有機化学のオキテ

<24>単糖類,二糖類
掟33.グルコースには鎖状構造で24=16個,環状構造で25=32個の光学異性体が存在することを必ず覚えておくべし。
掟34.フルクトースには鎖状構造,六員環構造(ピラノース)以外に五員環構造(フラノース)があることを知っておくべし。

<24-2>

次の文と構造式をもとに,下記の問い(問1~問6)に答えよ。 (有機化学のオキテP64)

グルコース(ブドウ糖)は動物の体内に広く存在している。グルコース分子の鎖状構造式(Ⅱ)は,アルドースとしての構造上の特徴をよく表している。しかし,グルコース分子は水溶液中で大部分が構造式(Ⅰ)あるいは(Ⅲ)で表される環状構造をとっている。構造式(Ⅰ)および(Ⅲ)は,新たに【ア】原子ができたことにより生じた異性体である。これらの異性体(Ⅰ)はα-グルコース,(Ⅲ)はβ-グルコースである。また,グルコースが還元性を示すのは,鎖状構造(Ⅱ)に基づいている。

一方,グルコースの異性体であるフルクトース(果糖)は,ハチミツや果実の中に含まれている。フルクトース分子の鎖状構造は,ケトースとしての構造上の特徴を表している。フルクトースはグルコースと同様に還元性を示す。この理由は,鎖状フルクトース分子の部分構造が還元性を持つためである。

問1 文中の空欄【ア】に適当な語句を記せ。

問2 上記の式中のに適当な原子あるいは原子団を入れ,構造式を完成せよ。解答欄には,それらをa,b,cの順で記せ。

問3 鎖状構造式(Ⅱ)で表されるグルコース分子には,何個の立体異性体があるか。

問4 文中の下線部に相当する部分構造式を示せ。

問5 5員環構造をもつβ-フルクトースの構造式を,上の式にならって示せ。

問6 グルコースが水によく溶ける理由を40字以内で説明せよ。

<東京慈恵会医科大学 一部改>

<24-2>解答と解説

有機化学のオキテP186

<解答>

問1 不斉炭素

問2 H OH CHO

問3 16個

問4、問5 下記参照

問6 分子内にヒドロキシ基が多数あり,水分子と水素結合し水和しやすくなっているため。(39字)

<解説>

グルコースは水溶液中で次の3つの構造をとる。

問1 (Ⅱ)の1位の炭素原子が,(Ⅰ)(Ⅲ)の1位の不斉炭素原子になっている。

問2 (Ⅰ)と(Ⅲ)では1位の炭素に結合しているHとOHの位置が逆になっている。(それ以外の部分は同一の構造である。)

問3 (Ⅱ)は不斉炭素原子を4個もつので,立体異性体(光学異性体)数は24=16個となる。

問4 フルクトースの水溶液が還元性を示すのは,鎖状構造中にアルデヒド基(-CHO)ではなく,ヒドロキシケトン基(-CO-CH2OH)を含むためである。(ヒドロキシケトン基が,アルデヒド基を含む構造に変化して還元性を示す。)。

問5 次図のように,フルクトースは水溶液中でグルコースと同様に鎖状構造や六員環構造(ピラノース)をとるが,それ以外に五員環構造(フラノース)もとる。

問6 グルコースは鎖状構造,環状構造ともに1分子中にヒドロキシ基(水酸基)を5個もっている。

<補足>

1. グルコースの環状構造は不斉炭素原子を5個もつので,立体異性体(光学異性体)数は25=32個となる。

2. フルクトースは結晶中では六員環構造(ピラノース)をとる。

掟33.グルコースには鎖状構造で24=16個,環状構造で25=32個の光学異性体が存在することを必ず覚えておくべし。

掟34.フルクトースには鎖状構造,六員環構造(ピラノース)以外に五員環構造(フラノース)があることを知っておくべし。