医学部再受験情報

最近大学を卒業後、または大学在学中に、医学部の再受験を目指す方が増えています。医学部人気の高まりにより、受験者がかつての二倍近くに増えたと言われ、大学側も現役生や一浪くらいの受験生を重視する傾向から考えると、医学部再受験はなかなか困難な状況です。しかし、決して道が閉ざされているわけではありません。
以下に医学部再受験について、参考になる情報を紹介します。

国公立大学について

かつては年齢にかかわらず、試験で点数さえ取れれば合格できる国公立大医学部が多数ありました。
しかし、現在ではそのような大学は少数派になってしまっているため、自分が受験する大学が再受験生を受け入れているのかどうかについての下調べが必要となります。例えば関東の国公立大学医学部は、再受験生にはかなり厳しい状況にあると言えます。
高校を卒業してからの年数によっても、大学側の対応にかなりの開きがありますので注意してください。

高得点が必要なセンター試験

受験する大学が再受験生を受け入れているとして、次にセンター試験の得点率の問題があります。国立大学の医学部を受験するためには、センター試験でおよそ8割後半以上の得点が必要と言われています(旧帝大では9割以上)。問題はそれほど込み入ったものは多くないですが、少なくとも合格の可能性のある受験生はほとんどミスをしないので、皆が解ける問題を一つも取りこぼさずにおよそ9割の得点率を目指す必要があります。そのために、文系科目を含めた幅広い勉強を覚悟しなければなりません(英語と理数系科目で9割以上、社会で8割以上、国語で7割5分以上の得点を目指すのが一般的)。
また文系科目にかなりの時間を使う覚悟も必要で、理系科目の片手間にというわけにはなかなかいきません。さらにセンター試験は一発勝負であり、時間的に余裕のない試験であるため、実力が思うように発揮できないこともよくあります。そのため、努力が報われないこともあるということも覚悟しなければなりません。さらにこれだけ厳しいセンター試験で、目標の得点が達成できてもまだ二次試験の問題があります。

高いレベルが必要となる二次試験

国公立大学医学部の二次試験を受験するほとんどの受験生は、センター試験の目標得点率を実現し、センター試験後の予備校によるリサーチで合格の可能性が高いことを確認して出願しています。かなり勉強してきた受験生が占めるこの集団の中で、合格を勝ち得るための基本戦略はセンター試験のときと同じで、皆が解ける問題を一つも取りこぼさないことです。
ただ皆が解ける問題のレベルが、かなり高いので注意が必要です。理科で言うと、合格できる受験生は数研出版の重要問題集位のレベルの問題を取りこぼしません。それだけのレベルを実現するためには、やはり受験勉強を始める時点で一定のレベルに達していないと厳しいのが現実です。もしそのレベルになく学費の工面ができるなら、私立の医学部に絞った学習をお勧めします。
なお旧帝大の問題では、その場での考察や類推、長い論述が要求されるため、さらに対策が大変になってしまいますが、一般の国公立大学では難問や奇問ができたかどうかで合否が決まっているわけではないことを認識してください。

再受験生に厳しい面接試験

二次試験で面接がある場合、再受験生は厳しい質問や医学系の知識や情報についてかなり入念な準備が必要です。特に医学部志望動機については厳しい突っ込みが予想されますし、再受験生の場合は年齢が一般の受験生よりも上なため、医師として活動できる期間が短くなってしまうことについての話を振られるかもしれません。同じ国費を投入するなら、能力的に大差のない仕事ができる年数が長い人(若い人)の方が良いのではという話に対して、どう対応するかを考えておかなければなりません。

私立医学部について

私立大学医学部は国公立大学医学部に比べれば、再受験生に対してまだ門戸を開いていると言えます。それでも再受験生の受け入れについては、大学によりかなり対応が異なります。これは大学に対する評価が医師国家試験の合格率と結びつくため、私立大学医学部ではこの試験の合格率を上げることを大きな目標としていることが多く、入学した再受験生が合格率にどう影響を与えるのかについての評価が大学によりかなり異なるためだと思われます。
近畿大学医学部のように、点数だけで合否を決めると明言している所もありますが、一般的には私立大学医学部でも医師国家試験の合格率などを考えて、現役生や一、二浪くらいの受験生を重視する傾向になりつつあります。
ただし、一般的には再受験生に対して厳しい対応の私立大学医学部でも、成績が抜群に良い場合にはなんとかなる大学もあります。

学費の減額に伴う倍率の増加

受験する大学が再受験生を受け入れているとしても、私立医学部の難易度はかなり高くなってしまい、合格するのが難しくなっています。一部の難関校を除き合格するための目標偏差値に差が少ないため、俗に言う滑り止めになる私立大学医学部はありません。こうなったのは、医学部に対する人気が高まっていることに並行して学費の事情があります。かつては私立大学医学部の学費は高額で、30年ほど前ではおよそ国公立大学の20倍から30倍くらいは必要でした。
しかし、最近では国公立大学の学費が上がり、私立大学医学部で学費を下げたところもあるため、学費が国公立大学の6倍くらいの私立大学医学部も出てきています。この金額ならば親が平均的な収入であったとしても少し無理をすればまかなえるため、以前なら少なかった国公立大学医学部と私立大学医学部を併願する受験生が増えています。そのため私立大学医学部合格に必要なレベルが上がり、以前ならギリギリで補欠合格できていた受験生がなかなか合格できないという現象が生じているのです。

努力によりある程度のカバーはできるが…

合格するための目標レベルは上がり合格が難しくなってしまいましたが、要求されているのは一般的な入試問題を時間内に数多く正確に解くことです。これは努力によりある程度は対応できるものなので、誰にでもチャンスはあると言えるでしょう。
ただし、気を付けなければいけないのは、全ての入試科目について一定レベル以上を達成することです。皆ができる標準的な入試問題レベル(決して易しくはありません!)の出題が多く、一科目の失敗が試験全体を駄目にしてしまうことがあるため、全教科についてまんべんなくできなければいけないのです。
また、一科目の失敗を他の科目で補ったり、一科目を突出した成績にして合格を狙うということはできません。さらに試験における問題数が多く、出題範囲が広くなり、受験する大学の数も多くなる傾向があるので、特定の分野に絞った勉強やヤマを張るという勉強も通用しません。全教科共に全分野についての完全な基礎力がないと合格できないのです。代表的な問題が解けるため模擬試験の成績は取れて、この部分がおろそかになっているため実際の私立大学医学部入試で合格できない受験生が増えているので要注意です。

一次試験の結果が最重要
ボーダーギリギリでは難しい

私立大学医学部受験では学科試験を一次試験として、入学定員の約10倍から20倍の受験者を数倍に絞ります。この絞られた一次試験合格者に対して、面接や小論文などの二次試験を行うのが一般的です。二次試験の結果はほとんど一次試験の結果で決まってしまい、面接や小論文の結果がよほど良いか悪いか、地元出身であるかなどで若干の番狂わせがある程度だと思われます。
再受験生の方に注意しておきたいのは、一次試験の合格は必要ですが、ボーダーラインギリギリの一次試験合格では最終合格が難しいということです。補欠などが発表されても、もともとボーダーラインギリギリの受験生には最終合格はまわりにくいですし、再受験生の場合はさらにまわりにくくなります。これは自分が試験官になったと仮定して考えていただければご理解いただけると思いますが、同じような成績を取っているなら、短時間でそれを達成できた方の評価が高くなってしまうのです。
まわり道をしてきたならば、まわり道の理由を試験官に納得させて、むしろそれにより合格するくらいのことが必要ですが、実際にはそれは難しいことなので、同じ成績に現役や一浪くらいの受験生と再受験者が並ぶと、たいていは再受験生に対して厳しい結果となってしまうのです。ですから一次試験を合格することは大事なのですが、再受験生はボーダーラインよりもかなり上での一次試験合格を目指してもらいたいのです。

やはり厳しい面接試験

また面接でも、そこまでの経緯や再受験をすることになった理由などについて突っ込んだ質問をされますし、場合によってはかなり圧迫的な面接になる場合もありますので覚悟が必要です。特別な良い印象を与えられなくても、無難に終われば良しとします。
多くの大学の二次試験面接において再受験はやや不利な条件として扱われるつもりで、色々な質問を想定し、それに対して答えをきちんと準備して、模擬面接などで入念に練習しておきましょう。

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