有機化学のオキテ39

有機化学のオキテ39

掟39. アミノ酸の構造,光学異性体,水溶液中の状態,検出反応,等電点などについて知識を整理して覚えておくべし。

<27-1>問題

アミノ酸について以下の各問いに答えなさい。

  • 問1. アミノ酸に関する記述で誤っているのはどれか。次の中から一つ選べ。
    • A.水に可溶であり,有機溶媒には溶けにくい。
    • B.エステル化をすると酸としての性質が無くなる。
    • C.人体のタンパク質を構成するグリシンを除く全てのアミノ酸は光学異性体のL型である。
    • D.緩衝作用がある。
    • E.全てのアミノ酸の等電点は同じである。
  • 問2. フェニルアラニンは,水溶液中では水素イオンの濃度によって下記のような平衡状態にある。(a)にあてはまる構造式を書きなさい。(構造式は下図にならって書くこと。)
  • 問3. フェニルアラニンを検出する方法としてともに正しいのはどれか。次の中から一つ選べ。
    • A.ビウレット反応と酢酸鉛反応
    • B.ビウレット反応とニンヒドリン反応
    • C.キサントプロテイン反応と酢酸鉛反応
    • D.キサントプロテイン反応とニンヒドリン反応
    • E.キサントプロテイン反応とビウレット反応
<東海大学医学部>

<27-1>解答と解説

<解答>

  • 問1. E
  • 問2. 下図
  • 問3. D

<解説>

  • 問1.
    • A. アミノ酸は結晶中でRCH(NH3+)COO-のように同一の分子内で正電荷と負電荷とが共存した双性イオンとなっているため,水のような極性の大きな溶媒には溶けやすいが,有機溶媒のような極性の小さな溶媒には溶けにくい。
    • B. アミノ酸をエステル化すると,アミノ酸のカルボキシ基がアルコールのヒドロキシ基とエステル結合を形成するため酸としての性質がなくなる。
    • C. グリシン以外のアミノ酸は不斉炭素原子をもち光学異性体が存在する。天然のタンパク質を構成するのは光学異性体のL体である。
    • D. アミノ酸の水溶液中では次の3つのイオンが平衡状態にある。(双性イオンが最も多く存在する。) 水溶液に少量の塩基を加えると平衡が左に移動して(Ⅱ)が多くなり,少量の酸を加えると平衡が右に移動して(Ⅲ)が多くなり,水溶液中のOHやHの量的な変化は生じにくくなっている。すなわちアミノ酸の水溶液には少量の酸,塩基が加わっても,pHをほぼ一定に保つ緩衝作用がある。
    • E. 等電点とは水溶液中のイオンの電荷が全体としては0になり,水溶液中に電極を入れ直流電圧をかけてもアミノ酸がどちらの極にも移動しなくなるときのpHで,それぞれのアミノ酸が固有の値をとる。
  • 問2. 平衡状態は下図のようになる。(問1D解説参照)
  • 問3. フェニルアラニンはベンゼン環を含むアミノ酸なので,ベンゼン環に対して反応陽性なキサントプロテイン反応と,アミノ酸に対して反応陽性なニンヒドリン反応を含むDを選ぶ。

<補足>

  • ・ニンヒドリン反応 : アミノ酸やタンパク質にニンヒドリン水溶液を加えて温めると,アミノ基と反応して青紫~赤紫色に呈色する反応。
  • ・キサントプロテイン反応 : 芳香族アミノ酸やそれを含むタンパク質に濃硝酸を加えて熱すると,ベンゼン環のニトロ化が起こり黄色を呈する反応。(さらにアンモニア水などを加えて塩基性にすると橙黄色に変化する。)
  • ・ビウレット反応 : 2つ以上のペプチド結合に対して呈色する反応。
  • ・酢酸鉛反応(硫黄反応) : 酢酸鉛(Ⅱ)を用いて硫黄を検出する反応。

掟39. アミノ酸の構造,光学異性体,水溶液中の状態,検出反応,等電点などについて知識を整理して覚えておくべし。