What's 「言語」?
What's 「言語」?
What's 「言語」? 第3回 日本語の現在(1)「ラ抜き言葉」の拡大
 まずは、次の文をご覧下さい。
■その時間には来れません。なので、待っててもらっていいですか?
 どの程度、違和感を感じたでしょうか。
 「全く感じない」という方は、時代の最先端を走っています(笑)。
 問題は、大きく分けて2つあります。
 1つは、口語と文語の違い。もう1つは、言葉の変遷です。
 具体的には、「来れません」「なので」「待ってて」「もらっていいですか」の用法が問題になります。
 皆さんは、自分たちが口語体で読み書きしていると考えてはいませんか?
 ――それは、間違いです。
 「文語文法」という用語は、「平安時代の文語文法」(つまり古典文法)の略称として長く用いられてきました。そのため、「古語=文語」「現代語=口語」と理解されるのが一般です。しかし、それは誤解なのです。
 本当は古語にも現代語にも、それぞれ文語と口語があるのです。そして、「読む・書く」場合には文語を、「話し・聞く」場合には口語を用いてきたし、現在も用いているのです。
(なお通常は、現代語の文語を「書き言葉」、口語を「話し言葉」と呼んでいます)
 明治期以降の「言文一致」運動は、文語を口語に一致させようという努力をしました。そのため両者はかなり近づきましたが、今でも一致してはいないのです。
 たとえば冒頭の例文のうち「待ってて」という言い方は、口語では完全に市民権を得ていますが、文語ではまだまだ「待っていて」と書かなくてはなりません。
 さて、文語は保守的でなかなか変化しませんが、口語は年々歳々変化します。
 変化している言葉の中でもよく取り上げられるのは「ラ抜き言葉」でしょう。
 受身・可能・自発・尊敬という4つの意味を持つ助動詞「れる・られる」には本来、
◆五段活用動詞(「読む」など)とサ行変格活用動詞(「する」)には「れる」が接続し(「読まれる」「される」)、
◆一段活用動詞(「見る」「寝る」など)とカ行変格活用動詞(「来る」)には「られる」が接続する(「見られる」「寝られる」「来られる」)
 という使い分けがあります。
 しかし、意味が4つもあるため紛らわしく(「自発」の用法は最近あまり使われませんが)、さらに「れる」と「られる」の使い分けが煩雑だという問題があります。
 一方、室町時代に発生し、江戸時代に広がった「可能動詞」というものがあります。
 「読む+れる=読まれる」の他に「読む+得る=読み得る→読める」という動詞が生まれ、むしろ「読まれる」を凌駕するようになったのです。
 ただし、これは五段活用動詞に限られていました。ところが近年、一段活用・カ行変格活用動詞にも、同様の動きが見られるのです。
 可能動詞の発音を見ると、「yomareru」→「yomeru」:途中の「ar」が抜けていますね。
 この発想をさらに一段活用動詞・カ行変格活用動詞に広げると、「mirareru」→「mireru」、「korareru」→「koreru」になります。こうして、一段活用・カ行変格活用動詞にも「可能動詞」が作られるようになったのです。
 これがいわゆる「ラ抜き言葉」です――実際には「ar抜き」ですが。
 「ar」を抜くことによって接続のルールが簡略化されるとともに、「尊敬」・「受身」と「可能」の区別が明確になるという利点があるため、問題視されながらも着々とその陣地を広げつつあります。
 現在はまだ口語(話し言葉)に留まりますが、文語(書き言葉)に採用される日も、そう遠くはないかもしれません。

[第1回作文ルール(1)]

 第1回は、作文ルール「係る言葉は長い順」を取り上げます。

 「言語」の主要単元に「日本語の作文技術」がありますが、そこで学ぶルールの1つです。

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[第2回作文ルール(2)「読点を打つとジャンプする」]

 読点「、」には「係り受けをジャンプさせる」という働きがあります。

■ 銭形警部は笑いながら逃げるルパンを追いかけた。

 という文について考えみましょう。

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[第3回日本語の現在(1)「ラ抜き言葉」の拡大]

 まずは、次の文をご覧下さい。

■その時間には来れません。なので、待っててもらっていいですか?

 どの程度、違和感を感じたでしょうか。

 「全く感じない」という方は、時代の最先端を走っています(笑)。

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[第4回 日本語の現在(2)「なので」と書いてはダメなのです。]

 前回の例文再掲。

■その時間には来れません。なので、待っててもらっていいですか?

 今回は、「なので」と「もらっていいですか」を取り上げます。

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[第5回 英文和訳は「和作文」]

  まずは、「大統領選立候補検討中か」と報じられた時のオバマさんの発言から。

■ I am not sure anybody is ready to be president before they are president.

 「この文を日本語に訳してみてください」と言われると…

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>> レクサスの「言語」とは何か。
――中学時代こそ,「言語としての日本語」を正しく学ぶべき時期

>> What's 「言語」?詳細版。
――レクサス独自の科目「言語」とは何か――5回にわたって詳しくご紹介します。