまり、「呼吸し心臓も動いているが脳が死んでしまっている状態」が生まれました。

その一方で、臓器移植の技術が進歩してきましたが、臓器の中でも心臓は生きている人から提供してもらうことは出来ません。生体からの移植は不可能ですが心臓停止後では心臓の劣化が著しく、移植はことごとく失敗しました。

そこで1960年代末のアメリカで、「脳の死をもって人の死とする」という考え方が提唱されたわけです。
脳が死んでしまったら「人の死」である。ならば死んだ人の動いている心臓で、心臓移植で助かる人の命を助けたいという考えです。

つまり、「人工呼吸器」と「移植」が、「脳死」という概念を生んだといえるのです。

「脳死とはなにか」

脳幹が死ねばそれが司る呼吸も停止し、その結果心臓も停止せざるを得ない、というのがその基本理念。

とは言っても大脳が生きている限り意識はあるので、脳幹だけではなく脳全体の死を「脳死」とする、というのが多数説です(脳幹が死ねばじきに大脳も死ぬから「脳幹の死が脳死である」という少数説は、イギリスと台湾では採用されています)。

1997年に成立した日本の「臓器の移植に関する法律」第6条第2項にも、『「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。』 とあります。この点は、2009年に成立し、2010年7月に施行された改正でも変わっていません。

「脳死判定基準」

脳死の定義はさておき、具体的に脳死状態になったかどうかの判定基準はというと、「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)」には、『脳死判定の…個々の検査の手法については、「法的脳死判定マニュアル」(厚生省「脳死判定手順に関する研究班」平成11年度報告書)に準拠して行うこと。』とあり、その「マニュアル」には次のように書かれています。

法的脳死判定には[1]から[5]の確認が必要である。
[1]深昏睡
[2]両側瞳孔径4㎜以上、瞳孔固定
[3]脳幹反射の消失〔以下(1)から(7)の全てを確認する〕
(1)対光反射の消失、(2)角膜反射の消失、(3)毛様脊髄反射の消失、(4)眼球頭反射の消失、(5)前庭反射の消失、(6)咽頭反射の消失、(7)咳反射の消失
[4]平坦脳波 聴性脳幹誘発反応の消失:必須条件ではないが確認することが望ましい。
[5]自発呼吸の消失

これらの基準は、厚生省脳死に関する研究班(班長:竹内一夫杏林大学名誉教授)が1985年に「脳死」について打ち出した判定基準(通称「竹内基準」)をもとにしています。

そして問題の第一が「これらの判定の正確さをどう保障するか」という点にあるのはもちろんですが、さらに根本的には、「これらは脳死の必要条件ではあるにしても、十分条件だといえるのかどうか」、言葉を換えれば、「脳死状態ならばこれらの現象は起きる、と言えるにしても、これらの現象が起きていれば確実に脳死状態である、と言えるのかどうか」という問題があるようです。