現役東大生理Ⅲブログ

東大生TMNブログ~大学生活編Vol.34~ 2012年6月

大学生活編|現役東大生理Ⅲブログ

どうにも根暗で人見知りな性格で、それというのも6月生まれの蟹座ですので、「カニを食べると無口になる」ともいいますし、まあそんなものかと納得しています。

自分の蟹属性に目を向けるのはそうそうないもので、せっかくの機会ですから、めぐりさがのぼって神話をあたってみました。しかしながら、黄道十二星座の一員として何か逸話があるに違いないと考えた僕が間違いで、結局は英雄ヘルクレスの咬ませ犬に過ぎません。そしてまた、その咬まれ方があまり酷い。ちょっと抜粋してみます。

うみへび座は、ヒドラという水ヘビで、胴体からは9つの首が生え、そのうちのひとつが不死身、おまけに9つの口から毒気を吐き出すため人々は難儀をしていました。化けヘビ退治にやってきたヘルクレスはヒドラを見つけるや、力まかせにこん棒をふるい、つぎつぎと首を打ち落としていきました。けれども、おどろいたことにひとつ首をおとすたびにその切り口から、こんどはふたつの首が生えてくるのです。そこでお供のイオラオスが一計を案じ、首を落とすたびにその切り口をたいまつで焼き、最後に残った不死身の首は大岩の下敷にしてとうとう退治してしまいます。かに座はその争いのどさくさにまぎれてヘルクレスの足をはさみ、たちまち踏みつぶされてしまいますが、ヘルクレスを憎むヘーラはその功をほめ、うみへびともども空にあげたといわれます。

(藤井 旭『星座図鑑』 河出書房新社)

ほんとうにどうしようもなく、後ろ向きな蟹像が固まっていくばかり。猿蟹合戦だって、結局頑張ったのは蜂や臼や諸々であり、強者とは程遠い。大きな鋏は一見強そうですが、小さな体がいけないのか。『蟹工船』では資本主義の濡れ衣を着せられ、新生児が初めて排泄した便は蟹屎と称される。こんな不名誉もありません。蟹文字といえば明治初期の日本が欧文横文字を称した言葉ですが、横這の何がいけないのか。マイケル・ジャクソンはムーンウォークをする、萩本欽一は欽ちゃん走りをする、蟹は横這をする、それでいいじゃあありませんか。そんな蟹がそれまでになく重要な役割を果たしたであろう『やまなし』においても、「クラムボンは死んだよ。」が代表するように、やはりなにか生命の弱さ儚さを象徴しているように思えます。

そんな弱者、臆病者、いってしまえば根暗な蟹は、英語でcancerといいます。癌も同じ単語で表されるのは病瘡が蟹の甲羅に見えるためだそうですが、この物騒なcancerについてはもう少し、蟹らしくしていてほしいと思うのでもあります。