有機化学のオキテ41

有機化学のオキテ41

掟41. タンパク質の検出反応としてビウレット反応、キサントプロテイン反応、硫黄反応などについての知識を整理して覚えておくべし。

<28-1>問題

タンパク質とアミノ酸に関する以下の文章の空欄を適切な語句で埋めなさい。また、文章に関連する下の各設問に答えなさい。

タンパク質は、生物体を構成する天然高分子化合物である。通常のタンパク質に見られるアミノ酸は、約( ア )種類あり、その構成元素はC、H、O、N、( イ )である。これらのアミノ酸のうち,グリシン以外は不斉炭素原子をもつため光学異性体が存在するが,タンパク質に含まれるアミノ酸は,通常すべて( ウ )型である。ヒトは,これらのアミノ酸のうち8種類の合成ができず,食物中のタンパク質から摂取する必要がある。これらのアミノ酸を( エ )とよぶ。タンパク質を構成するアミノ酸は脱水縮合によってつながっている。この結合を( オ )と呼ぶ。消化液の中にはこの結合を加水分解する酵素が存在する。胃液の中に存在するタンパク質分解酵素には( カ )が,また,すい液の中に存在するタンパク質分解酵素には( キ )がある。Aタンパク質溶液は,濃硝酸を加えて加熱すると黄色に変化する。また,Bタンパク質溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し,酸を加えて中和した後に酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると沈殿が生じる。

  • 問1. 上の文中の( カ )および( キ )の酵素の最適pHは,次のうちどれに最も近いか,それぞれa~eの記号で答えなさい。
    a. pH2 b. pH5 c. pH8 d. pH11 e. pH14
  • 問2.(1)下線Aの反応は、一般に何と呼ばれるか答えなさい。また、(2)下線Aの反応に最も関係の深いアミノ酸を次の中から選び、a~eの記号で答えなさい。
    a. グリシン b. リシン c. システイン d. アラニン e. チロシン
  • 問3.(1)下線Bで生じる沈殿の色を答えなさい。また、(2)下線Bの反応に最も関係の深いアミノ酸を問2の選択肢の中から選び、a~eの記号で答えなさい。
  • 問4. 希塩酸でしめらせた長方形のろ紙の中央にグリシンの水溶液を小さくスポットした後、ろ紙の両端を電池とつなぎ、一定時間通電した。(1)グリシンは陽極(+)側と陰極(-)側、どちらに向かって移動するか答えなさい。また、(2)移動したグリシンの位置を確かめるにはどうすればよいか答えなさい。
<帝京大学医学部>

<28-1>解答と解説

<解答>

  • ア.20 イ.S ウ.L エ.必須アミノ酸 オ.ペプチド結合 カ.ペプシン キ.トリプシン
  • 問1.(カ)a (キ)c
  • 問2.(1)キサントプロテイン反応 (2)e
  • 問3.(1)黒 (2)c
  • 問4.(1)陰極側 (2)ニンヒドリン水溶液を吹きつけた後に加熱し青紫~赤紫色に着色する位置を確認する。

<解説>

タンパク質を構成するアミノ酸は約20種類あり、その構成元素はC、H、O、N、Sである。グリシン以外のアミノ酸は不斉炭素原子をもつため光学異性体が存在する。天然のタンパク質に含まれるアミノ酸は、通常すべてL体である。ヒトはアミノ酸のうち8種類は合成できず、食物中のタンパク質から摂取する必要がある。これらのアミノ酸を必須アミノ酸という。タンパク質を構成するアミノ酸は脱水縮合によりつながっているが、この結合をペプチド結合という。

  • 問1. 酵素の最適pHはペプシンのおよそ2、トリプシンのおよそ8を覚えておくこと
  • 問2. キサントプロテイン反応はベンゼン環を含むアミノ酸やタンパク質に特有の反応で、ベンゼン環がニトロ化されて黄色に呈色する。(アンモニアなどで塩基性にすると橙黄色に変化する。)問題文中のアミノ酸でベンゼン環を含むのはeのチロシンだけである。
  • 問3. タンパク質溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し、酸を加えて中和した後に酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加え、PbSの黒色沈殿が生じることにより硫黄を検出している。これを硫黄反応といい、含硫アミノ酸の存在またはタンパク質中の硫黄の検出に用いられる。問題文中のアミノ酸で硫黄を含むのはcのシステインだけである。
  • 問4. グリシンは酸性下では陽イオン(CH2(COOH)NH3+)になっているので陰極に向かって移動する。またグリシンの位置を確かめるためにはニンヒドリン反応を利用する。(ニンヒドリン反応はアミノ酸やタンパク質に対して陽性となり、青紫~赤紫色を呈する)

<補足>

タンパク質に対する独特の呈色反応としてビウレット反応もある。この反応ではタンパク質水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えたのち、硫酸銅(Ⅱ)水溶液を加えると赤紫に呈色する。この反応はタンパク質に含まれる連続する2個以上のペプチド結合の部分がCu2+と反応することにより生じる。

掟41. タンパク質の検出反応としてビウレット反応、キサントプロテイン反応、硫黄反応などについての知識を整理して覚えておくべし。