有機化学のオキテ

<27>アミノ酸
掟40.等電点の計算問題では電離定数の積を作ることを考えるべし。

<27-3>

以下の記述を読んで設問に答えなさい。なお[ ]は[ ]内の物質の濃度を表している。 (有機化学のオキテP72)

生物体内で重要な高分子化合物( (ア) )は,元素としてC,H,O,N以外に( (a) )を含むことが多い。(1)( (ア) )に濃硝酸を加え加熱すると黄色になり,さらに 冷却後アルカリ性にすると橙色になる。この反応は( (ア) )に含まれるベンゼン環が( (イ) )化されることによる。また( (ア) )に希塩酸を加えて熱し加水分解すると約20種類のα-アミノ酸を生じる。
α-アミノ酸はある条件下では

で表される(Rはアミノ酸によって異なる)。α-アミノ酸のなかで最も構造の簡単なものはグリシンであり上の例にしたがって構造式(イオン式)で表すと( (b) )となる。グリシンは酸性条件下では,( (ウ) )基の電離がなくなり( (エ) )イオンとしての,また塩基性条件下では( (オ) )基の電荷がなくなり( (カ) )イオンとしての性格がでてくる。したがって下図の平衡が成り立つ。

①式で(c)の電離定数をK1,②式で(b)の電離定数をK2とすると

すなわちK1は( (ウ) )基が半分の濃度だけ電離したときの( (キ) )イオン濃度に,同様にK2は( (オ) )基が半分の濃度だけ電離したときの( (キ) )イオン濃度に相当する。(2)またあるpHの条件で[ (c) ]と[ (d) ]が同じ値を示す場合がある(等電点という)。

問1 文章および式中の(a)~(d)に適当な元素記号または分子式(イオン式)を,文章中の(ア)~(キ)に適当な語句を答えなさい。

問2 下線部(1)の反応をなんというか,反応名を答えなさい。

問3 K1とK2の積を式で表しなさい。なお[H]などはそのまま用いてよい。

問4 下線部(2)のときのpHを,問3の解をもとに式で表しなさい。

<愛知医科大学>

<27-3>解答と解説

有機化学のキテP199

<解答>

問1 (a)S

(b)
(c)
(d)

(ア)タンパク質 (イ)ニトロ (ウ)カルボキシ(エ)陽 (オ)アミノ (カ)陰 (キ)水素

問2 キサントプロテイン反応

問3 下図参照

問4 下図参照

<解説>

問1 タンパク質は元素としてC,H,O,N以外にSを含むことが多い。キサントプロテイン反応は芳香族アミノ酸やそれを含むタンパク質に濃硝酸を加えて熱すると,ベンゼン環のニトロ化が起こり黄色を呈する反応である。(さらにアンモニア水などを加えて塩基性にすると橙(黄)色になる)
グリシンの水溶液中では次の平衡が成り立っている。

①式で(c)の電離定数をK1,②式で(b)の電離定数をK2とすると

①式で(c)が半分電離したときには[(c)]=[(b)]となり,K1=[H+]となるので,K1はカルボキシ基が半分の濃度だけ電離したときの水素イオン濃度に相当する。
また②式で(b)が半分電離したときには[(b)]=[(d)]となり,K2=[H+]となるので,K2はアミノ基が半分の濃度だけ電離したときの水素イオン濃度に相当する。
等電点では[(c)]と[(d)]が同じ値を示し,水溶液中のイオンの電荷が全体としては0になり,直流電圧をかけてもイオンは移動しない。

問2 問1の解説参照

問3

問4 等電点では[(c)]と[(d)]が同じ値を示すので

<補足>

問題文でK1とK2の積を作るようになっているが,そうなっていなくても等電点の計算問題では電離定数の積を作ることを考えてみること。

掟40.等電点の計算問題では電離定数の積を作ることを考えるべし。