有機化学のオキテ27

掟27. 分子式C7H8Oで考えられる芳香族化合物の構造異性体の反応性、酸化生成物、ベンゼン環の水素を置換した構造異性体数を整理して覚えておくべし。

問題

分子量108の互いに構造異性体で、炭素、水素、酸素から成る3種類の芳香族化合物A、B、Cがある。Aの5.4mgを完全に酸化すると、15.4mgの二酸化炭素と3.6mgの水が発生した。ナトリウムを加えるとA、Bは水素を発生したが、Cは反応しなかった。また、塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると、Aだけが青色に呈色した。Aのベンゼン環の水素原子1個を塩素原子で置換した化合物は、2種類の異性体が存在する。Bをおだやかに酸化するとDになり、さらに酸化するとEを生成した。次の各問に答えよ。
C=12、H=1.0、O=16

  • (1)Aの分子式を記せ。
  • (2)A、B、C、D、Eの構造式と物質名を記せ。
<久留米大学医学部 一部改>

解答と解説

<解答>

  • (1)C7H8O
  • (2)解答図

<解説>

  • (1)芳香族化合物A5.4mgの中のC、H、Oの質量を求めると 解説図1-1

    原子数の比は

    解説図1-2

    よってAの組成式はC7H8O(式量108)となり、与えられた分子量と組成式量が一致するので分子式もC7H8Oとなる。

  • (2)分子式C7H8Oで考えられる芳香族化合物は次の5種類である。 解説図2-1

    芳香族化合物Aはナトリウムを加えると水素が発生し、塩化鉄(III)水溶液に呈色反応を示し、ベンゼン環の水素原子1個を塩素原子で置換した化合物には2種類の異性体が存在するので-クレゾールと考えられる。

    解説図2-2

    芳香族化合物Bはナトリウムを加えると水素が発生し、塩化鉄(III)水溶液に呈色反応を示さず、おだやかに酸化するとD、Eに変化するのでベンジルアルコールと考えられる。

    解説図2-3

    芳香族化合物Cはナトリウムを加えると反応しなかったのでアニソール(メチルフェニルエーテル)と考えられる。

<補足>

A(-クレゾール)のベンゼン環の水素原子1個を塩素原子で置換した化合物は2種類の構造異性体が存在したが、o-クレゾールと-クレゾールの場合はそれぞれ4種類ずつ存在する。補足図

掟27. 分子式C7H8Oで考えられる芳香族化合物の構造異性体の反応性、酸化生成物、ベンゼン環の水素を置換した構造異性体数を整理して覚えておくべし。