以下の記事は2013年時の記事です。
Vol.04 「小児脳死臓器移植」
2012年6月、脳死と判定された6歳未満の男児からの臓器移植が、初めて行われた。
男児は6月14日、改正臓器移植法に基づき、6歳未満では初めて脳死と判定され、提供された心臓・肝臓・腎臓・眼球は移植手術が実施された。家族は肺と膵臓(すいぞう)・小腸の提供も承諾したが、肺は「該当者なし」、膵臓と小腸は医学的理由で、それぞれ移植を断念した。
厚労省は厚生科学審議会臓器移植委員会で、ドナーが18歳未満の場合の基準を規定。肺の場合、身長差・血液型・拒絶反応に関係する適合性・特定のウイルスの抗体の有無・白血球の型・臓器摘出から移植までの時間――の6項目を条件としている。
2010年7月の改正臓器移植法の全面施行で15歳未満からの脳死臓器提供が可能になったが、施行後2年間で実施は2例にとどまる。法改正後、これとは別に15歳未満の脳死と考えられるケースが93例判明したが、いずれも脳死判定や提供に至っていない。
脳死と考えられるケースで臓器提供に至らなかった理由は「家族が承諾しなかった」が最も多く、「虐待を受けた疑いが否定できなかった」がそれに続く。
「小児脳死臓器移植の今後」
毎日新聞は2012年6月、臓器提供施設として体制を整えていると厚生労働省を通じて公表している全国340施設を対象に、郵送によるアンケートを実施、206施設から回答を得た(回答率60・6%)。6月14日に富山大病院で初めての6歳未満の脳死臓器提供が行われる以前に回答を寄せた施設には、変更がないか確認して集計した。 小児脳死臓器提供の今後について、「増えない」と答えたのが126施設(61・2%)、「増える」が80施設(38・8%)だった。「増えない」理由を複数回答で聞いたところ、親の承諾を得ることが難しい(97施設)▽脳死判定が難しく提供数が限られる(60施設)――などが挙がった。 一方「増える」とした理由は、時間をかければ徐々に浸透する(51施設)▽提供に対応可能な施設が増えているから(24施設)――が多かった。 脳死と考えられるケースで臓器提供に至らなかった理由は「家族が承諾しなかった」が最多の16例。さらに「虐待を受けた疑いが否定できなかった」が7例と続いた。
2018年度版 / 2017年度版 / 2016年度版 / 2015年度版
- Vol.18:
- SFTS 重症熱性血小板減少症候群
- Vol.17:
- 浮遊粒子状物質 PM2.5
- Vol.16:
- 高病原性 鳥インフルエンザ
- Vol.15:
- インフルエンザウイルス
- Vol.14:
- インフルエンザ
- Vol.13:
- 新型コロナウイルス感染症
- Vol.12:
- 核分裂生成物/放射線・放射性物質・放射能/被曝(ひばく)/被曝許容限度
- Vol.11:
- 放射線障害 しくみ/放射線障害 しきい値
- Vol.10:
- ベクレル(Bq)/グレイ(Gy)/シーベルト(Sv)/ベクレル・グレイ・シーベルトの関係/ベクレルとシーベルトの換算
- Vol.09:
- 新しい出生前遺伝学的検査
- Vol.08:
- 臓器移植法改正後の問題点
- Vol.07:
- 子供の脳死と臓器移植
- Vol.06:
- 移植を脳死に頼れるか
- Vol.05:
- なぜ脳死が問題になったか/脳死とはなにか/脳死判定基準
- Vol.04:
- 小児脳死臓器移植/小児脳死臓器移植の今後
- Vol.03:
- 再生医療
- Vol.02:
- iPS細胞年表/iPS細胞概要/iPS細胞用語
- Vol.01:
- 山中伸弥京大教授にノーベル賞/ノーベル賞