現役東大生理Ⅲブログ

東大生TMNブログ~大学生活編Vol.63~ 2014年11月

大学生活編|現役東大生理Ⅲブログ

「西向くサムライ、少の月」で覚えるのだと、小学生のときに母から教わりました。日数が31よりも少ない月のことで、2469はいいとしてサムライ? との趣ですが、士(さむらい)が十足す一で十一になるというのが種明かし。米寿にしても白寿にしても、わかってしまえばそれまでですが、なぞなぞ精神が快いです。

さて病院実習が続いていますが、この頃は整形外科でお世話になっています。整形外科はとても広い科で、というのも整形内科が無いためで、傷んだ膝・肩・股関節を金属に取り換えたり、背骨の中で脊髄を圧迫するヘルニアを切除したり、驚くほど複雑な解剖をしている「手」だけを扱う部門があったり、はたまた骨原発の悪性腫瘍に抗がん剤治療をしたりもしています。僕は背骨を主に扱うチームに割り振られたのですが、そこで行われる「高位診断」なるものが非常に面白かったので、かいつまんで紹介したいと思います。

脳の指令は脊髄を伝わり、分かれ出た神経根が互いに交わりながら末梢神として四肢に達し、最終的に筋肉を興奮させて運動が成立します。このどこで障害がおこっても運動はうまくいきませんが、その場所を特定するのが高位診断です。レントゲンやCTなどの画像検査に増して神経診察が重要になるのが面白いところで、というのも画像と症状が一致しないことがあり、治療の目的は症状をなくすところにあるからです。

脳の信号は脊髄を上から下に伝わるので、脊髄のある高さで障害を受ければそれより下の全範囲で症状が見られるはずです。反対に末梢神経の障害における異常は支配される筋肉に限定され、間にあたる神経根障害では関与する複数の末梢神経の支配域にまたがるはずです。

神経診察の項目は大きく3つに分けられます。1つは筋力で、運動の方向と逆向きの抵抗を加えた上で力の入り具合を確かめます。例えば力こぶの上腕二頭筋の場合なら、医師が肘を伸ばすような力を加えた上で肘を曲げてもらうといった調子です。2つめは腱反射で、これが障害部位の推定に役立つのはそれぞれ脊髄がそれより下の脊髄による腱反射を抑制しているためです。例えば膝の反射がおこらない時はその高さの脊髄から末梢神経に至る経路の障害が疑われますが、過剰におこる時はそれより上流の脊髄が障害されていると考えます。有名な膝以外にも、あちこちの筋肉に対応する反射があって面白いです。3つめは感覚で、物を触った感覚が変だったりしびれたりする、その範囲が重要です。脊髄、神経根、末梢神経と下るにつれて支配領域が狭くなるためです。これらの所見を合わせて考えて、もうパズルそのままです。

そんなこんなで打鍵器の練習がマイブームで、手首スナップの毎日です。