現役東大生理Ⅲブログ

東大生TMNブログ~大学生活編Vol.12~ 2011年4月

大学生活編|現役東大生理Ⅲブログ

前回の更新から2週間が経過し、またたく間に!と時の流れの速さに驚かないわけにはいきません(時は金なり)。この2週間で授業のペースも固まり、とここまで書いているときに一つハッとしました。この文章は前回の文章を脇に置いて書いていて、ニヤニヤ王子あたりの話を読み返してなんだこれはと思っていたのですが、エースの荻野投手、これは誤りで穂積投手が正しいっぽいです。たぶんそうです。話を戻しますと、ペースも固まってきた今学期は1週あたりのコマ数が7つととても少なく、これは前学期、前々学期が約15コマだったことを鑑みると異様です。やろうと思えば、出なくても問題のない授業への出席を放棄すれば、週休5日です。すごいエコです。いやぁ、ヒマです。

こうしたエコなヒマは必修科目、つまり興味もなにもないのに進学のために、必要単位との名目のもとで取らなくてはならない科目、例えば数学、力学、電磁気学…の減少に伴うものであって、結局今回の7コマは自分の興味に沿う授業が大部分を占めることになります。トリを食べるとして、食べきれないようなササミやムネばかりだったのが(パサパサ!)、突如適量のモモだけを提供されるようになった感じです(ジューシー!)。ででして、つまるところ、どれも気に入っている今学期の授業について是非紹介したい、というのが今回の文章の主題になります。

●生命化学工学

毎回別々の教員が授業を持つ、オムニバス形式で行われます。授業であると同時に、工学部の生命化学工学を扱う学科への勧誘活動も兼ねているようで、学科のエース級の教員ばかりが登場します。パ・リーグなら、涌井と成瀬と岩隈とそれからダルビッシュが順に登板する感じです(それがつまりオールスターですね)。そもそも生命化学工学は理論と実践の橋渡しをするような位置にあるようで、最新の科学技術によって近い将来可能になりうることを垣間見ることができます。一例として、アクアマテリアルなるものが存在します。これは両側に水素結合の吸盤状構造を持つ、全体としてはダンベルのような形をした高分子化合物(分子ジョイント)によって結びつけられ、組成の98%が水でありながら(残りの2%は分子ジョイント、そしてその結合の核となる粘土)ゴム状の性質を有する素材です。水の恐ろしいまでの純度(通常この種の素材を製造するとなると、不純物が23割は入ってきます)のおかげで広い範囲の応用が考えられ、消火活動の際にボール状のアクアマテリアルを用いることで液体の水の拡散によるロスを解消することができます。もうひとつタイムリーな話としては、水が放射線を通さないことから、原発作業員の防護服への応用が考えられます。的な授業です。

●英語Ⅱ列(C)

英語Ⅱ列ではいくつかのclassの中からlikeなものをselectすることがableなのですが、僕はFrankensteinの原典と映画を扱う授業を選択しました。外国文学に接するとはいっても、それは翻訳されたものがほとんどで、一度原典のままの形で触れてみるのもいいかもしれないと思ったためです。この授業ではテクストの解説のみならず、原文と映画を見比べることで、両者の相違点、文学映画における手法上の制限、みたいなものも扱い、およそ英語の授業っぽくないところもお気に入りポイントの一つです。また、班ごとのディスカッションなども行われるのですが、これは日本語で行うらしく、もはや英語の授業なのかどうかもはっきりしません(怪)。

●文学と映画

これもオムニバス形式の授業です。上のFrankensteinと似た感じですが、ある時代と地域における文学と映画の間の相互関係、その背後に横たわる文化的政治的状況なんかを扱います。この授業のどこがすばらしいかというと、一般に名作と呼ばれる作品を、多方面から(オムニバスさまさまです)、紹介、あるいは鑑賞させてもらえる所で、造詣フェチの僕にとっては願ってもない機会なのです。もうひとつ付け加えるならば、入学前から柴田元幸教授だけは、これは村上春樹との共著である「翻訳夜話」によるのですが、名前を知っていて、是非授業を受けてみたいと思っていたのですが、なかなか機会がありませんでした。その当人もこのオムニバスの一部分を成していまして、これはただただ楽しみなわけであります。

●人間総合科学

この授業は今年から設けられたもので、理3の生徒だけを対象とした必修科目なのですが、これまたオムニバス形式です。実際の医療の現場に入る前に一旦「生命とは何か」について考え直す時間を持とう、というのがコンセプトのようです。人体実験や出生前診断の可否など、倫理的に複雑な問題がどいどい扱われて、いやでもコンセプトに沿わないわけにはいかないです。

●物性化学

あまり好きでないです。 構造化学の兄みたいな感じで、s軌道とかp軌道とかそれ系統です。 あまり興味をそそられないです 。

●基礎生命化学実験(2コマ)

生物系の実験です。オオカナダモとか大腸菌とか扱って、DNAを抽出したりします。顕微鏡で見たもののスケッチを取ったりします。カエルを解剖します。メスでです。ゾクゾクしますね。

と、まあ、これで7コマです。今回わかったのは、オムニバス形式の授業にハズレ無し、って事でして、これは考えてみれば当たり前なわけです。時間的な制約のある中で話者が何を話すかといえば、それはもう扱うトピックのなかでも面白い、エッセンスの部分なわけでして、エッセンスの幕の内弁当たるオムニバスはつまらなくなりようがないわけです。これは、大きな発見です。ユリイカ!

なにかの折りに触れて、ちらっとでも、参考にしていただいても、悪いことはないんじゃないでしょうか。