有機化学のオキテ31,32

有機化学のオキテ31,32

掟31. グルコースのα型、β型、鎖状構造の構造式をすべて書けるようにしておくべし。

掟32. 単糖類どうしのエーテル結合は特にグリコシド結合であるということ、および、スクロースの水溶液には還元性がないということは、必ず覚えておくべし。

<24-1>問題

次に示す三つの糖類の化学構造式を参考にして、下記の設問に答えなさい。

  • 問1. グルコース、フルクトース、ガラクトースの分子式は、いずれもC6H12O6で表される。分子式が同じで化学構造が異なる化合物に与えられる一般的な名称を答えなさい。
  • 問2. グルコース、フルクトース、ガラクトースは、おのおのアルドースとケトースのどちらに属するかを書きなさい。
  • 問3. グルコースは水溶液中では、ほとんどα型とβ型の環状構造をとる。次の構造式の(a)(h)に適当な原子または原子団を元素記号で書き入れ、構造式を完成させなさい。
  • 問4. グルコース、フルクトース、ガラクトースが水に溶けやすい理由を説明しなさい。
  • 問5. 二糖類は2分子の単糖類が脱水縮合したものである。単糖類間の結合を(a)~(d)の中から一つだけ選んで記号で答えなさい。
    (a)エステル結合 (b)ペプチド結合 (c)グリコシド結合 (d)アミド結合
  • 問6. スクロース、マルトース、ラクトースを加水分解すると、おのおの生成する単糖類の名称を書きなさい。
  • 問7. スクロース、マルトース、ラクトースのうち、フェーリング溶液を加えて加熱しても、赤色沈殿が生成しない糖はどれか。また赤色沈殿ができない理由を化学構造から説明しなさい。
  • 問8. フェーリング溶液から沈殿する赤色化合物の化学式と化学名を書きなさい。
<聖マリアンナ医科大学>

<24-1>解答と解説

<解答>

  • 問1. 構造異性体
  • 問2. グルコース→アルドース フルクトース→ケトース ガラクトース→アルドース
  • 問3. (a)H (b)OH (c)H (d)OH (e)H (f)OH (g)OH (h)H
  • 問4. 分子内に親水性のヒドロキシ基(水酸基)が多数あり、水和しやすいため。
  • 問5. (c)
  • 問6. スクロース→グルコースとフルクトース マルトース→グルコース ラクトース→グルコースとガラクトース
  • 問7. スクロース 理由:スクロースは、グルコースとフルクトースの還元性を示す部分から水がとれて縮合した構造をもつため。
  • 問8. 化学式:Cu2O 化学名:酸化銅(I)

<解説>

  • 問1. グルコース、フルクトース、ガラクトースは同一の分子式で表わされるが、化学構造が異なるので構造異性体である。
  • 問2. 鎖状構造でアルデヒド基-CHOの構造をもつ糖をアルドース、カルボニル基(ケトン基)-CO-の構造をもつ糖をケトースという。
  • 問3. グルコースは水溶液中で次の3つの構造をとる。
  • 問4. ヒドロキシ基(水酸基)と水は水素結合を形成する。
  • 問5. ヒドロキシ基(水酸基)どうしの結合は形式的にはエーテル結合だが、糖の場合は特にグリコシド結合という。
  • 問6. 二糖類を加水分解したときに生じる単糖類は正確に覚えておくこと。
  • 問7. 単糖類、二糖類の水溶液には一般的に還元性があるが、スクロース水溶液だけは還元性がない。
  • 問8. フェーリング反応が陽性なときに生じるのはCu2O(酸化銅(Ⅰ))の赤色沈殿であることは覚えておく。

<補足>

  • 1. 水溶液中で、グルコース、ガラクトースは鎖状構造に存在するアルデヒド基により還元性を示すが、フルクトースはアルデヒド基ではなくヒドロキシケトン基(-CO-CH2OH)により還元性を示す。
  • 2. スクロースを加水分解することをとくに転化といい、得られたグルコースとフルクトースの等量混合物を転化糖という。スクロースの水溶液には還元性はないが、転化すると還元性を示すようになる。

掟31. グルコースのα型、β型、鎖状構造の構造式をすべて書けるようにしておくべし。

掟32. 単糖類どうしのエーテル結合は特にグリコシド結合であるということ、および、スクロースの水溶液には還元性がないということは、必ず覚えておくべし。