有機化学のオキテ13,14

有機化学のオキテ13,14

掟13. 分子式C4H10Oの構造異性体は飽和一価アルコールで4種類、エーテルで3種類、合計7種類ある。これらの数は必ず覚えておくと共に構造式を全てすぐに書けるようにしておくべし。
掟14. 分子式C4H10Oの7種類の構造異性体のうち、ヨードホルム反応陽性なのは2-ブタノールのみ。また光学異性体をもつのも(不斉炭素原子をもつのも)2-ブタノールのみであることを知っておくべし。

<9-1>問題

C4H10Oで表されるアルコールA、B、C、Dがある。次の実験に関する記述を読んで下記の問に答えなさい。

  • 実験1:アルコールA、B、C、Dが別々に入っているすべての試験管に、二クロム酸カリウムと希硫酸を加えて酸化すると、アルコールAからは化合物Eができ、アルコールBからは化合物Fができ、アルコールCからは化合物Gができた。しかし、アルコールDは同じ条件では酸化されなかった。
  • 実験2:実験1で得られた化合物E、F、Gが別々に入っているすべての試験管に、フェーリング液を加えたところ、化合物Eと化合物Gの入っている試験管では、(a)赤色の沈殿が生成したが、化合物Fの入っている試験管では赤色沈殿物は生成しなかった。
  • 実験3:アルコールA、B、C、Dが別々に入っている全ての試験管に、水酸化ナトリウム水溶液とヨウ素を加えてあたためると、アルコールBが入っている試験管では、(b)黄色の沈殿が生成したが、アルコールA、C、Dの入っている試験管では、黄色の沈殿物は生成しなかった。
  • 実験4:アルコールCとアルコールDが別々に入っている試験管に、濃硫酸を加えて加熱し、脱水反応を行うと、同一の化合物Hが得られた。この化合物Hに臭素水を反応させると、臭素水の脱色が観察された。
  • 問1. アルコールA、B、C、Dの名称と構造式を書きなさい。
  • 問2. 化合物E、F、G、Hの構造式を書きなさい。
  • 問3.(a)と(b)の沈殿物の名称を書きなさい。
  • 問4. アルコールA、B、C、Dのうち、光学異性体をもつアルコールを記号で答えなさい。また、選んだ理由を原子または原子団の名称も含めて説明しなさい。
<聖マリアンナ医科大学>

<9-1>解答と解説

<解答>

  • 問1. 下図
  • 問2. 下図
  • 問3. (a)酸化銅(Ⅰ)   (b)ヨードホルム
  • 問4. B(理由)4つの異なる原子または原子団、すなわち水素(-H)、ヒドロキシ基(水酸基)(-OH)、メチル基(-CH3)、エチル基(-C2H5)が結合している不斉炭素原子が分子内にあるため。

<解説>

  • 問1. 分子式C4H10Oで表されるアルコールは次図の4種類である。
    • (1)
    • (2)
    • (3)
    • (4)

    Aはヨードホルム反応陰性で、酸化生成物Eが還元性を示すので第一級アルコールの(1)か(3)になる。

    Bはヨードホルム反応陽性で、酸化生成物Fが還元性を示さないので第二級アルコールの(2)になる。

    Cはヨードホルム反応陰性で、酸化生成物Gが還元性を示すので第一級アルコールの(1)か(3)になる。

    Dはヨードホルム反応陰性で、酸化されなかったので第三級アルコール(4)になる。

    またCとDは脱水すると同一の化合物H(アルケン)になるので炭素骨格が同一であり、D(4)の炭素骨格よりCは(3)と決まる。するとAは(1)に決まる。

  • 問2.

    ヨードホルム反応で生じる沈殿は黄色のヨードホルム(CHI3

  • 問4. Bは以下のように4つの異なる原子または原子団が結合した不斉炭素原子をもつので光学異性体が存在する。

<補足>

C4H10Oで表されるエーテルは次の3種類である。

掟13. 分子式C4H10Oの構造異性体は飽和一価アルコールで4種類、エーテルで3種類、合計7種類ある。これらの数は必ず覚えておくと共に構造式を全てすぐに書けるようにしておくべし。

掟14. 分子式C4H10Oの7種類の構造異性体のうち、ヨードホルム反応陽性なのは2-ブタノールのみ。また光学異性体をもつのも(不斉炭素原子をもつのも)2-ブタノールのみであることを知っておくべし。