現役東大生理Ⅲブログ

東大生TMNブログ~大学生活編Vol.18~ 2011年7月

大学生活編|現役東大生理Ⅲブログ

アボガドが先かきみどりが先か

について女子高生が議論しているのを耳にして、都会っ子は進んでいるなぁと感じました。言いえて妙というか、確かにアボガドと黄緑の両方が好きな人にとっては、アボガドが好きだから黄緑が好きなのか、或はその逆なのかということについては考えるほど頭が混乱してきて、ついにはニワトリと卵と同じ意味を持つようになるのかもしれません。電車内でふと耳に入ってくる誰のものとも知れない話声は、たいていはチョリッス系で恐ろしいのですが、たまにこういう面白い表現もあって、そんな日には小銭を拾ったように得した気分になります。

久しぶりに学校の話をします。化学生命工学系のオムニバス講義でのことですが、タケダ薬品の社長だった方のお話を伺うができ、とても興味深かったので紹介したいと思います。

各国の薬品産業の成果は、①大学の研究、②企業のグローバルな知財戦略、③企業のグローバルな経営戦略、の3つの積として表現されます。知財、とはあまり聞きなれない言葉ですが、いかに知(=研究)を用いるか、つまり基礎研究の成果の各分野への応用、研究を裸の人間だとするならばそれにどんな服を着せるか、そういう部分を指した表現です。①の研究成果に関して、日本はアメリカをはじめとする外国に対して3倍は優れているそうです。しかしながら、②と③におけるまずさ、とりわけグローバルな視野の欠如のために、その3倍のアドバンテージを生かしきれていない現状があります。というのには日本には医薬品の生産を一気通貫に行っている企業は存在せず、それぞれのプロセスを分担して行っているという事情も加担しています。①にも問題はあり、先生が例としたT大学では、発表された論文の数自体は各国の大学と同程度であるものの、その論文の有益性を示す引用数においては大きな遅れをとっています。つまり、ある意味ではひとりよがりの研究に終始している研究者も少なくないのです。

こうした事態に危機感を覚えた先生はIPSNと呼ばれるビジネスモデルにより、大学、企業、政府が協力し、一気通貫で製薬を行える機構を作り上げました。ISPNには企業、政府から集められた資金がプールされ、各大学に配分されます。これにより、企業間の連携は強化されます。また、大学の研究に対しては企業の視点から実際的な応用を考慮したアドバイスが施され、特許の効果的な取得についても提案します。つまるところ、これまで途絶え気味だった大学と企業(と政府)の結びつきを強めることで、日本の製薬産業のグローバルな競争力を高めようと試みているのです。資源のない島国である日本にとって、知の結晶ともいっていい医薬品は大きな武器となりうるでしょう。IPSNビジネスの第1次15カ年計画は、すでに開始されています。

ちょっと込み入った話になってしまったので、もっと単純な話をしようと思うのですが、今後必要とされてくる(=現状のままでは十分でない)薬品はある程度限られていて、疾患からいえば癌とアルツハイマー、機能からいえば分子マーカーと幹細胞です。癌、アルツハイマー、分子マーカー、幹細胞、この4つは、いうなればドル箱です。シーズ(研究)とニーズの一致は不可欠です。特に研究医志望の方々、考えてみてください。

長くなりましたが、先生の深い言葉を一つだけ添えたいと思います。

“右足で120%、左足で120%”

自分の本業で100%以上の努力をしていれば、他の場所で何をやってもやっていける、文句も言われない、そんな意味です。これからの時代、分野間の協力体制(例えば医学と工学の協力は再生医療で大きな働きを果たしています)の重要性は増す一方でしょう。そんな中でも、器用貧乏にならないで、しっかりと自分の拠点みたいなものを固めていきたいものです。それにしても、語り口のしっかりした先生でした。人間の"深み"みたいなものはその語り口に出てくるんじゃないかと思えます。

さて最近、自然熱が高まっていて、先日は島に行ってきました。東京湾唯一の自然島、猿島で、砂浜もあれば磯もあり、森もあれば軍用地の廃墟もある、至れり尽くせりな所でした。砂浜ではBBQが流行っているみたいで、チョリチョリッスな人たちがたくさんいたのは恐ろしかったです。今度は渓流に行くつもりです。はだしで沢を(なでしこジャパンおめでとう!)歩きたいのです。