有機化学のオキテ

<23>芳香族化合物の分離
掟30.芳香族化合物の分離の問題で主に利用するのは芳香族化合物も中和反応で塩になると水に溶けることと,酸や塩基の強弱関係についての2つだけであることを常識とすべし。

<23-1>

ベンゼン,フェノール,アニリン,安息香酸の4種類の化合物が溶けているエーテル溶液がある。この4種類の化合物は次の方法で分離することができた。A,B,C,Dはそれぞれ何か。構造式を例にならって簡略化したもので書け。 (有機化学のオキテP60)

〔分離法〕
(1)希塩酸を加えてよくふり混ぜた後,水層を分離し,これに水酸化ナトリウム水溶液を加えアルカリ性にしたところ,油状のAが分離した。

(2)(1)のエーテル層に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてよく振り混ぜ,水層を分離し,これに希塩酸を加えて酸性にしたところ白色の結晶Bが得られた。

(3)(2)のエーテル層に水酸化ナトリウム水溶液を加えてよく振り混ぜ,水層を分離し,これに希塩酸を加えて酸性にしたところCが得られた。

(4)(3)のエーテル層を分留してエーテルを取り除いたところ,沸点80℃の液体Dが得られた。

<順天堂大学医学部>

<23-1>解答と解説

有機化学のオキテP181

<解答>

<解説>

問題文を図にすると次のようになる。

ここで主に利用しているのは,芳香族化合物も中和反応で塩になると水に溶けることと,弱酸の塩に強酸が反応すると弱酸の遊離反応が,弱塩基の塩に強塩基が反応すると弱塩基の遊離反応が生じることだけである。

<補足>

1. 安息香酸が安息香酸の塩より弱酸として遊離して,白色(無色)の結晶を生じたという内容の記述は問題文中でよく使われる。(一般に芳香族カルボン酸は常温で固体で,冷水には溶けにくい。)

2. ベンゼンは常温では液体で,その沸点は80℃である。

掟30.芳香族化合物の分離の問題で主に利用するのは芳香族化合物も中和反応で塩になると水に溶けることと,酸や塩基の強弱関係についての2つだけであることを常識とすべし。