東京女子医科大学卒
先輩医師インタビュー

初志貫徹っていう言葉が好きなんですよ。

東京女子医科大学医学部卒 先輩医師インタビュー 桜本 真理さん
静岡市立清水病院勤務
(インタビュー当時)

―お忙しいのにごめんなさい。久しぶりだね~。いつ以来かな?

(大学の)1年生か2年生のときかな~...。5、6年ぶりですかねぇ。

―研修はどこでやったの?

横浜労災病院というところでやりました...。新横浜にある病院です。

―いろんな科を回るんだっけ?

そうそうそう、スーパーローテートで、いろいろ内科・外科何ヶ月ずつとか、あと麻酔科とか産婦人科とか、そんな感じです。

―去年と一昨年の2年間?

そうです、そうです。

―去年の研修というと、なんかシステムが変わったんじゃなかったっけ?

そうなんですよ...。でも変わったのは私たちの1コ下からで...。1コ下は産科とか小児科とか回らないでよくなって、わりと自分が好きなやつを選べるようになったんですよ。その方が自由はききますけど、逆に縛られてる方が、「外科これだけ回るよ」と言われてる方が、自分が絶対行かない科でも回んなきゃいけないから、そこを見られるというのは結構いい経験にはなりましたね。

―回ってから、どの科にしようとか決めるの?

まあ、そんな感じですけど...。結局(私は)回る前と後で変わりませんでしたけどね。

―確か前から「小児科」って言ってたよね。

そうそうそう、そうですね。

―「初志貫徹」っていう感じ?

そうそうそう、初志貫徹っていう言葉が好きなんですよ、私(笑)。いやあ、でも実は相当迷いましたよ。性格的には結構外科系なんで...。なんていうか、切って元気になって、はいサヨナラみたいな。あ、外科のこと悪く言ってるんじゃないですよ(笑)。でも内科はずうっと長いおつきあいで、カルテも細かいし、アセスメントもしなきゃいけないし、そういうのちょっと性に合わないなと思ったんですけど。

―アセスメントっていうのは、何するの?

たとえば、検査で「こういう値が出てます」っていっても、外科の先生だったら「はい感染症だね」って言って抗生剤ポンと出して...でも内科の先生だと「白血球が高いから何かしらの感染症があって、感染源はどこなんだろうみたいな、何の菌が原因でどこが炎症を起こしていて、こういう抗菌剤が効いて、それを何日間ぐらい飲ませればいいだろう、みたいな、そういう評価ですね。それが非常に細かいです、内科系は。小児科は結構内科系の醍醐味みたいな感じなんで、やっていけるかなって...

―醍醐味?

内科全部やります、みたいな。

―ああ、内科って今いろいろ分かれてるからね。

そうそう、そうです。循環器内科だったら心臓が主だし、消化器内科だったら消化管が主だし。小児科っていうと循環器もやるし、消化器もやるし、アレルギーもやるし、内分泌もやるし、みたいな...。う~ん、大変ですね。

―研修中は忙しかった?

1年生のときは忙しかったですけどね、2年生になると...よく言うと仕事の要領つかめて、いろいろできるようになってくるし、悪く言うと手を抜けるようになってくるから、2年生のときはそんなに忙しくなかったですかね。1年生のときは結構大変でしたね。

―各科に数ヶ月だと、そんなに長い時間じゃないよね。

そうなんですよね、ちょうど慣れてきたときにサヨナラって感じなんで。そのときは結構勉強してその間知識がグワンって上がるんですけど、回り終わってしまうと、大雑把なところしか憶えてないですよね。でも1回やったことがあるっていうのが結構今役に立ってます。

―で、その後何故清水に?

私、大学の医局に入局したんですよ。慶應に入ったんですけど、その医局人事でって感じで。

―なるほど。医局っていうのは、自分で選べるんだよね。

入るか入らないか、どこに入るか、自分で選べますね。

―どうして入ろうと思ったの?

安心感がありますよね、医局に入ると。たとえば私が男だったら、いろんな市中病院を自分で勝手に選んで、たとえば2年間だけそこに勤めて2年たったらまた就職活動して別の病院に行って...っていうのをやったと思うんですけれども、やっぱり女で、結婚とか出産とか考えていて、子供を産んだ後にも復職したいと考えると、医局に入ってた方が安心だし、何かしら組織に属していたいっていうのがあったから医局に入った、って感じですかね。悩みましたけどね、そこはかなり。縛られるっていうのもありますからね。

―今、医局に入る人が足りないらしいね。

そうみたいですね。だから自分たちの仕事がなおさら大変になるし、医局が持ってる病院も人を引き上げてこなきゃいけなくなっちゃうから、引き上げられた病院も大変ですよね。

―当分ここ(清水)にいるの?

いや、ここはですね、私は半年だけなんです。半年終わったらあと慶應の病院に行って、半年間研修して、そしたらまたどっか行くんですよ。だから初めの1年ていうか、3年目で小児科入って1年目は、そういうローテートっていうのが決まってて、前半が市中病院で後半が大学病院で、4年目5年目は市中病院みたいな。まあ、いろんな医局によって違うんですけどね。

―半年だと、短くない?

今まで1ヶ月とか2ヶ月とかだったじゃないですか。だからそれこそ「お客さん」でしたけど、半年いられるっていうのはいいですね。結構ここは一員として扱ってくれるし、それこそもう小児科って決めて入ってるから、任せてもらえる仕事も多いし、楽しいですよ。

―楽しいこと、つらいことを比較すると...

楽しいことの方が多いですよ。つらいことももちろんありますけど。つらいって言っても、どうかな~、何がつらいかな...

―患者さんを診ててつらかったりすることは?

市中病院はそんなにシビアな患者さんいないんで、風邪で入ってきて元気になって退院していくって子がほとんどですから、そういうのはあんまりないですね。でも大学病院行くとやっぱり心臓の病気かかえてたりとか血液の病気かかえてたりとか、シビアな話しなきゃいけないお子さんもいらっしゃるでしょうし、そうするとそういった意味での「つらい」は相当増えるでしょうね。

―入院患者さんはどのくらい?

入院患者さんは20ちょっとぐらいですかね。25床ぐらいあるみたいですけど、それが埋まることはあまりないです。前の病院が40床ぐらいあって、研修医のときは13人とか14人とか担当患者さんがいたんですけれども、まあ小児科じゃないですけどね、やっぱり10人超えたりするといっぱいいっぱいですよね。ここは多くて7人とかそれぐらいなんで。そう考えると、いろいろ勉強する時間もあるし、自分の自由な時間もあるしって感じで、バランスとれてます。

―夜中に呼び出されたりすることは...

あ~、ありますけど、でもそんな頻繁でもないですかね。

―今年の後半行く予定の慶應病院は担当医制だよね。

大変なんですよね、慶應は...でも、そういう時代があってもいいと思ってます。見学に行ったんですけれども、他所と比べてアカデミックで、教育体制がしっかりしてるし、先生もいい先生がそろってるし...

―同じ医学部でも、大学によって違うところとか、感じることある?

う~ん、どうでしょうね~...結構カラーは違うでしょうけど...とくにウチなんか女の子しかいなかったから、それこそ男の子がやってくれるようなことも女の子が自分たちでやらなきゃいけないっていう意味ではたくましく育ちますし...あとは、国立行ってる子から、私立の子は派手だと言われたり(笑)...。そのくらいですかね。

―てことは逆に言えば、それ以外はほとんど変わらないってこと?

変わらないんじゃないですか。どこへ行ったって医者になったらもう全然一緒ですよね。どこそこの大学の医学部に入りたいっていうのは、さほど大きな問題じゃないと思いますけどね。(私も)高校生のときは確かに結構そう思ってたかもしれないですけど、入ってしまえばどこも一緒だし、医者になれればどこでもいいんじゃないって、今なら思っちゃいますけどね。

―ところで今、勤務時間は?

病院の決まりでは8時半から5時とかですね。まあ、実際はそんな簡単にいく訳もなく、朝の7時半ぐらいに来て、夜は、まちまちですけどね...。昨日はちょっと難しい子が入ったんで、12時過ぎ位までいたりとか。でも、早く帰ろうと思えば、8時とか9時とかに帰れますよ。

―夜勤は?

ここの病院、夜勤が少ないんですよ。月に2回ぐらいで、あとは「オンコール」っていって何かあったら呼ばれる日が4回とか5回とか。そんな感じですかね。夜勤が少ないのは相当ありがたいですね。

―夜勤の前後って、どうなってるの?

夜勤の前後は普段どおりなので、たとえば今日夜勤だったら、普通に日勤やって、そのまま夜勤やって、その次の日の日勤やって、お家帰るって感じです。

―うわあ、長時間だね。

でも3交代の看護師さんと比べると、リズムがとれて楽ですよ。

―夜勤中は何をするの?

救急車が来たりとか、救急外来に患者さんが来たりするんで、それで呼ばれて、患者さん診に行って、みたいな。でもここはそこまで多くないので、夜の12時ぐらいまでは救急外来で患者さん診て、いったん患者さん切れるんで、その後また、朝の4時ぐらいとかになって患者さんが起き始めるぐらいになると呼ばれる...って感じですかね。

―休みはとれてる?

はい、とれてますよ、月に1~2回は。前もって言っておけば遠出もできるし。

―来年、再来年、それ以降の展望は?

来年・再来年はこういう市中病院で働いて、その後は...。小児科の中でもいろいろ専門があるじゃないですか。それこそさっき言ったみたいに心臓とか血液とか。そういう方面に分かれていくって感じですかね。

―とりあえず、「行け」と言われたところに行って修行かな。

そうですね。今のところはどこでも勉強できることは一緒だと思うんで。

―高校生のときに思い描いていたのと、今と比べて、どう?

あ~...思い描いていたよりも、楽しいかもしれないですね。そうですね...漠然としたイメージでしかなかったですけど、毎日患者さんに会ったりしていろんな人と話ができるし、「1時間も寝られずにずっと働き続けるんじゃないか、お医者さんは」って思ってましたけど全然そんなことはないですし。楽しいですよ。まあ大変は大変ですけど。

―最後に、受験生へ何か一言お願いします。

う~ん、そうですね~...皆さんが思い描いている以上に、医者っていう仕事はやり甲斐があって楽しいと思いますので、是非。あと、「レクサスのここがよかった」的な宣伝はしなくていいんですか?(笑)

―それはもう十分してもらってるから(笑)。どうもありがとうございました。

お問い合わせはこちらまで

TEL:03-3477-1306

受付時間 平日9:00~21:00

PAGE TOP

個別相談