現役東大生理Ⅲブログ

東大生TMNブログ~大学生活編Vol.60~ 2014年8月

大学生活編|現役東大生理Ⅲブログ

相変わらずの猛暑に台風でせわしない八月ですが、私においては群馬の山奥で僻地医療の実習中でありまして、それこそ下界を慮る避暑の日々であります。六合と書いてクニと読む地名の由来は、「天・地・東・西・南・北の六つを合わせて国と成す」となんともお洒落。花いんげんや胡瓜やとうもろこしの畑が、重なって重なって重なる山々を背景に広がります。

同級生と二人、一週間の日程で、「医療と福祉をシームレスに繋ぐ」ことを理念とし、老人保健施設と同居する診療所が受け入れ先です。最寄駅から日に四本のバスに乗り、急カーブ続きの山道を三十分、停留所からさらに十分ほど歩きます。後のオリエンテーションで施設長の方が「ここにやって来ること自体も実習の一部」と語っていましたが、確かにこんな所で人が暮らせるのだろうかというのが正直な印象でした。

実習は福祉色の濃いもので、例えば地域包括支援センターの方に付いて、介護度が要介護に至らないため施設入居の出来ない方々の御宅を回っていきます。あくまで様子を確かめるという調子ですから、話し相手になってうんうん相槌をうつような場面がほとんど。けれどもお百姓の多い土地だということ、また仕事に熱心なだけ談笑くらいしか毎日の楽しみが無いということを伺えば、特に独居の高齢者にとって大変な意味のある時間なのだと感じました。そしてまた話が面白いのです。「小学校の卒業式で先生が『人間はいかなる時も泣いてはいかん、強くなくてはいかん』と言うのを聞いて皆が必死で涙を堪えていた思い出話を、相手がいないから猫にしていたのだけれど、話終わった途端にこいつが『ニャー』って」 誰にも話せず頭の中で温めていたら、うっぷんが溜まってしかたがないと思います。

集会所等を利用した出張診療も見学しました。車を使えなければ診療所を訪れるのも難しい、村に点在するそうした集落を順々に訪れます。印象的だったのが待合の雰囲気の違いで、Aという土地ではほとんどサロンのような盛り上がりで医師が帰ってもお茶会が続くというところ、Bという土地では淡々と冷静な会釈が交わされます。訊ねてみれば年中行事の数や参加率もAとBでは雲泥の差。そして集落間の交流はほとんどないようなのです。都市‐地域という二項対立で捉えがちなところをもう一歩踏み込んで、それぞれの地域あるいは小地域のキャラクターにちゃんと向き合う必要性を感じました。

もちろん、都市にだって小都市の彩りがあるのだけれども。