レクサスの「言語」とは何か。
レクサスの「言語」とは何か。
―中高時代こそ,「言語としての日本語」を正しく学ぶべき時期
 今の日本には,不幸なことに「日本人のための日本語教育」はありません。
 学校の国語は事実上,文学あるいは倫理となっています。国語の教科書と指導書を見れば,それは明らかです。
「表現を味わってみよう」「登場人物の気持ちを想像してみよう」「自分に照らし合わせて考えてみよう」等々,そこにあるのは「鑑賞」と「自分さがし」の設問。
 もちろん,文学も倫理も重要ではありますが,語学としての日本語学習は,ほとんど姿を見せません。
 他方,受験の国語は,入試で点を取るための技術。おまけに,受験勉強にかけられる時間は有限ですから,効率を重視せざるを得ません。そうなると,方法論が最も見出しにくい科目である現代文は,どうしても後回しにされる傾向があり,「慣れ」と「勘」に頼らざるを得ないことにもなります。
 これもまた,語学としての日本語学習とは程遠いものとなります。
 そもそも国語の教員免許をとるために,「国語学」は選択必修であって,必修の単位ではありません。かたや「国文学」は必修。
 教科書のみならず国語の教師もまた,「国語学」を意識しているとは限らないのです。
 では,「国語学」とは何か。厳密に言うと,「言語としての日本語の構造と変遷に関する学問」といったところでしょうか。ですがここでは,「言語としての日本語の構造と変遷を教える方法」としてとらえます。
 まずは,英語を学ぶときを想像してみてください。 文字を習い,文法を習い,単語を習い,読み方・書き方を習う。最近の英語では「文法」が以前より軽視されているものの,基本的にこの仕組みに変わりはありません。
 日本語でもそれは同じはず。
 日本語の文字を習い,文法を習い,単語を習い,読み方・書き方を習う――というものでなければなりません。
 「活用形」とか「活用の種類」とかを覚えても,あまり役には立たない,という感想は,皆さんお持ちではないかと思います。それでも文法は学ばねばなりません。たとえば「きれい」を「きれく」と活用させることはなぜ問題なのか,助詞の「は」と「が」,「を」と「に」の使い分けはどうすべきか,「の」の連発を避けるためにはどういう助詞を使うべきか,「主語」と述語が遠く離れたわかりづらい文を,わかりやすくするためにはどう直したらいいか,などなど,文法を学ばなければ,勘に頼らざるを得ず,したがって文を書くのが億劫になる……ルールを知れば,文を書くことは難しくないのです。それが「文法」です。
 文を書く際に,単語の知識が豊かであればなおさら容易に,正確な文が書けるようになります。同じような意味を表す単語をたくさん知っていれば,単調さを免れることができます。ここでいう単語は,漢語だけではありません。むしろ,より重要なのは和語です。漢語は漢字の練習で出てきますが,和語は正面から取り上げられることが少ないというのが現状です。そのため,日常的に用いる和語,とくに形容詞は,衰退の一途をたどっています。そうして「やばい」「微妙」が幅をきかせています。
 さらには,日本語の変化というものも考慮に入れなければなりません。とくに現代は,変化の激しい時代です。一時期話題となった,いわゆる「らぬき言葉」の他にも,若者の使う言葉は言うに及ばず,年長者の使う言葉も著しく変化しています。「なので」という接続詞が登場し,年齢層を問わず使われるようになったのも,つい最近のことです。考えてみれば,日本語は遠く奈良の昔から,変遷を重ねてきました。ですから,現代語と古語は大きく異なるのです。しかしその変化は徐々に起こってきたものであって,そこに断絶はありません。だとするならば,歴史的背景を知ることによって,「今のところ正しい」日本語を用いることができるのです。
 英語の学習が進めば,英語と日本語を比較することもできるようになります。比較は有益です。比較することによって,さまざまな点が見えてきます。たとえば英語は語順で文意が決定されるが,日本語は助詞・助動詞によって決定されること,したがって日本語で「主語」と言われるものの文中での位置は自由であること(つまり厳密に言えばそれは「主語」ではないこと)とか,あるいは新情報が文末に置かれることが多いという特徴は,日本語でも英語でも共通であること,英語・漢語・和語の表す意味の「守備範囲」は,重なりつつも皆異なり,和語はかなり広い意味を表しうること,等々。
 歴史をふまえ,他の言語と比較しながら,文字を習い,文法を習い,単語を習い,読み方・書き方を習う――しかも,なるべく若いうちに。それによって,日本語という言語を使いこなす技術を見につけることができるようになるのです。
 中高時代こそ,「言語としての日本語」を正しく学ぶべき時期なのです。

>> レクサスの「言語」とは何か。
――中高時代こそ,「言語としての日本語」を正しく学ぶべき時期

>> What's 「言語」?詳細版。
――レクサス独自の科目「言語」とは何か――5回にわたって詳しくご紹介します。