有機化学のオキテ42,43
問題
タンパク質を構成しているポリペプチド鎖は、(あ)と呼ばれるらせん構造と、(い)と呼ばれる波形構造をとることが多く、いずれもペプチド結合の>NH基と>C=O基間の(う)結合によってその構造が保たれている。このようなタンパク質を主体とする酵素は生体内で触媒的な働きをする。たとえば、胃液に含まれる(え)という酵素はタンパク質をペプチドに、さらに腸液に含まれる(お)という酵素はペプチドをアミノ酸にまで分解する。
- 【問1】文中の(あ)~(お)に適当な語句を入れなさい。
- 【問2】文中の下線部のように、酵素が特定の物質の特定の反応にしか関与しない性質のことを何と言いますか。
<日本医科大学>
解答と解説
<解答>
- 【問1】
- (あ)α-へリックス
- (い)β-シート
- (う)水素
- (え)ペプシン
- (お)ペプチダーゼ
- 【問2】基質特異性
<解説>
-
【問1】
タンパク質の構造は、ポリペプチド鎖のアミノ酸の配列順序により決まる一次構造から始まり、ポリペプチド鎖の部分どうしの水素結合により形成される二次構造(α-へリックス構造やβ-シート構造など)、二次構造がさらに複雑に折りたたまれて球状に近い複雑な立体構造をとる三次構造(イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力、ジスルフィド結合などの色々な結合が働いて形成される)、三次構造をもつポリペプチド鎖をそれぞれサブユニットとして、これらがいくつか集合して形成される四次構造により構成されている。 酵素はタンパク質を主体とした触媒であり、たとえば胃液に含まれるペプシンという酵素はタンパク質をペプチドに、さらに腸液に含まれるペプチダーゼはペプチドをアミノ酸にまで分解する。
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【問2】
タンパク質からなる酵素はそれぞれ特有の立体構造をもち、その活性部位(活性中心)に結合できる基質だけに作用する。この性質を基質特異性という。
<補足>
- 1 タンパク質の二次、三次、四次構造をまとめて、タンパク質の高次構造ということがある。
- 2 ヘモグロビンの四次構造は4つのサブユニットで構成されていることは有名である。
- 3 ジスルフィド結合は、システインがもつSH基どうしが -S-S- という共有結合を形成した構造になっている。
- 4 酵素には最もよく働く温度(最適温度)と最もよく働くpH(最適pH)がある。
- 5 酵素は加熱することにより働きが失われる(失活する)が、これは加熱することによりタンパク質が変性し、活性部位の立体構造が変化してしまうためである。
掟42. α-へリックス構造やβ-シート構造を含め、タンパク質の高次構造について説明できるようにしておくべし。
掟43. 基質特異性、最適温度、最適pHなどの酵素の基本的な性質を覚えておくべし。